はじめまして。いつも白川先生のホームページで「永田町徒然草」を楽しみに読んでいます。白川先生のお話は論理明快で政治をわかりやすく解説しており、毎回感心して読んでいますが、最近アップされた、No.89「電話料287,445円の請求がきました」は特にPC業界に関係する身として、非常に興味深く拝見しました。そして、いつものとは違って「あれれ、これはおかしいぞ」といった感想を持ちましたので、失礼ながらメールをお送りさせていただいた次第です。 まず、インターネットで使用している「電話料287,445円の請求がきました」という事実に、私自身かなり驚きました。私はインターネットが登場するはるか以前、12年前くらいから(当時は「パソコン通信」と呼ばれていました)、電話を使って掲示板などのデータ通信を楽しんできていますが、月に電話料金が2万円を超えたことは滅多にありませんでした。ですから、白川先生の例では3カ月間で約26万円も料金が発生するというのは、常識的にありえないことです。が、白川先生の文章をよくよく読んでみると、「これは仕方がないのでは」という気持ちになりました。
話の要点をいうと、白川先生はPHS(A社[伏せby白川]だと思いますが)を使ってインターネット接続をされていた。これが常識的にはありえない通信料金が発生した原因のすべてです。
たとえば、「8月10日に新しく買ったカード式電話の方の電話料金は、実際には4日間しか使ってないのに8,314円の請求がきていました」を例にとって解説します。
A社の場合は、毎月2,700円の基本料金が発生しますから、この場合、4日間で本当に発生した通信料金は約5,600円になります。また、A社では、(料金プランやアクセスポイントまでの距離にもよりますが)、データ通信では、3分まで30円、それから超過分は70秒あたり10円の料金が最低発生します。
つまり、仮に1時間ずっとつなぎっぱなしにした場合を考えると、30+(60-3)×60/70×10=約520円の通信料金が発生するわけです。非常におおざっぱに、これを1時間500円と見なすと、前述の5,600円では約11時間の通信をしたことになります。さらに、これを
4日間で割ると、1日当たり3時間弱通信したことになる。現実的には十分ありえる数字になるわけです。(なお、A社では、「○○○○」というサービスもあり、もしこちらを使っている場合は、アクセスポイントまでの距離に関わらず、1分あたり10円の料金が発生します。つまり1時間あたり600円となり、同じ料金で通信可能な時間はより少なくなります)。
一般に携帯電話/PHSは、固定電話よりも非常に電話料金が割高になるのは、よくご存じのことと思います。たとえば、ばりばりに携帯を使っている営業マンが月に5~6万も電話料金を払っているという話をよく聞きます。白川先生のケースも、(さぞかしショックだったと察しますが)PHSを使ってインターネット接続した以上は仕方がないのではと思う次第です。もちろん、A社側の料金計算のミスという可能性も否定はしませんし、電話料金をもっと安くあるべきだという感想に異論を唱えるつもりはありません(この場合は携帯/PHSの通信料金はもっと安くすべきだ、という議論に転じるかと思いますが)。
それから、プロバイダへ支払っている料金も月額約3万円とのことですが、これも普通にインターネットをやっている人からすると、かなり常識はずれな額です。
白川先生がお使いのプロバイダはどこなのか存じませんが、仮に完全従量制で
1分あたり10円の料金を取るところだとしたら(これはかなり高いと部類に入ると思いますが、こういうプロバイダはありえなくもない)、1時間で600円の料金が発生することになり、月額3万円ということは月に50時間通信している。仮にそのうち20日間だけインターネットを使っているとなると、1日当たり2.5時間通信していることになり、これも非現実的な値ではありません。もっとも、これだけ長時間通信するとなると、固定料金で何時間でも使い放題のサービスを提供しているプロバイダを選ぶべきであり、最近の大手プロバイダは、月額2000円程度で使い放題になっています。
今回の白川先生の徒然草を読んで思ったのは、「白川先生の場合はかなり特殊なケースである」というのがまず第1点です。というのは、普通の人は毎月クレジットカードや銀行引き落としで通信料金を支払っていますから、最初の1カ月目で電話料金の異常な高さに気づいて、自分の使い方なり、利用している通信サービスが適切なのかを見直すことができただろうからです。(蛇足ながら、PHSでインターネット接続をする場合、通信料金が高いですから、ネットサーフィンはせずにメールの送受信だけを行なうのが普通の人の使い方です)。
それから、もう1点、気になったのは、いままで電脳秘書に任せていたが、今回は自分で調べてみようということで、キャリア会社やプロバイダに出向いたものの、満足な対応を受けられなかった云々というあたりです。正直に言うと、キャリア会社やプロバイダで、白川先生の対応をされた担当者の方は少し気の毒だったのではと思っています。自分で調べてみようという行動力の高さは非常に評価すべきですが、やはりいままでは電脳秘書に任せていたのだから、まず今回もその電脳秘書に相談してみるべきだったのでは、というのが私の意見です。
たとえば、白川先生は弁護士でいらっしゃるのでこれを例にとってみます(とはいっても私は法律関係は素人で、以下は想像で書いていますが、どうぞお許しください)。
ある一般の人が、何らかの事情で訴訟を起さなければならなくなりました。とはいえ、普通の人は法律は詳しくないですから、通常は弁護士の方に事情を話して「自分はこれこれ、こういうことをしたい」と相談します。そして、弁護士は必要な手続きをとってくれました。数日後、裁判所から何かの通知の文書が来ましたが、これを読むとどうも訴訟が却下されているらしい。納得がいかないので、裁判所に行ってみたが、肝心の裁判関連の書類は弁護士に預けたきりなので、裁判所はまったくうけ合ってくれない。その人は叫びました。「裁判所は国民のためにあるのに、ぜんぜん対応がなっとらん!」
失礼ながら、今回の白川先生の徒然草の主張は、上のたとえに当てはまるのではないかと思います。
技術の進歩はパソコンの使いやすさに貢献しなければいけません。しかし、(パソコンメーカーやソフトウェア会社は日々努力しているでしょうが)、現在売られているパソコンは、使いやすいにはほど遠いのが現実です。ですから、多くの人たちは、時間とお金と労力をさいて、パソコン関連の雑誌や書籍を買ったり、自ら勉強してパソコンをマスターしようとしている。また、インターネットに接続するにしても、自分の使い方や住んでいる地域では、どこが一番料金が安いかを十分に吟味して、選択をしている(これも通信の自由化で選択の範囲が広がったお陰です。もちろん、どれを選ぶかは利用者のリスクになります)。白川先生といえども、電脳秘書を雇うという(一般人にはできないやり方で)、実はこうしたコスト(そしてリスク)を間接的に払っていたわけです。
繰り返しになりますが、今回の白川先生の行動は実直なものですが、あまり感心できません。いままで電脳秘書にすべて任せていたのだから、やはり、電脳秘書の方が対応すべきした。あるいは、たとえ、自分で直接、キャリアやプロバイダに掛け合うとしても、いままでどういう料金プランで契約していたのか、自分はどのくらいの頻度でインターネットを使っていたのか、そのうえであまりに高額な料金請求は間違っているのではないかということを、電脳秘書の方とよく相談し確認をしてから、行動すべきだったのではないかと思う次第です。
以上、少し生意気なことを書いてしまいました。もしご気分を害されましたら、申し訳ありません。
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