雑誌『潮』の記事について ─ 壱 ─ 少し想うところあって、しばらく永田町徒然草のupdateを休ませてもらっています。しかし、今朝、新聞を見ましたら雑誌『潮』の広告が目にとまりました。そこには「自壊した"白川新党"の無残」とありました。私のことを心配していてくださる多くの方々にさらに不安を与えることになるのではないかと思い、久々に『潮』を買ってきました。本の目次には『自壊した無残な"白川新党"。」という見出しがありました。そして、本文の見出しは「傍若無人の選挙運動で自壊した無残な"白川新党"」とあります。 そして、小見出しには「選挙で作った借金のために選挙にでる―。」とあるではありませんか。そして、記事の冒頭には、このことがまず書いてあります。 <白川事務所の元関係者は取材に対して次のように述べた。 ─ 弐 ─ 何ともまあ…。私にとっては、唐突にして無礼な批判です。この「白川事務所の元関係者」が誰であるかは不明ですが、白川事務所の「元関係者」というところが、また巧妙です。政治事務所には、無数の関係者がいます。その一人からの取材で「選挙で作った借金のために選挙に出る」と結論づけられたのでは、たまったものではありません。 私は、政治をやりながらお金をためたことはありませんが、選挙で借金を作ったこともありません。私は、政治や選挙はある金の範囲内でやるという考えをもっています。政治や選挙は商売ではないのですから、借金をしてやるものではないと考えています。私の長い政治生活の経験からいって、政治には、世間で思う程おいしい話はありません。 平成12年の衆議院選挙でも、私は落選はしましたが、選挙にかかった費用はすべて支払い、そのことに関する苦情は一切ありませんでした。冗談をいうのもいい加減にしてもらいたいと思います。私が今年の参議院選挙に立候補することを決意していたのは、衆議院選挙の直後からでありました。 その理由は大きくいって二つあります。 ひとつは、私の政教分離の信念に基づくものであります。このことは前回の衆議院選挙でも最大の焦点として私は訴えましたが、これは新潟6区だけの問題でなく、まさに日本全体の問題である訳ですから、参議院比例区で訴えるのにもっともふさわしいと考えたからです。 もうひとつは、政治家としての信義に基づくものであります。私は、平成8年の衆議院選挙で自民党の総務局長として、選挙の責任者の一人でした。この選挙で、自民党は政教分離を強く訴えました。私は亀井静香氏とならんで、そのキャンペーンの指揮をとりました。その自民党が、公明党と連立を組もうというのですから、それは私にとっては、信義に悖(もと)るものとしか考えられませんでした。公明党と連立をするかどうか、党としていろいろと協議しているとき、私は自民党の団体総局長として自民党を支援する各種団体との折衝役をしていました。 私は、多くの団体や支持者から、この信義に悖る連立をなじられました。そして、私自身もこの信義に悖る連立には反対でした。しかし、亀井氏をはじめ、公明党の政権参加に反対していた者が次々と「転向」していく中で、自民党の政治家の中でも一人くらいは信義を貫く者もいるんだということを行動で示すことが必要だと、私は強く確信しました。そうでなければ、自民党は保守政党としての基本を失ってしまうと考えたからです。 私の参議院選挙に立候補した理由は、以上ふたつの理由に基づくものです。私は政治家として、もっているすべてのものを賭けて、この戦いに臨みました。参議院比例区に立候補するということ自体が、実は大きな戦いでした。六千万円の供託金、十人の候補者の擁立、キャンペーン戦。しかし、多くの方々のご協力を得て、参議院比例区に立候補することが出来ました。 ともかくも、立てなければならない旗は立てることが出来ました。政治家にとって大事なことは、立てるべき旗を立てるということだと思います。この旗に有権者がどのように応じてくださるかは、政治家の力だけではどうにもならないこともあります。しかし、結果を先に考えるのではなく、やるべきことをやるということが、政治家の仕事だと私は考えています。少なくとも、それが政治家としての私の生き方です。 そして、結果はでました。たった一人から始まった戦いに、四十七万余の方々が支持して下さったと評価すべきか、四十七万の支持しかなかったとみるべきかは、人によって評価の分かれることだと思います。ただ、私には立てるべき旗を立てて戦いに挑んだことに、悔いや反省はありません。このことはこれまで一貫して述べてきた通りです。ただ一つだけ確実にいえることがあるとしたら“借金を返済するための戦いなどに四十七万余の方々の支持など絶対に集まらない”ということだと思います。それを、あれこれというのは、有権者への侮辱です。 ─ 四 ─ この他にも論者(私は知りませんが、神輪明見というフリーライターです)は、借金の話と同じように<「新党・自由と希望」関係者、支援者、地元支持者>などという特定しがたい者から取材したという情報に基づいて敗因を分析していてくれますが、あえて一つひとつ反論する必要はないと思います。 私も完璧な人間ではありませんので、いくつかの間違いを犯したとはおもいますが、これまでも述べてきたように今回の戦いの敗北は、些細な戦術上のミスで結果がどうなるというものではなかったと思います。ひとつは、選挙制度自体の問題です。個人の力量や努力では、残念ながらどうすることもできない厚い壁があると思います。それは、三十人もの候補者を擁立した自由連合や東京都知事までやった青島幸男氏の結果をみれば、歴然としていると思います もうひとつは、公明党の政権参加をどうみるかについての、有権者の考えだと思います。憲法上極めて問題があり、国政に必ず大きな禍根を残す公明党の政権参加を、有権者がどう考えるかということです。有権者がそれでいいと考えているとしたら、それはそれで仕方ありません。だからといって、私は私の考えを変えるつもりは全くありませんし、私の考えが間違っているとは毛頭思いません。そして、国民も自民党も、将来必ず大きな「ツケ」を払わなければならないことだけを指摘しておきます。 ─ 五 ─ ところで、この間、ニューヨークのワールドトレード・センターに2機のハイジャックされた旅客機が突入していく映像を何百回も見せつけられました。少なくとも、これまでのテロ史上もっとも残虐かつ大規模なものでした。このテロに何十人、それとも何百人が関与しているのか、まだ捜査情報が発表されていませんので分りませんが、仮に数十人だったとしても、このようなテロを犯すことができたのは、この犯行集団が宗教的な何かで武装されていると、私は直感的に感じました。ですから前号でそのように指摘しました。 私は、数十人が関与する犯罪で最後まで秘密が漏れないなどということは、その犯行集団が思想的か宗教的な何かで武装されていなければできないことだと思っています。どんな人間にも良心というものがあり、複数人で犯罪や謀略を行うことは極めて困難なことだと考えるのです。現在、アフガニスタンのタリバン政権とビン・ラディン率いるアルカイダに対する軍事攻撃が行なわれていますが、これすなわち、アメリカはビン・ラディン率いる集団の犯行との証拠と根拠をもってのことと思います。 ですから、今回のあのいまわしい同時多発テロは、「宗教で武装されたテロ集団」の犯行だと私は考えているのです。 そして、旅客機がワールドトレード・センターに突入していくあのシーンを見せられるたびに、「宗教で武装された選挙集団」に乗っ取られているわが国の現状を、私は思わずにはいられません。まさに信じられないような大惨事を行ったのは、宗教で武装されたテロ集団だからできたことです。それと同じように宗教で武装された選挙集団も、いつ信じられないようなことを行うか分りません。 今回の訳の分らない選挙制度改革案の提起など、そのひとつではないでしょうか。そのあまりの馬鹿らしさに、世論は一斉に拒絶反応を示したために、さすがに公明党は事実上の撤回をせざるを得ませんでしたが、こういうことを平気で行うところに、私は恐ろしさを感じます。そして、着目すべきは、自民党の中にこれと呼応する分子がいたということです。選挙制度は、1億人の参加する国政の基本です。これを自分たち一党の都合によってどうこうできるという発想・思い上がりは、まさに「宗教で武装された選挙集団」にして、はじめてできる行動ではないでしょうか。 わが国の行政や財政は、世界でも最も大きなものの一つといって過言ではありません。その中枢に「宗教で武装された選挙集団」がいることを、私たちは忘れてはなりません。そして、政権の中核である自民党も、この集団に侵されつつあるということです。六千億円ものお金が地域振興券ということでバラまかれたのは、記憶に新しいところですが、よほど注意していないと、このようなことが、また、いつ行われるか分りません。数千人の人命と数千億円の建物を一瞬の内に奪ったあのシーンと、わが国の現状がダブってみえるのは、私の思い過ごしでしょうか。 ─ 六 ─ 私は、今回の参議院選挙に、私のもっているすべてを賭けて戦いました。私は勝利を確信していましたから、当選した暁には、もらえる公費もあてにしていましたため、党と私個人に、その分だけの借金が残ってしまいました。関係者にご迷惑をお掛けしていることを、誠に申し訳なく思っております。これは、私の政治生活の中ではじめての不覚です。 多くの方々から、一日も早い再起を期すようにとの励ましを沢山いただいておりますが、命がけの戦いを行ったものにとって、それは、そう簡単なことではありません。私には、たったひとつの命しかないのですから…。私は、いつもそういう生き方をしてきました。しばらくは、時間をいただくほかありません。ただし、私は私が立てた旗は断じて降ろしませんから、ご安心下さい。 しかし、もし私の意見に賛同される方がおられたら、その方の心の中に、私が立てたと同じ旗を立てて欲しいのです。そして、自分でできるところで結構ですから、全力で戦って欲しいのです。わが国の繁栄と自由のために ─ それが私の切なるお願いです 少々長くなってしまいましたが、お読みいただいたことを感謝申し上げます。 20:10上越市北城町の自宅にて |
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