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政府機関が合法的に違反ビラの配布 私が憲法21条の通信の秘密という問題に重大な関心をもってきたことは、これまで何度かこの永田町徒然草で書いてきたことからもお分かりいただけると思います。また、憲法の条文からも分かるとおり通信の秘密こそ、「思想・良心・信教の自由」を実質的に保障する極めて大切な基本的人権なのです。思想などの自由が保障されていてもこれを他人に伝えることができなければ、その思想の自由は実質的に保障されないからです。憲法21条で保障される「集会・結社・表現の自由」なども自由にして秘密が守られる通信があってこそ、具体的に実現されるのです。 念のためここに憲法21条を確認しておきましょう。
私が長い間、郵政関係の仕事に関心をもち、これに携わってきたのもこのような理由からです。現在の日本で通信の秘密など侵されていないではないか?そんなことを問題にするのは、一部の特殊なあるいはよからぬことを考えている不逞の輩に過ぎないと考えている人が多いのではないでしょうか。しかし、私がこれに対する重大な反省をさせられたのが、女性10数人とのミニ集会の席でした。あるご婦人がこういったのです。 まあ、これなどは他愛のない誤解ですむことだと思います。また、私にいわせてもらえば、通信記録がご主人のところに送られてくることをこのご婦人は知っていたと思いますから、無用心といわれても仕方ないでしょう。あらかじめ「こんど、同級会の幹事を引き受けたのよ」とでもいっておけばたいした問題にもならなかったことでしょう。 しかし、通信記録をユーザーのところに送ってくるか送ってこないかは別にして、電話会社にはすべての電話の通信記録があるということが問題だということです。私がもっている携帯電話ですら、過去10件分の送信・受信の履歴が保存されるのですから、電話会社のコンピュータが過去何百件の通信記録を保存することなど、いとも簡単なことなのです。問題は、実際に電話する人がいま自分が電話したことの記録が電話会社にはすべてとられているのだということをその人が知った上で電話しているのかということです。 そうした理由からでしょうか、私のところに電話をかけてくる人ですべて公衆電話からしか電話をかけない人が現に。かなり用心深い人か、過去によほどのつらい経験をしたのでしょう。記録がある以上、それを第三者が見ることができるし、捜査令状があればこれを押収することもできるということです。このことにこだわり、ずーと私は問題意識をもち続けてきました。そして、どうしたらよいかを考えてきました。そして、私なりの結論をもっております。これについては、もう少し関係者と議論した上で発表したいと思います。 それよりも、今日お話をしたいのは今回の選挙で私が体験したことです。投票日を3日後に控えた6月22日の木曜日に、私を誹謗する謀略ビラが新潟6区に数万通も郵送されました。もちろん、公職選挙法に明らかに違反するビラです。これだけの違反ビラを、夜間であれ各戸配布をすれば選挙期間中のことですから、私たちとしても対応策があります。現に私たちは違反ビラ配布防止のパトロール隊を組織して巡回しておりました。そして、違反ビラを配布していたある部隊を掴まえて、これを警察に突き出しました。ですから、違反ビラの各戸配布というのはそう簡単にはできないのです。しかし、郵便を使えば、公職選挙法に違反し、名誉毀損罪にも該当する数万通もの違反ビラが合法的に配布されるという現実を体験してみて、このようなケ―スに対してどう考えたらよいのか、私はいま郵政関係に関心の深い仲間の議員に問題を投げかけております。 通信の秘密は守られなければなりません。当然のことです。しかし、政府機関である郵便局が中味を知らないとはいえ、公職選挙法に違反する文書を配布する。これを取り締まることができない。これが野放しに許されるというのは、どうしても常識的に納得のいかないものを感じます。人間のやることですから、考えれば知恵がでてこないはずはないと思っています。また、そうでなければ通信の秘密を守るため国家機関で郵便事業をしている意味のありません。参考までに私が体験したケースは次のようなものでした。
私も今回の選挙で郵便を使ってみて分かったのですが、郵政省もかなり割り引き制度をつくって大量に郵便物を出す場合、かなり安く出せるようになったと感心しました。今回の大量の違反ビラもこの割引制度を利用すればだいぶ安く出せるのですが、その場合はどうしても身元がばれてしまいます。ですから、割引制度を使えなかったのです。 それにしても、1万通で80万円ですからそう高いものではないでしょう。数万通の違反ビラを各戸配布するとなると数百人を選挙違反という危険に晒さなければならないのですから、ちゃんとした組織ならばその代償としてそう高いものではないはずです。ただ、この場合でも、精巧な印刷を請け負った会社、宛名のシールを打ち出した者、シールや切手を封筒に貼る者、封入をする者、これを相当数の郵便ポストに投函する者など、かなりの人間が関与しなければ、この違反・謀略ビラを数万軒に郵送することはできません。私たちのような自由主義者が集まった選挙集団では決してこのような謀略的なことはできません。私が戦った相手はこういう謀略が平気でできる集団だということだけははっきりといえます。 12:30 上越市北城の自宅にて |
白川勝彦OFFICE
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