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No.69 | No.70
今回の総選挙についての論評(その3) 「永田町徒然草No.68」からのつづきです。加藤紘一元自民党幹事長が総選挙の反省・総括の機会を持つようにと主張していますが、こういうことを参考にしてもらいたいと思います。 5滅茶苦茶な比例名簿の作り方 あまり一般の方々には関心や問題意識のないと問題ですが、今回の総選挙の比例代表名簿の作り方ほどひどいものはありませんし、これをじっくりと分析すると今回の総選挙で示された党執行部の体質がよく判ります。比例代表名簿の当選可能な順位に登載されるということは、小選挙区の選挙をせずに議席が保証されるということですから、たいへんなことなのです。その順番をつけるのは、党の執行部です。自民党の場合、その中心は幹事長です。 前回の総選挙では、私は総務局長としてこの比例名簿をどう作るかいろいろと考えました.そして、私の素案を加藤幹事長にあげました。東京ブロックと九州ブロックを除く他のブロックの名簿は、ほとんど私の素案どおりになりました。東京と九州ブロックの素案は誰が作ったかというと当時の幹事長代理で党選挙対策総局長だった野中広務氏でした。私はこの作業を通じて、野中氏がどういう考えで比例名簿を作るかよく知っていましたので、今回は相当滅茶苦茶なことをやるのではないかと危惧していました。公示の日、各ブロックの比例名簿をみて唖然としました。それにしてもまあここまで恥じも外聞もなく派閥エゴ丸出しでやるのかと思いました。まともなのは、北海道・南関東・四国ブロックだけです。他の8ブロックについては恣意的というか派閥利益丸出しというか、まともな神経の持ち主ならばとても作ることができるシロモノではありません。 まず一般論をいいますと、比例代表選挙は経歴・識見・政治的力量その他からみてきわめて優れた人を選出するということです。いわんとする趣旨は十分分かります。しかし、小選挙区から立候補する人というのは、経歴・識見・政治的力量がない候補者なんでしょうか。そんなことはないと思います。小選挙区で当選するためにはそれらがなければ当選できません。本当に経歴・識見・政治的力量があるというのならばそういう人は小選挙区でも当選できるはずです。小選挙区で当選するということはそういうものがあるという証明なのです。にもかかわらず、みな死に物狂いになって選挙をしなければ小選挙区で当選することはできないのです。この人たちより経歴・識見・政治的力量において明らかに優れた人物を探すことなどとうていできないと私は思いました。この人がそういう優れた人物だなどというのは、小選挙区で死に物狂いになって戦っている候補者に対して僭越至極なことであり、誰もそんなことはいえないというのが私の結論でした。 ですから、小選挙区で立候補する重複立候補者の上にランクされる純粋比例候補者は、小選挙区から立候補する意思もありその力量もあるが同じ選挙区に同じような立候補者がいるため党の調整によって純粋比例候補となった者に限ると私は考えました。前回の総選挙の場合は、とにかく小選挙区の候補者になりたいというのが競合する候補者の主要な関心事であり、調整の結果比例に回ってくれた候補者の順位については党本部で自由につけてくれて結構だという雰囲気でした。ですから、純粋比例候補となってくれた候補者が本当に小選挙区で戦う力があるのかという点についてはあまり深く詮索しませんでした。そのことに関しては、ごく一部の選挙区を除いては問題になりませんでした。そのために救われた候補者もかなりいましたが、制度転換のボーナスと考えました。しかし、今回はこうしたこともちゃんと評価しなければならなかったのです。こんな発想は、比例代表名簿を作った党執行部には皆無のようです。そして、競合するというだけの理由で大甘で純粋比例候補者を増やしております。 6比例代表名簿のどこが問題か? 一般論だけでは本当の問題点が分からないと思いますので、現実の名簿にそくして論及します。 <東北ブロック>……自民党の当選者数5人(以下同じ) このブロックで純粋比例候補者として重複立候補者より上位にランクされてることに合意が得られているのは、本来は2人しかいない筈です。そこに4人の純粋比例候補者が重複立候補者より上位のランクされて載っています。重複立候補者で救済された者はありません。 <北関東ブロック>……7人 このブロックで純粋比例候補者として上位にランクされることが認知されているのは、本来は5人まで。2人はちょっと問題あり。重複立候補者で救済されたものはなし。 <東京ブロック>……4人 ここは、そもそも与党の選挙協力なるもので1人が純粋比例候補者となりました。この人は今回小選挙区から出ていればきっと当選していたと思います。ここまでやったのなら、保守党とは一日も早く同じ党にならないと選挙的にはおかしいのです。鳩山邦夫氏の入党ー―比例代表第2位については、私は姑息なことだったと思います。このブロックで上位にランクされてもいい合意のある純粋比例候補者は強いていって1人いるだけ。重複立候補者で救済された者なし。 <北陸信越ブロック>……4人 このブロックで、純粋比例候補者として上位にランクされることの合意が得られている候補者は3人。そこに、7人の比例候補者を上位にランク。当然のこととして、重複立候補者で救済された者はなし。ちなみに、どうでもいいことですが、純粋比例候補者を合意の得られている3人とした場合、重複立候補者で救済されたのは、惜敗率トップの私でした。 <東海ブロック>……7人 ここの名簿はもう滅茶苦茶。派閥エゴ丸出し。もともと純粋比例候補者として合意されている人は、2人なのです。ここに保守党との選挙協力で3人の比例候補者を上位に入れ込み、そのドサクサに紛れて4人の比例候補者を突っ込む。その結果当選した2人とも小渕派。もう、まったく正視に堪えないものです。 <近畿ブロック>……7人 ここは、前回は純粋比例候補者ゼロのスッキリしたブロック。現職も新人も全員が同列一位でランクされ、10人が惜敗率で復活当選しました。私は、本来はこれがいちばんいいと思っています。 ところが、今回は与党3党の選挙協力とやらで、純粋比例候補者のバーゲンセール。6人が純粋比例候補者として上位にノミネート。重複立候補者で救済された者はただ1人。 <中国ブロック>……4人 純粋比例候補者として当選した4人については若干問題はありますがまあいいとしても、5位から7位までの候補者については純粋比例候補というものをどう考えているのか首を傾げたくなります。重複立候補者からの救済されたものはありません。 <九州ブロック>……7人 ここで本来純粋比例候補者として上位にランクされることに合意が得られているのは、2人だけなんです。ここに比例候補者が7人ランクされ、全員が当選しました。そのかわり、重複立候補者からの惜敗率による復活当選者はありません。公明党との選挙協力によるもの1人、保守党との選挙協力によるもの1人。前回に続き、沖縄枠によるもの1人。ここにブロックは、前回に続いて原理原則などありません。 7この名簿による収支勘定 私にいわせれば、恣意的・派閥エゴ丸出しの比例代表名簿により誰が得をしたのか。多分に問題のおおいこの名簿により当選した者の派閥関係を見てみましょう。ただし、この中には、前回の選挙の際に選挙区調整の結果として純粋比例候補者になることに党内で合意が得られている候補者と重複立候補者で惜敗率によって当選した者は含まれません。 私にいわせれば問題があると思われる比例代表名簿による当選者は26名になるのですが、その内訳は次のようになります。
なかなかやるものですなー。しかし、こんなことで喜んでいるのをいるところを見ると彼らが急に憐れになってきます。自由民主党の最高幹部としての彼らの矜持といいうのはそんなもんなんでしょうか。 前回の総選挙の際、加藤―白川で選挙をやりながら、当時の宮沢派は確か3から4人しか増えませんでした。河野洋平氏の関係で2から3人増やしてもらったため、辛うじて面目を保ったものの本当にお人好しといわれても仕方のない結果でした。でも、私には仲間に揶揄されても本当はこれでいいんだと心の中では思っていたので一向に堪えませんでした。加藤幹事長も内心そう思っていたのではないかと推察しています。 小選挙区制が導入されかつこれに比例代表制がある以上、選挙における党執行部の権限は絶大です。しかし、大きな権限があるからといってそれで何をしてもいいと思うか、それとも謙虚に他者の批判に耐え得るように行使しなければ思うかが、器量と品性の分れ目です。そういう意味では現在の党執行部に品性があるなどとは誰も思っていませんが、その具体的な例をここに見ることができます。これなら、小渕派は増える筈です。でも、これがきっと命取りになるでしょう。 「剛強なるは、必ず、死す。仁義なるは、王なり。」 中国の古典 『古文真宝』にある言葉です。 「今回の総選挙についての論評」は、いちおうこれで終わります。 20:30 上京の事務所にて
この一週間に13,000のアクセスをいただきました ちょうど一週間前の深夜、落選が決まりました。それからいままでに、わがサイトのアクセスカウンターのヒット数は、13,000増えました。実に多くの方々からご心配をいただいたか分かります。できることならば、勝って多くの方々のご期待に応えたかったという思いを新たにしますが、勝敗は時の運。いつも、自分の思うとおりにならないのが世の中というものです。 わが戦いに悔いはありません。与えられた状況のもとで、力いっぱい私のやりたい選挙をやりましたので、爽やかな疲労感をもってこの一週間を過ごしました。私の負けは、創価学会が相手についたからでもなければ、私の主張が間違っていたわけでもありませんし、私の軍団の力が弱かったわけでもありません。私を潰したいという邪まな勢力の妨害・陰謀に対して、反撃するだけの時間がなかっただけのことです。そういう意味では、やられた・潰されたということなのかもしれませんが、このような類のものは一時的・戦術的な相手方の勝ちに過ぎないのであって、私の方はぜんぜん負けたとは思っていません。必ずリベンジしてみせます。 それより痛快なのは、東京都をはじめ首都圏の選挙の結果をみると、私の主張が見事に正しかったということです。自公連立を続けている限り、今度は全国的にこのような現象が起きると思います。なぜこのことに気が付かないのか、自民党は事実の分析能力までなくなったのか、そんな思いでこの一週間を過ごしました。こんな単純なことに気が付かないようであるならば、自民党は本当にもうダメなのかもしれません。それならそれでいいと思っています。私は自民党にはもう尽くすだけは尽くしましたので、これ以上傷を負いながら犠牲を払いながら、自民党に義理立てをする必要はないと思っています。ただ、真に自由民主党を愛する人士出でよという期待はしております。これまでは、誰かが出てきて党の危機を救ったのです。 それより私がいま心配していうのは、「日本の自由」です。自公連立はあらゆる意味で「日本の自由」への挑戦でした。そして、もっとも自由にして民主的でなければならない自由民主党が、あっという間に自由のない党になってしまいました。それは、恐ろしいほどでした。これを自民党の中で体験したものとして、自公連立政権がつづく限り日本の自由が危ないと警鐘を乱打しなければなりません。自由を獲得し、これを発展させるには時間がかかりますが、自由をなくするにはほんのわずかな時間でできるのです。マスコミの多くが創価学会に汚染されている現状では、日本の自由は本当に危険な状態にあります。多くの方々に、この危機感と警戒感を持っていただきたいと願わずにはいられません。 ところで、いつもいっているとおりアクセスカウンターというのはWebサイトの評価としては、あまり意味がないんだそうです。専門家がいちばん重視するのはヒット数ですが、わがサイトのヒット数がついに 1000万ヒット を超えました。今日のことです。また、6月26・27・28日は、ヒット数が18万ヒット以上ありました。本当に勇気付けられました。そして、私の政治的主張には多くの同調者や賛同者がいるのだということを改めて確認することができました。そして、このサイトがいまや立派に政治活動の場となると思いました。選挙を控えたなかでは、Webサイトにあまり多くの時間と精力を避けませんでしたが、こんどは時間がたっぷりあります。思いきっていろいろな情報や見解を発信していくつもりです。これからも、多くの方々からアクセスをいただければ幸いです。また、本当に「日本の自由」が危ないのです。ぜひ、親しい方々にわがサイトをご紹介いただき一緒にこの問題を考えていただきたく心からお願い申し上げます。 00:45 上越市北城の自宅にて |
白川勝彦OFFICE
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