■貼るときの注意(法145)■
誰もが、一番目につきやすい所にポスターを貼りたいと思うのだが、選挙ポスターは、無断でどこにでも貼れるものではない。塀や建物などに貼る場合でも、それが他人のものであれば、必ずその居住者(居住者がいない場合はその管理者、管理者がいない場合はその所有者)の承諾を得なければ、貼ることはできない。居住者があるにもかかわらず管理者の承諾を求めても、それは承諾を得たことにはならない。
承諾を得ず貼ったものであれば違反文書となり、選挙管理委員会から撤去を命ぜられる。また、その建物等の居住者、管理者又は所有者は、これを撤去することができ(法145の三)、選挙の自由妨害とはならず、また、器物毀損等の刑法上の責任についても違法性が阻却され、罪とならないので、承諾もなくかってに貼ることのないよう、十分注意する必要がある。
また、国若しくは地方公共団体が所有し若しくは管理するもの、又は不在者投票管理者の管理する投票を記載する場所には、ポスターを掲示することはできない。 したがって、県庁、市役所の庁舎などにポスターを貼ることはできない。また、いわゆるプラカード方式ポスターを公道上に掲示することも違反となる(最高裁昭51.12.24)。
なお、これらの公共施設に貼った場合、その承諾を得ていると否とにかかわらず、違反文書として撤去命令が出される。また、管理者が自ら撤去してもよいことになっている。 ただし、特例として、橋りょう、電柱、公営住宅、地方公共団体の管理する食堂及び浴場には、承諾を得れば掲示してもよいものとされる。
1)
電柱とは、電灯線、電話線を支えるための柱であって、市電等の架線の支柱は含まれない。しかし、最近は、電柱に掲示することは拒否される場合が多い。
2)
公営住宅とは、県営住宅又は市営住宅のようなものをいう。ただし、公営住宅に附属して作られている児童遊園、共同浴場、集会所等の共同施設および給水塔は含まない。また公営住宅には官舎、公舎は含まれない。
3)
公選法の直接の制限ではないが、屋外広告物法に基づいて制定されている屋外広告物条例がある場合には、その条例中で選挙のポスターに関する除外規定を定めていないかぎり、選挙運動用ポスターの掲示等についても適用される。したがって、その条例で掲示を禁止されている区域
(公園等の風致地区が該当すると考えられる)
にポスターを貼ることはできないので、選挙管理委員会と十分連絡をとり、確かめることが大切。
4)
いったん貼ったポスターを他の場所に張り替えることは差し支えないが、同一のポスターを何回も違う場所に張り替えることによって、結果的に回覧となるようなことは許されない。もちろん、前に述べた公共建物などに貼ることや、所有者の承諾成しに貼ることはできない。
ポスターの両面使用等は ポスターを有効に使うために、表裏に記載し、貼らないでつるして掲示するような場合も差し支えない。この場合、そのポスターの枚数は、二枚として計算される。このような両面使用のポスターには、それぞれの面に証紙を貼るとともに、掲示責任者・印刷者の住所氏名及び当該名簿登載者に係る名簿届出政党等の名称を記載しなければならない。
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