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ごごばん! デイリースペシャル 〜法律クリニック〜 2012年9月11日 火曜日 (第81回)
テーマ
「無職でも、債務整理は可能でしょうか?」
話者名 | 話の内容 |
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上柳 | 毎週火曜日この時間は、「ごごばん!法律クリニック」。ラジオの前の、あなたの法律の問題についてお話を伺います。スタジオには、白川勝彦法律事務所所長、弁護士歴40年、白川勝彦弁護士です。今週も、宜しくお願い致します。 |
白川 | 宜しくどうぞ、お願い致します。 |
増山 | 宜しくお願いします。 |
話者名 | 話の内容 |
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上柳 | 今日も早速、ご相談内容です。匿名希望、35歳の男性の方からのメールです。 |
増山 | 私は、消費者金融数社から、300万円ほどの借金があります。1年前までは会社で働いていましたが、リストラにあったため、今は無職です。最初はなんとか、切り崩して返済していましたが、今は、毎月の借金の返済が滞っている状態です。債務整理を考えているのですが、現在無職の私でも、債務整理ができるのでしょうか? |
上柳 | お仕事を今のところされてないということになりますと、定期的な収入がない ─ これは、大変なことですけども。どうなんですかね、債務整理出来るのか、どうなのか… |
白川 | そうですね。この方の様に、会社をリストラになりました、と。いま、こういう不景気で、なかなか次が簡単には決まらないので。しかし、そういう人だからこそ、この債務をどうするかというのが深刻なので。ある面では、私が毎日直面している問題です。 結論から言ったら、こういう方こそ、本当は、債務整理をしないとダメなんです。金もない、なにもないからといって放っておいても、結局払えなかったら、まず金利が付きますよね。それから、一定程度付きますと遅れますから、遅延損害金というのがついて、これが、普通は法定金利になっていますけど、遅延損害金というのは、法律上多いと言われていて、100万円以下なら26.2%、100万を超える場合は22.2%、かな…。だから、金利よりぐっと高くなってしまうんですね。 |
上柳 | 放っておいたら、大変なことになりますね。 |
白川 | ですから、金がないからといって、借金を放ったらかしても、かえって深刻な事態になりますので。今日は、そのことを説明したいと思います。 債務整理をする場合、どうしても費用というか、お金がかかることは事実です。 まず、どうしてもかかるのが、弁護士費用がかかりますね。よく皆さん、弁護士費用は高いんじゃないかと思っている方が多いですが、実際に債務整理に関する弁護士費用って、皆さんが思われているよりも、そんなに高いもんじゃないですから。そこは、心配しなくていいと思います。苦しかったら、分割もできますから。 |
上柳 | まず、いくらくらいかかるか、費用の事をお聞きしても、失礼になったりとかならないわけですね。 |
白川 | それは、全然ないですね。 債務整理というのは、3つの方法がありますから。自己破産の場合はどのくらいか、個人再生の場合はどのくらいか、任意整理の場合はどのくらいかかりますと、どこの法律事務所でも、お話しますから。もちろん、高い安いはありますけど、それは、色々聞いて見て考えられたらいいんじゃないでしょうか。 これは弁護士費用がかかりますね、まずは。それで自己破産という道を選ぶ場合は、借金は返さないということですから、弁護士費用だけ考えればいいわけですが…。たぶん、この方も、別のことも考えていると思いますが、個人再生とか任意整理の場合は、いずれにしても債務の一部は返さなくちゃいけないですね。それは、費用じゃありませんが、本来返すべきものを長期分割などにしますが、そのお金は、どうしてもいりますよ、と。それを含めて、どういう風にしますかということを含めて、よく弁護士と相談すれば、可能かどうかでてきます。 ただ、個人再生も任意整理も、いずれにしても、今は収入がなくても、みなさん頑張るわけですが、将来収入があるという見込みがあれば、たった今ないからといって、出来ませんなんて誰も言いませんし。僕なんかも、そこは、業者の支払いは遅らせたりしないようにするから、その間、あなたとしては、早く次の仕事に入って下さいねと言います。それは、依頼するときに無職だからといって、そういうことはありません。 |
上柳 | 門前払いはない、と。 |
白川 | もちろん、ないです。 特に、個人再生の場合は、借金をかなり減額してもらえますから。額は少なくなりますけど、裁判所が『本当に、これだけのお金を債権者に対して払えますか』と、そこはかなりよく見ますので、そうすると、無職だというと、せっかく個人再生という非常に有利な制度が利用できないもんですから、特に頑張って。別に、給料は高くなくても、債務そのものはかなり減らしてもらえますから。 |
上柳 | 職に就いているということが、大事なんですね。 |
白川 | 職に就いていれば、大丈夫ですから。そうはいっても、自己破産をと考えている場合も、弁護士事務所によって費用は違いますけど、それでも、安くても30万じゃないでしょうかね。30〜50万かかりますから。 それを分割にしてもらったとしても、まったく収入のない人は、キツイですよね。そういう方の場合には、法律扶助制度というのがありまして、裁判を起こす時に、必要なお金を立て替えてもらえる制度があるんです。自己破産をする人の場合は、これを利用する人もかなり多いですね。それは、法テラスというところに申し込めば、受けられるかよく審査した上で、『あなたの場合は、収入がないんだから、それは立て替えてあげましょう』と。立て替えてもらうだけじゃなくて、とても返せないというんだったら、猶予とか免除ということもありますから。 ですから、『自己破産するんだけど、弁護士費用もないんだ』というようなことで、躊躇してはいけないと思いますね。 なぜ、そのようなことを言うかというと、今はお金がなくても、3年とか5年放ったらかしていたら、本当に借金は倍になってしまいますから。あるいは、3倍になってしまいますから。だから、金がないからといっても、こういう法律扶助制度というものがありますから。だから、とにかく借金のことでお困りなら、弁護士さんにまず相談しなさい、と。『そうして下さいね』と、まず、私は言いたいですね。 |
上柳 | 放ったらかしにするのが、一番ダメなんですね。 |
白川 | そうですね。だから、お金がないからといって放ったらかしておいても、金利は待ってくれませんから。『職がないから、大変ですね』なんて、それは、債権者に話をすれば多少は金利をまけてくれたり、あるいは、金利付けないよと言ってくれるかもしれませんが、放ったらかしておいても、増えるだけですから。 ですから、お金の事を苦しんでいるわけですから、それも含めて、債務整理には、さっき言ったように、法律扶助制度というのもありますから。どうぞ、お金のことでお悩みならば、是非、弁護士に相談してもらいたい、と思います。 |
上柳 | 色んな、セーフティーネット的なものがあるんだということを知りましたので。見ない、聞かない、知らないふりをしても、良いことは一個もないということで。相談すると、必ず道があるんだということを、気付いて欲しいですね。 |
白川 | だから、借金を放っておくのが、一番いかんですね。 |
上柳 | その結論が出ました。お時間でございます。白川勝彦弁護士でした。どうも、ありがとうございました。 |
白川 | どうも、失礼しました。 |
増山 | ありがとうございました。 |
上柳昌彦氏・ 増山さやか氏 = ニッポン放送アナウンサー (文中敬称略) | 第80回 | TOP[t] | 第82回