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白川・上柳 放送対談中の表情写真

ごごばん! デイリースペシャル 〜法律クリニック〜 2012年7月17日 火曜日 (第73回)

テーマ
「貸した車が事故に遭ってしまった際、私に罰則などはありますか?」

話者名話の内容
上柳毎週火曜日この時間は、「ごごばん!法律クリニック」。ラジオの前の、あなたの法律の問題についてお話を伺います。スタジオには、白川勝彦法律事務所所長、弁護士歴40年の白川勝彦弁護士です。お暑うございますね。
白川梅雨明けたって、さっきニュースでやってましたね。ようやく。
上柳そんな中なんですが、これ確かにそうだよな、どうなるんだろう?というお話なんです。ご相談内容です。匿名希望、36歳の会社員の方からの、このメールです。
話者名話の内容
増山
知人から、『引っ越しのために必要なので、車を貸して欲しい』と頼まれ、私の車を貸したのですが、その知人が、引っ越しの途中で交通事故を起こしてしまい、相手に、入院2ヶ月の大けがを負わせてしまいました。私が事故を起こしたわけではないのですが、私も、損害賠償責任などの罰則を負わなければならないのでしょうか?
上柳車を貸すというのは、あるといえばあることですしね。その時に何かあったら、いったい何がどうなっちゃうの? というところですが…
白川そうでしょうか。逆に、今、車を運転したりする人は、この場合、貸した人にも責任があるんだということぐらいは、殆ど知っておられるんじゃないでしょうか。
上柳相当責任は負わされる?
白川文句なしに、あります。そういう例は見ているし…。
ただ、今日は結論だけ、先に言おうと思うんですが、入院2ヶ月の大けがですから、もちろん事故を起こした友人もありますけど、車の所有者である質問者の方も、あるわけです。
同時に、私も損害賠償などの罰則を負わなければならないでしょうか?という ── 罰則を負う必要は、ないんです。責任はあるんだけど…。
例えば、事故を起こすと加点されたり、罰金取られたりするじゃないですか。そういうものは、一切関係ないですね。ただ、今日はこの話だけだと簡単なんですが、そもそも、なんでこんなことが起きるのかという、そもそも論をやってみようと思うんです。今の日本は、自由主義社会と言われていますよね。どうも、自由でない所も結構あるような感じがして、私は、自由主義者としては腹が立つことが多いんだけど。自由主義社会というのは、すべて、何をやってもいいよ、と。その代わり、やったことの責任は、やった人が取りなさい、ということにつきるんですよね。
上柳自己責任…
白川自己責任、ですね。ですから、契約なんかでもよく、奥さんの借金を旦那が払う必要があるのかとか、旦那の借金を奥さんが払う必要があるのかなんて、今でも真剣に考えている人がいますけど。基本的には、夫婦であろうがなんであろうが、原則は、やった人がやった責任を負う。夫婦といえども、あるいは親子といえども、基本的には関係ないというのが、契約の社会ではそうだということを、これまで話してきましたよね。
今回の交通事故というのは、不法行為ですよね。不法行為というのは、みんな言葉を知っていると思うんですが、条文で言うと、こういう風に書いてあるんです ── 民法709条「故意または過失により他人の権利又は法律上保護されている利益を侵害したものは、その損害を賠償する責任を負う」…と、書いてあるんですね。だから、あくまでも賠償する責任を負うのは、不法行為をした人、その人が負うんですよと。ですから、そういう意味では契約と同じで、あくまでもその人だよという、これが大原則なんですね。
だから、夫婦であるとか、親子であるとかというのも、基本的には関係ない。未成年者なんかは、親がちゃんと監督していれば防げたであろうというような時には、親の監督責任が不十分だということで、責任を負うことがありますけど、基本的には、監督していなかったというのは、親の行為に落ち度があったということで、その親の行為が問われているわけですよね。
ところが、交通事故だけは大例外があるんです。それは、そういう関係が無くても、この場合は責任を負いなさいというのは、民法じゃないんですが、よく、自賠責と言うでしょ? 自動車損害賠償法という法律の3条に、「自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によって他人の生命または身体を害したときは、損害を賠償しなければならない」と、いう条文があるんです。ですから、自分がしたとか何も書いてないですね。自己のために自動車を運行の用に供する者 ─ 運行供用者というんです。もちろん、所有者もそれに入りますけど、その運行によって、その車が動いたと。そのことによって、人の生命または身体を害したときは、責任を負いなさいよと。過失があろうがなかろうが、関係ないんです。
上柳運行供用者の中には所有者も入って、運転していたとかいないじゃなくて、所有者も責任がある、ということですね。
白川これは、無過失責任。無過失責任でも、若干例外がまれにあるんですが、基本的には、逃れられない責任ということで解釈されています。
ただし、だったら不法行為全部かというと、ここに書いてある通り「他人の生命または身体を害した時」と書いてあるんですね。じゃあ、自動車がぶつかり合えば相手の自動車も壊しますね。あるいは、家の中に突っ込んだりして、家を壊したりする場合は、それは自賠責、責任がないよと言っているわけです。
だから、人身事故のみであって、物損事故は、あくまでも民法の行為者には責任があるけど、車の所有者、運行供用者にはないですよ、ということなんですね。これはなぜかというと、発展途上国なんかではありますけど … 交通事故で、命が失われますよね。日本も、かつてそういうことがあったんです。とにかく、命だとか身体を害された人は、なんとか守ってあげなくてはいけないというなかで、車の所有者というのは、そういう責任があるんですよ、と。
ただ、これが色んな場合が判例でも争われたことが、いっぱいあるんですよ。
例えば、マイカー通勤をしている人。マイカー通勤が許可されている場合は、通勤途中で従業員が事故を起こしても、会社は責任を負いなさいとか。レンタカー会社なんかは、もちろん、貸して運転する人はレンタカー会社の人ではないんですけど、そういう場合でも、レンタカー会社は責任を負いますよと。
ところが、車をリースしてという場合もありますよね。リースの場合は、責任はないとか。
それから、会社の車なんだけど、仕事終わった後にちょっと私用で使ってしまったという場合は、どうか。
もっと酷いのは、盗難車。その盗難車が事故を起こした場合は、どうなんだと。キーを挿しっぱなしで取られた場合は、取られた人自身に責任がありますね。ただし、取られてから10日も20日も経ってから、誰に取られたか分からないのに事故になってしまったという時は、ないとか。
この問題には、色んな問題がありました …… ほぼ解決されますかね。
ですから、質問の原点に戻りますけど、自分の車は、殆ど誰が事故を起こしても、責任を負うんだということを、よくよく頭に入れておく必要があるんじゃないでしょうか。
上柳良くわかりました。お時間でございます。白川勝彦弁護士でした。来週も、宜しくお願いします。
白川どうも失礼しました。
増山ありがとうございました。

上柳昌彦氏・ 増山さやか氏 = ニッポン放送アナウンサー (文中敬称略) | 第72回 | TOP[t] | 第74回

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