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ごごばん! デイリースペシャル 〜法律クリニック〜 2012年7月3日 火曜日 (第71回)
テーマ
「個人再生について ①」
話者名 | 話の内容 |
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上柳 | 毎週火曜日この時間は、「ごごばん!法律クリニック」。ラジオの前の、あなたの法律の問題について、お話を伺います。スタジオには、白川勝彦法律事務所所長、弁護士歴40年の白川勝彦弁護士です。今日も、宜しくお願いします。 |
白川 | 宜しくどうぞ、お願いします。 |
増山 | 宜しくお願いします。 |
話者名 | 話の内容 |
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上柳 | では、今日も早速、ご相談内容ですね。トシキさん、37歳の男性からのメールです。 |
増山 | 私は今「小規模個人再生手続き」を利用したいと考えているのですが、将来の収入に不安がないわけではありません。もし、弁済途中で支払いが出来なくなった場合は、どうなるのでしょうか? 将来の収入に不安のある場合は、考え直した方がいいのでしょうか? |
上柳 | 個人再生手続き・小規模個人再生…色んな言葉があるもんですね。 |
白川 | ちょっと、難しい言葉が出てきそうですね。今日は、細かいことは抜きにして、個人再生という言葉だけを、みなさんによく覚えておいてもらいたいです。民事再生、あるいは個人再生 ─ 色々な言い方をするのですが、今は大体、個人再生と言うようになりましたから。今日は、個人再生というのはどんなことなのか、ある程度理解してもらえればいいと思います。 債務整理というのは、いつも言っている通り、自己破産があります。それから、任意整理もあります…と、話をしていますよね。 個人再生というのは、とにかく借金をチャラにしてもらうということですね。しかし、その代わり、破産というのは色んな事を含めてイメージも悪いし、自分もしたくないという人もいますね。 任意整理というのは、減らす要素があったら減らします。それから、何よりも一番怖い、金利というのはつけないでくれというのですよね。しかし、どうしても最近は法定金利が多くなってきましたから、昔のように、あんまり減らすことができなくなってきているわけですね。 その中間にあるのが、この個人再生。法律上は、例えば600万円払わなくちゃならないんだけど、600万払うと大変だから、それをまけてくれと。それを、裁判所にお願いしてもらうのが、個人再生という手続きです。 |
上柳 | やっぱり、裁判所が認めなくてはいけないんですね。 |
白川 | ところで、どれくらい減額してもらえると思います? 例えば、600万… |
上柳 | どうですかね。半分には、なんないんじゃないですか? |
白川 | 後で話しますが、個人再生の場合は、600万なら5分の1ですから、120万ですかね。 |
上柳 | そんなに! なんとかなりそうな感じ。 |
白川 | 600万を120万にしてもらえれば、だいぶ助かりますよね。500万なら、100万まで。450万でも100万と。500万から1500万までは、5分の1にします、と。1500万から3000万ある人の場合は、300万にしてあげますよ、と。3000万から5000万の人の場合は、10分の1にしますよというのが個人再生です。 ですから、借金の額が大きい人の場合は、個人再生という方法で債務整理をすることを勧めたり、一緒になって考えたりします。 非常にいい制度なんですが、手続きが結構難しいんですね。ですから、弁護士さんでも、あんまり精通されていない方が多いんです。しかし、やっぱりだいぶ良い制度なもんですから、最近はかなり、個人再生を利用する人が多くなってきましたね。私は、非常に良いことだと思っております。私なんかも、これからの債務整理は個人再生というのが中心になるかなと思っておりますが、やっぱり、色んな条件があるんです。 ご質問の方が言っている小規模個人再生というのは、さっき言った通りに減額してもらえるんですが、逆に、5分の1にされる方は大変ですよね。 |
上柳 | 立場反対にしたら、法律的にも認められた金利で貸してて、そんな額なの? 返ってくるのがって… |
白川 | されるほうは、たまりませんよね。ですから、小規模個人再生というのは基本的には、債権者の頭数で半数以上 ─ あるいは、金額で半数以上の人が反対しない場合には、裁判所からそうしてもらえますよということですね。賛成じゃないんです。反対しなければ。だから、貸金業者なんかでは無理だと。 ところが、過半数以上持っていると5分の1にされるんですから、反対するケースがありますね。 ですから、債権者が反対しないことが一つ条件だと。すると、債権者が反対する場合はできないのかというと、その場合も、ちゃんと制度としてあります。それが、給与所得者等再生といいます。個人再生といいまして、ちょっと難しいんですが、裁判所が生活状況とか給与とか、それらを全部勘案して、『このくらいなら、頑張れば払えるんじゃないですか』と、それは決めますけど、そこまでにはしてあげますよ、と。 ただし、さっき言った通り、その額は5分の1とかよりも低くなることはありません。ただ、そんなに高い所得が無い場合は、殆ど個人再生と同じくらいの額で収まりますから。ものすごく給料が高い人の場合は、『払えるんじゃないですか』と。人のを5分の1にするんだから、払える場合は払って下さいよ、ということになります。 そういうことですから、ガツガツの人の場合は、殆ど小規模個人再生と同じになりますから。 ただ、名前が給与所得者等再生といいますから、給与所得者でないとダメなんですね。ご商売の方はダメなんですね。それから、可哀そうなのはアルバイトとか派遣社員とか、契約社員が多いでしょ。そういう方の場合は、安定した収入が無いということで、認められないんです。 さて、これが一番大事なことなんですが、裁判所が『分かりました。認めてあげますから、この通り払いなさい』というのを、再生計画と言います。その再生計画の通りにきちんと払い終わったら、残りの5分の4は、法律上は免除してあげますよというのが、個人再生ですから。申し立てて、裁判所が認めたらその時点で借金が5分の1になったってわけじゃありません。ですから、裁判所は『まけてはあげますけども、本当にまけてあげたからといって、払えるんですか?』というのは、かなり厳格に見ます。 ところで、この個人再生は、非常に、今後の大事なことですから、他にも色々話をしなくちゃならないことがあるから、できれば次回、もう一回やりたいと思っております。今日のまとめとしては、個人再生という、借金の額の多い人には非常に有利なものがあるんだと言うことだけは、頭に入れておいていただければ、結構だと思います。 |
上柳 | ということで、白川勝彦弁護士でした。 |
白川 | どうも失礼しました。 |
増山 | ありがとうございました。 |
上柳昌彦氏・ 増山さやか氏 = ニッポン放送アナウンサー (文中敬称略) | 第70回 | TOP[t] | 第72回