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ごごばん! デイリースペシャル 〜法律クリニック〜 2012年3月27日 火曜日 (第57回)
テーマ
「債務整理における弁護士費用について教えてください」
話者名 | 話の内容 |
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上柳 | 毎週火曜日のこの時間は、ラジオの前のあなたの法律の問題についてお話を伺う、「ごごばん!法律クリニック」。スタジオにはお馴染み、白川勝彦法律事務所所長、弁護士歴40年の白川勝彦弁護士です。今週も宜しくお願い致します。 |
白川 | 宜しくどうぞ。 |
増山 | 宜しくお願いします。 |
話者名 | 話の内容 |
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上柳 | では早速、相談の内容をご紹介しましょう。匿名の43歳の男性の方からの、このメールです。 |
増山 | このコーナーを聞いていて、弁護士の方に費用を支払うことで債務整理が出来るというのはわかったのですが、私には正直お金が全くありません。こういう場合、相談は出来たとしても、手続きをすることはできないと思ったのですが、お金がなくても債務整理をすることはできるのでしょうか。 |
上柳 | 相談をしたいんだけど、費用がどれくらいというのが、正直なところ、一番お聞きになりたいことじゃないかなと、いつも思うんですけど。 |
白川 | 素朴かつ率直な質問ですが、真剣に考えれば考えるほど、そうだと思うんですね。 債務整理というのは、たとえば自己破産をする場合は、借金を一銭も返さない、と。その場合でも、どうしても高い安いはありますけど、自己破産を申し立てる費用ってかかりますよね。それは、何らかの意味で高い安いはありますけど、誰かがやるわけですから、その費用はかかります。だから、そのお金が全然ないというなら、それも出来ませんよということになるわけですね。 それはそれとして、この方の質問は、そういうことじゃないと思うんですね。私なりに推測すると、月々の返済で手いっぱいだ、と。安くなるかどうかは分からないけど、やってみなくちゃわからない、と。もともと手いっぱいのところに、弁護士費用が高いとか安いとか、世間で言われるよりも、そんなに高いもんじゃないんですが … それを払い、しかも、一括で払えとなると、とてもそのお金がないという趣旨なんじゃないかと思うんですけどね。 そうだとしたならば、自己破産の場合を、まずけりをつけておこうと思うんですが … 自己破産の場合の弁護士費用というのは、元金をもう返さないんですから、借金を返すというお金は、いらないわけです。あとは、弁護士費用。これも、事務所によって色々違いますけど。平均して、30万プラスマイナス10万くらいじゃないでしょうか。 それを、どう払うか。殆どの所、事務所が一括なんて言わないと思います。分割でということで大丈夫ですから、心配しなくていいと思います。 ただ、自己破産以外の債務整理する場合 ─ 任意整理にしろ、民事再生にしろ … なかには、結果として債務がゼロになって過払い金まで出るというケースもありますが、それも、ごくラッキーなケースの場合で…。やっぱり、任意整理の場合だったら、ある程度払わなくちゃならない金額が残る、と。民事再生で、大幅に減額してもらうにしても、100万以上はとにかく払うわけですね。そうすると、払うお金というのは、どうしても必要なわけですね。そのお金も全くないんだということになると、債務整理そのものは出来ないということなんじゃないでしょうか。事の性質上、そういうことだと思うんですね。 |
上柳 | やっぱり、ちょっとは返さなくちゃいけないんですね。 |
白川 | そういうことですね。ですから、月々の支払いという、あるいは弁護士さんに払う場合というのは、二つの要素があるんですね。我々弁護士が入って、安くしたり減額してもらったりする場合がありますが、本来払わなくちゃならない債務 ─ それは、その方の債務ですから、その方に払ってもらうしかありませんよね。 |
上柳 | 返さなきゃいけない借金、と… |
白川 | それとは別に、それに要した弁護士費用をどう払うか。その二つの金を、払わなくちゃいけないわけですね。 だから、性質は全く違うわけですね。ただ、それをどういう風な形で払うのかというのは、これは、事務所によって色々あります。 私は弁護士ですから、弁護士費用だけもらえば、あとは法律上一生懸命減額したりしますけど、あなたが払うべきお金は、あなたで払って下さいよ、と。和解書とか、書類を渡すので支払いは、この和解書通り払って下さいね、という事務所もあります。私の方は、費用さえもらえばいいですから、と。 一方、結局あなたが返すお金も、結果としては、私たちがお預かりして返しましょう、と。弁護士費用も、それと一緒に長期の分割にして、お支払いしましょう、と。そうすると、私の弁護士事務所の方には、月々いくら払ってくれれば、何年で終わりますよという方式でやってる事務所もあります。 私の事務所の場合は、実は後ろの方のやり方なんです。ですから、もちろん中身はちゃんと説明しますよ。弁護士費用がいくらで、本来あなたが返さなくちゃいけない債務はこれだけになりますよ、と。ちゃんと説明はしますけど、結果としては、それを全部一緒に込みにして、月々にしていくらで、何カ年払えば、あなたの借金は全部解決しますからという形で、ご説明しています。 |
上柳 | 弁護士さんに対する費用と、返さなくちゃいけない借金を分割にして、その合わせたお金を弁護士さんにお渡しして…。白川さんたちが、その中から自分たちの費用を取って、返すべきものは返すところに渡していく、と… |
白川 | …と、いう形でしています。 あなたの場合は月々いくらで、例えば、三年半かかりますよと。それだけ、噛んで含んで説明しても「ところで、弁護士費用はいくら払えばいいんですか?」と言われる方も、結構多いんですよ。だから、この方の質問は、非常に素朴なようだけど、実は、本当にやろうとすると、こういうことを真剣に考える人って結構いらっしゃるんです。 ただ、私はなんでこういう方式にしているかというと … 中身はちゃんと説明しますけど … 月々払う方にしてみると、弁護士費用も債権者の支払いも、払わなくちゃいけない額じゃ同じですよね … 性格は違うんですが。だから、自分としては月いくら … 例えば、白川事務所に払えば何年で終わるんだ、ということの目処がついて、それならば、債務整理をやろうか、それならば無理か … あるいは、もっと長くかかってもいいから、少なくなりませんかということをするために、私は、一括して、弁護士費用も本来払うべきその方の債務も、私ども経由で払うという方式を取っております。 時間もだいぶ無くなったようなので、私なりに最後説明しますが、質問の中には、債務整理の弁護士費用っていくらくらいかかるんですかと。 説明すれば、色々あります。ただ、一般論として申し上げると、債務整理で私ども弁護士が頂く費用なんて、そんなに大きな額じゃありません、はっきり申し上げて。月々の支払いそのものをかなり少なくしますから、十分、弁護士費用を含めても、今までの支払いよりもはるかに少ないお金で、借金を整理できることですから。 無責任なようですけど、そこは、弁護士を信頼して、弁護士費用などはあまり気にせずに、債務整理をして生活を立て直すということを、むしろ考えていただきたいな、というのが、最後に言いたいことです。 |
上柳 | 専門家の方に聞いて、ある程度目処が見えると、ちょっとだけ光がさしている感じになりますもんね。 |
白川 | そこが、一番大事だと思うんですね。 |
上柳 | 真っ暗やみの中、どこに行っていいかわからないって、ちょっと違いますもんね。なるほど、色々な方法があるんだなということが、よくわかりました。お時間でございます。白川勝彦弁護士でした。 |
白川 | どうも失礼しました。 |
増山 | ありがとうございました。 |
上柳昌彦氏・ 増山さやか氏 = ニッポン放送アナウンサー (文中敬称略) | 第56回 | TOP[t] | 第58回