儲けた奴は誰だ!?
08年10月29日
No.975
昨日の東京株式市場は、四百数十円上がった。ニューヨークの株式市場は九百九十数ドルという史上(?)いちばんの値上がりだったという。株をやりたいという人が最近増えているとも報道は伝えている。庶民が世界同時株安に起因する不況で苦しんでいるのに、これを一体どう見たらよいのか。
東京株式市場トータルは超短期的にはゼロサムである。要するに儲けた人と損をした人の金額のプラスマイナスはゼロなのである。労働付加価値説がいうとおり、東京株式市場関係者と株の売買をしている人々の労働の対価だけは、実体がある経済活動なのでキチンと支払われる。これが今回の株危機・騒動をみる基本的な視点であろう。
世界のそれぞれの株式市場も同じである。それぞれの市場もゼロサムである。だからトータルとしての世界の株式市場はゼロサムなのである。ということは、世界中がこれだけ大騒ぎしているのに、誰かがちゃっかりと儲けているのだ。私はそれが誰なのか知らないが、バーチャル経済の専門家はそれを突きとめるくらいのことは可能であろう。誰が儲けたかが判明すれば、対策のあり方も自ずと明らかになろう。
「100年に一度あるかどうかの大危機だ」という人もいるが、そういう直感は私にはない。私に言わせてもらえば、バブルが崩壊しただけではないのかというのが実感である。私は株や不動産や商品取引に興味がない。そんなものは所詮ゼロサムゲームなのだ。誰かが儲ければ、誰かが損をするのだ。儲けた人々を羨ましいとも思わないし非難するつもりもない。しかし、所詮はゼロサムゲームに過ぎないのだ。
カジノ場と同じである。博打場のようなものである。カジノ場が悪いとはいわないが、「堅気衆には迷惑をかけるな!」と私は思ってきた。政治は堅気の人々のものである。真面目に働く国民のものだ。わが国では昔から博徒が博打場を仕切ってきた。博徒は裏の世界の日陰者であった。裏の世界の日陰者はひっそりと振舞わなければならない。堅気衆に迷惑を掛けてはならない。ところが、バブルの時代になると日陰者が大手を振って闊歩するようになった。
この日陰者たちがバブルを作ったのか、バブルが彼らを表の世界に引き出し闊歩させるようになったのか。彼らにバブルを作り出す力があるとは思えない。バブルが日陰者を表の世界の主役に仕立て上げたのだ。これには国民も“少し”関係している。国民全体の中に濡れ手で粟という雰囲気が“少し”出てきていたのだ。私はそれを非難しようとも思わない。多少の“夢”を求めることが悪いとは思わない。しかし、国民皆が濡れ手に粟などということはあり得ないのだ、ということを諭すのも政治家の役割だと私は思ってきた。
自公“合体”政権は、金融危機に対する緊急措置と称していろいろなことを発表するであろう。しかし、自公“合体”政権に今回の危機を収める力はない。今回の危機を収めるのは政策ではない。政策以前に必要な“政治力”なのである。自公“合体”政権には、すでにその政治力がないのである。政治力がない者がいくらお金をばら撒いても危機・騒動は収まらない。最悪なのは、世界的危機を救うと称して税金を投入して特定の人々を儲けさせることである。自公“合体”政権のやることなど油断も隙もならない。今日はここで止めておく。
それでは、また。