対テロ戦争の正当性!?
07年11月01日
No.599
今年も早や11月となった。可もあり、不可もありの今年だった。残りの2ヶ月間、少し気合を入れて諸事に取組み、今年を可として新年を迎えられるようにしたい。北海道からは雪の便りも届く。私の風邪の方は、昨日薬局で薬を買って飲み始めたらだいぶ楽になってきた。はやく完治させなければならない。ところでインド洋における給油活動は、本日でその法的根拠を失った。
いうまでもなく、テロ特措法の期限が昨日をもって終了したのである。自公“合体”政権は通常国会であれだけ強行採決を行ったのに、このテロ特措法の期限を延長しておかなかったことをきっと悔やんでいるだろう。まさか参議院選挙であんなに負けるとは思っていなかったのだろうか。それは違う。選挙のプロならば、それは覚悟しておかなければならないことだった。自民党や公明党には選挙のプロがいないというのか。そんな馬鹿なことはあるまい。
いま自民党や公明党は、インド洋における給油活動が国際的に高く評価され、これを止めた場合国際的に決定的なマイナスの評価を受けるといっている。国益を失うという。そんなに大切なことならば、参議院で過半数を確保していたときになぜ強行採決をしてでも期限を延長しておかなかったのか。教育基本法などの改正法や憲法改正国民投票法を強行採決することの方が重要と考えたのだろう。わが国にとって当面必要もないこれらの法律よりも下位と考えたのだから、自公“合体”政権が大袈裟にいうほどわが国にとって大切な法律でもないのだろう。
ところでテロ特措法の正式名称は、「平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法」という。現時点においてもっとも長い名称の法律だったという。しかし、端的にいえばアメリカのアフガニスタンに対する武力攻撃・侵攻を支援するために法律である。
アメリカはアフガニスタンに対する戦争を自衛戦争と位置づけた。この武力攻撃・侵攻は、“対テロ戦争”と呼ばれた。イラク戦争もイラクの大量破壊兵器保有を口実にしたアフガニスタン侵攻につづく“対テロ戦争”として始められたと私は記憶している。小泉首相は同盟国であるアメリカの戦争を支援することを当然と考え、テロ特措法とイラク特措法を制定した。当時のことを思い出すと、あの衝撃的な同時多発テロのために冷静な議論がされたとはどうしても思えないのである。
他国に対する武力攻撃・侵攻にどのような名前をつけようと、それは戦争である。そして“良い戦争”などというものはないものである。イラク戦争の嘘はいまや世界の常識となった。アメリカ国内ですらイラク戦争の正当性が疑われている。アフガン戦争の正当性も私は不動とは決して思っていない。いまもってビン・ラデン・アルカイダとタリバン政権との関係は世界的に明確に立証されていないのである。そのことが明確にされなければアフガン戦争の正当性にも疑問が生じる。
いずれにしてもアフガン戦争とわが国が関係する法律は消滅した。インド洋にいる海上自衛隊は撤収する。インド洋における給油を根拠付ける法律が近い内に成立するとは思えない。ものには機縁というものがある。アフガン戦争を原点に立ち返って検証してみる良い機会である。そして「テロ」に対する“戦争”などということが、そもそもあり得るのかということも考えなければならないと私は思っている。
それでは、また明日。