爽やかな初夏の日に
07年04月29日
No.410
連休2日目である。今日は全国的に爽やかな天候のようである。天気が良いということは素晴らしいことである。きっと経済的効果も大きいのであろう。何よりも精神的に及ぼす影響は大きい。私が辿りついた政治の目標は畢竟(ひっきょう)“爽やかな秋晴れのような社会をつくる”であった。平成5年に国会に復帰したときのパンフレットのキャッチコピーだった。何も秋晴れでなくともいい。爽やかな天気であることが大切なのである。
現在のわが国の社会は、果たして“爽やかな秋晴れのような社会”であろうか。私はとてもそうとは思えない。私にとっては決して容認するすることができない“自公合体政権”がこの国を支配しているからである。政治的にみれば同意もしくは支持できる政権があるかどうかということであろう。民主主義は“被統治者の同意ある統治(支配)”を実現するところに最大の目的と価値がある。即物的な善政をすることは同意ある支配を得るために大切なことである。しかし、即物的な善政をしたからといって国民から同意が得られるとは限らない。国家・社会の運営の仕方も大切な要素であろう。私などはこちらの方を重視する方である。
安倍自公合体政権は果たしてこの両面からみて善政をやっているのだろうか。即物的な政策の面でも、財政赤字を理由にかなり乱暴な施策をやっている。中流階層意識をもてない人が明らかに減っている。かなりの人々が中流階層からドロップ・アウトしていると感じているのである。これは健全な社会をつくる上でかなり重要な問題だと私は思っている。戦後わが国は中流社会を理想としてきた国家なのである。これを国民が不満としたことはない。自民党の一部からそういうことがいわれてきただけなのである。それも小泉内閣になってからの顕著な傾向であった。その震源はアメリカのネオコン支配にある。アメリカのネオコン支配は支持を失い、アメリカでも国際的にも終焉が近づいている。
自公合体政権の“いかがわしさ”も問題であろう。こういう“いかがわしさ”こそ、爽やかの社会をつくる上でいちばんの問題点なのであろう。松岡農水大臣の“光熱水費”は、この典型ではないだろうか。安倍首相は、松岡大臣を何がなんでも守ろうとした。安倍首相は身なりなどにはずいぶんと気にしているようだが、政治的スタイルや内実に無頓着である。政治的価値観においても多くの国民の価値観とは明らかに異なるものである。多くの国民は日本国憲法的価値観を是としている。安倍首相はこれを戦後レジームとして否定・嫌悪している。これこそがいちばん問題ではないのか。同意ある支配には、価値観を共有することがもっとも大切なことである。
『日本国憲法は「押し付けられた」と思った人々が押し付けられただけで、制定当時圧倒的多数の国民は大歓迎をしていた模様です。
「押し付けられた」と思った人々は要するに右翼の人々ですね。
私は、テレビはほとんど見ませんが、「押し付けられた」といっている人々は、自ら が救いようのない右翼であることの任意の自白でしょう。
日本国憲法は別に国民が「押し付けられた」わけではありません。
軍部が「押し付けられた」だけなのです。』
いつも紹介している“平成海援隊Discussion BBS政治議論室”の松林さんの書込みに対して、私は次のように書込みをした(2007・4・29)。
『昔、早川崇(たかし)さんという自民党代議士がおりました。通算14期も衆議院議員を務められた人です。私が当選した昭和54年にはまだご健在でした。ある時自民党憲法問題調査会で憲法改正論者が改憲の主張(それはほとんどが自主憲法を制定すべきというものです)を激しく述べた時、会の終わりころ早川代議士が、
「憲法が制定された時に私は国会にいたが、ほとんどの国会議員が良い憲法ができて良かったなぁと素直に思っていた。そういう雰囲気だった。押付けられた憲法という気持ちはほとんどなかったなぁ」
と静かな口調でしかし毅然と発言されました。これには誰も反論できず、そのときの会合はそれで終りました。実際にその場にいた人の発言というのはすごいものだなぁと私は感じ入りました。その後、自民党の憲法問題調査会にはほとんど出席するようにしていましたが、多々弁ずるだけで、私が自民党にいた時には憲法改正草案を作るなどという決めたことは1回もありませんでした。自民党の憲法問題調査会は、自民党が多くの議席をもっている時は活発になり、自民党が選挙で良い成績を残すことができなかった期間はあまり開催もされませんでした。憲法改正は“自民党の党是”といわれておりますが、実際のところはこんなものだったのです。 自民党憲法改正草案が決められたのは、私が自民党を出てからです。この7年近くのことに過ぎないのです。
公明党との連立で安定多数をもったと自民党が錯覚してからの現象なのですねぇ。公明党は連立により自民党にそのような錯覚を起こさせているのです。自民党は、単独では過半数をとる力もいまやないのですがねぇ……。公明党は憲法改正には慎重というイメージを今なお出していますが、実際に果たしている役割はこんな状態なのです。自公合体政権の弊害は、この辺にも見られるのかもしれません。』
自公合体政権は“いかがわしい”だけでなく、詐術的・暴力的である。このことは『フォーラム21』に連載した「創価学会党化した自民党」で詳しくのべたつもりである。5月1日号のタイトルは、“庇を借りて母屋を乗っ取る、寄生獣(パラサイト)的体質”である。連休中に白川サイトでもupdateするので、ぜひ読んでいただきたい。寄生獣(パラサイト)に乗っ取られたわが国が爽快である筈がない。また国民が豊かに安心して暮らせる筈がない。それなのにどうして安倍内閣を支持する国民が増えているのだろうか。今日のような爽やかな天気に恵まれた日に、政治の爽やかさということをぜひ考えてもらいたい。
それでは、また明日。