民主進歩党勝利―台湾の春を祝う。
16年01月16日
No.1806
ようやく、“冬らしい気候”になってきた。わが国では、寒くなるのを喜ばしく表現するなど、あまりなかった。しかし、地球温暖化に対する脅威なのだろうか、最近は気象情報などで、「ようやく冬らしい気候となるでしょう」といった表現を耳にすることがある。確かに、東京ではこれまであまり寒い日はなかった。ようやく、寒い日が来たのだが、だからと言って、地球温暖化問題が解決された訳ではない筈だ。
私はいま、台湾の総統選挙の結果を待っている。民主進歩党(民進党)の蔡英文女史の当選は確実なようであり、かつ、かなりの圧勝のようであるが、やはり、最終的な結果を見たいものである。最近、私は台湾に行っていないが、嘗てはよく行った。あれは、1980年代後半であった。その頃は、もちろん国民党の独裁政権時代であった。
冷戦時代ということもあって、大陸と台湾は厳しく対峙していた。私が行った頃の台湾は、まだ貧しかった。共産中国と戦わなければならないという台湾政府要人の演説を、よく聞かされたものである。その後、中国大陸も台湾も大きく変わったが、今回の選挙の最大の争点が“対中政策”であるというのだから、まさに昔日の感を新たにせざるを得ない。
あれだけ“共産中国との戦い”を強調していた国民党政府の親中国路線に、多くの“台湾人”が危機感をもっているのだという。表面的にはまさに歴史の皮肉だが、「独裁と事大主義」がキーワードなのではないだうか。台湾において、“親中国政策”に異を唱える意味を、私たち日本人はよく考えなければならない。わが国で“日米同盟”に異を唱えるのとは、次元の違う厳しさがあるのである。
8年ぶりの政権奪還と報道されるので、前の総統選の勝利者は誰かと調べた。2000年には、陳水扁氏が当選していたのだ。さらに、2004年に再選されてもいたのである。そう言われてみれば、陳水扁の名前は憶えている。しかし、その時の争点が何であったのか、私には思い出せない。蔡英文女史は、2012年の総統選挙で現職の馬英九氏に敗れたが、再度の挑戦で勝利を掴んだのだ。なかなかの政治家のようである。注目していきたいと思っている。
前にも書いたが、ミャンマーのアウンサン・スチー女史の勝利は、特筆すべきことであったと思う。そして今度は、台湾の蔡英文女史の勝利だ。彼女らが戦った政権は、安倍政権よりも強権的で、独裁的であった筈だ。また、経済的・政治的・社会的な諸情勢も、厳しかった筈である。だとしたならば、わが国で、安倍政権に勝てない筈はない。多くの国民や野党指導者に、そのことを知ってもらいたいのである。
今日は、このくらいにしておこう。それでは、また。
P.S. 最終結果をネットで調べた。
総統選挙 | 蔡英文 | 690万票 | 得票率56% |
立法院(国会)選挙 | 民進党候補 | 68議席 | 定数113議席 |