身近な“原始蓄積”
08年07月19日
No. 874
今日から三連休である。久しぶりの三連休のような気がする。学校は夏休みに入るらしい。私が小学生だったころ(昭和27年から33年まで)、夏休みは8月1日からだった。夏休みが10日も早くなり、かつそれだけ長くなったということだ。それが教育上、子供たちにとって良いことならば何も文句をいうつもりはない。福田首相も夏休み中だという。平和な日本だ!?
私は今日も仕事だ。事務所に出る。多重債務で悩んでいる方が事務所に来れるのは、土日しかないという人が多いからである。多重債務で悩んでいる人の中には、派遣社員の方も沢山いる。派遣社員・非正規労働者の場合、会社が休みだと働く訳にもゆかず、給料は働いた分しかもらえない。もちろん土日だからといっても利息は付く。多重債務者にとって、土日は必ずしもうれしい日だけではないのだ。
多重債務を任意整理する場合、月々幾ら返済できるかということは重要なことである。弁護士会の基準では、和解による任意整理の場合、原則として3年以内で整理するように定めている。利息制限法で定める金利を大幅にオーバーする(26~28%)金利で借りていた場合、過払い利息は元本に充当されるので、かなり長く借りているケースでは依頼者が申告した債務額よりかなり減る。そうした場合には、3年以内で解決することは十分できる。債務がなくなり、過払い金を返還してもらえることも結構ある。
グレーゾーン金利を廃止しようという流れの中で、大手消費者金融の場合、金利は利息制限法の範囲内となっている。だいたい平成19年ころからである。この場合、過払い利息はないので債務額は減らない。借り始めたのが平成17~18年の場合、借りている期間が短いことと過払い利息が少ないために、債務額があまり減少しない。しかし、大手消費者金融でも、自動的に法定利息に引き下げる訳ではないので、けっこう債務額が減少する場合もある。本気で債務を整理しようと思うなら、やはり弁護士に相談することをお勧めする。餅屋は餅屋だ。
閑話休題。多重債務を任意で整理しようとする場合(すなわち、破産や民事再生手続によらずに整理しようとする場合)、月々幾ら弁済できるかということが大きな問題になる。だから白川勝彦法律事務所では依頼者や相談者の家計状況を伺っている。その項目の中に住所費がある。手取20数万円の中から家賃か住宅ローンを8~10万円支払わなければならないとすると、他に回せる金額は自ずから決まってくる。弁済金もその中から捻出しなければならない。
持ち家のある人や実家で生活している場合、そうでない人に比べ家賃負担がないことはかなり重要な要素となる。もっとも持ち家があっても住宅ローンが残っている場合は、家賃を支払わなければならないケース同じである。しかし住宅ローンは資産として残っていくのであるから、貯金と考えればよい。家賃負担のない所で生活できるということは大きな意味があるのだ。自分で買った家であろうが、相続で取得した家であろうが、実家に居候している場合でも・・・・・。
月々の家賃やローンを払わなくても住めるということは、“原始蓄積”があるということなのだ。“原始蓄積”があるか否かは、その社会の経済の発展にとってきわめて重要な要素である。住宅ローンを払い終え苦労して自分の家を手にした人には、“原始蓄積”の大変さか分かる筈である。相続でこれを手にした場合、お父さんかお爺ちゃんの“原始蓄積”を貰ったということなのだ。これは家庭に限らず、国家や社会についても言えると思うのである。EUが存在感を増している。それはどうも“原始蓄積”の差なのではないかと私は感じている。そのことは別に述べたいと思っている。
それでは、また。