不景気の原因…!?
11年10月17日
No.1517
10月16日の日曜日、東京は穏やかな天候であった。先週の三連休、私は休みなしだった。実に久しぶりの休日であった。白川勝彦法律事務所は小さな事業体であるが、それでも事業を続けるためにはそれなりの苦労がある。気も使うし、悩みもある。だから、1週間に1日くらいの休みは必要だ。私は1日中、テレビを見たり風呂に入ったりして、のんびりと過ごした。
それにしても不景気だ。今回の不景気は、深刻である。世の中全体が暗くなっている。誤った計画停電で東京の街は暗くなってしまったが、節電の必要がなくなった今でも、東京の街は依然として暗い。物理的に街が暗いのは夜だけだが、昼間でも暗いのだ。不景気な話ばかりで、世の中は暗くなってしまった。不景気の原因である経済の停滞には、いろいろな原因がある。不景気を招いた原因は、政府だけとはいわないが、経済の停滞に対策を打たなければならないのは、政府の責任である。
経済の停滞を克服するような対策を打ち出すためには、経済を停滞させている原因をじっくりと考えなければならない。更に遡って、そもそも政府に景気浮揚をする力などあるのだろうかと、考えてみる必要がある。この問題を考える場合、後者について考えた方が早いかもしれない。私は、ご存知のように根っからの自由主義者なので、「資本主義社会においては、政府が積極的にできる経済政策など、言われるほど大きなものではない」という結論になる。
それは、私の主義主張として言っているのはなく、私の体験として言うのである。私は、昭和54年から平成12年まで、20年以上にわたり政権政党の国会議員として実態を見てきた。その実感として申し上げているのである。政府は、不景気になると経済対策と称していろいろな経済対策を行ってきたが、国会議員や官僚が自慢するほど大した成果を挙げた記憶はない。政府が行う経済対策には、国民の税金が使われる。にも係わらず、貴重な税金を使ってやる割に、その効果は国民に及ばないのである。
私は、経済に対して政府が無力だなどといっているのはない。何時の時代でも、いうまでもなく政府は、経済の動向に大きな影響力をもっている。しかし、資本主義経済社会では、政府が行う事業ではなく、その仕組みが、主として大きな影響力をもっているのである。経済運営・社会統治の仕組みを作ることは、政府の本来的な仕事である。その仕組みの善し悪しが、経済の状態を決定するのである。
経済運営の仕組みを作る場合、政治哲学と政治理念を抜きに考えることはできない。現在の深刻な不景気に対する諸政策を議論する場合にも、政治理念を抜きして語ることはできない。いま各政党が不景気対策を口にするが、その政治理念を明確にしないから、いつまで経っても成果が挙がらないのではないだろうか。資本主義経済を前提にする限り、「経済の主体は民間である」ことを前提にしなければならない。単純だが、このことは極めて重要なのである。
経済が停滞してるのは、民間の事業体の日々の事業が停滞しているからである。停滞している事業を活性化させるには、その事業を行っている民間の事業体が、意欲と希望をもって諸事業を進められるようにしなければならない。民間の事業を活性化させるのは、なによりも智恵が必要である。資金が必要な場合もある。智恵とお金の、どちらが優先するのだろうか。多くの人はお金というかもしれないが、私は智恵だと言いたい。智恵を働かせ、これまでにない仕事を遂行する場合にのみ、新しい事業は成功する。仮に資金が必要だとしても、智恵に裏付けられた事業でなければ、幾ら資金があっても成功は期待薄である。
智恵に裏付けられた事業計画=プロジェクトの可能性の成否を見極めるのも、民間の専門家でなければならない。その可能性の成否を見究めて資金を提供するかどうかも、民間の事業でなければならない。その仕事をプロとして行う専門家が、 banker である。私は、わが国にはこのような banker がいないと思っている。多くの銀行(bank)はあるが、bankerなど存在していないというのが、私の感想=意見である。
話は大きく難しくなった。しかし、私の考えは、たぶん間違っていない。時々、これから具体的に述べることにする。今日は私にとってまだ休日なので、このくらいにしておこう。