安倍首相の異質さの正体
14年08月07日
No.1688
前号で「暑くなければ困るのだ。」と粋がってみたが、やはり気温が35℃を超えると、流石にしんどい。でも、私はこの間、白川勝彦法律事務所に毎日きちんと出勤し、仕事をしてきた。事務所のスタッフも真面目に勤めており、業務にはいささかの遅滞や支障はない。私も事務所スタッフも、真面目なことが取柄で、それが白川勝彦法律事務所の特長であり、信用の基となってきた。
広島・長崎の原爆慰霊日、8月13日からの旧盆、そして8月15日の終戦記念日。戦後69年間、8月は先の戦争に想いをいたし、戦没者を慰霊する月であった。そのような気持ちで日本国憲法前文と9条を読むと、平和を希求する思いが強くなる。しかし、安倍首相とその仲間は、そのような気持ちになれないようだ。石原慎太郎氏に至っては、悪文で気持ちが悪くなるという。石原氏が中国のことをわざわざ「支那」と言うのを聞くと、私は気持ちが悪くなる。
先の戦争の惨禍に想いをいたし、戦没者を慰霊することは、わが国の戦後を特徴づける習わしであった。それはお盆と深く関係しているような気がする。私は、こういう習わしは間違っていないと思うし、好きであった。昭和天皇は、重い病を押して昭和63年の終戦記念日に参列された。壮絶であった。今上天皇と皇后は、いつも戦争の惨禍を痛み、慰霊に努められておられる。多くの国民は、これをごく自然に受けとめている。
しかし、安倍内閣の誕生以来、安倍首相とその仲間はこの習わしに“異質な雰囲気”を持ち込んでいる。集団的自衛権の行使容認を閣議決定した今夏は、特にそういう気がする。多くの国民は、安倍首相の行いの本質を見抜いているのだ。保守とは、特段変える必要のないものを安易に変えない生き方をいう。戦争の惨禍に想いをいたし、戦没者を慰霊する戦後の習わしは、特段変える必要があるのだろうか。安倍首相などを右翼反動というが、彼らは保守政治家でないのだ。このことに、そろそろ国民は気が付かなければならない。
以上、わが国の平和主義という国是に、安倍首相とその仲間が異質なモノを持ち込んでいることを述べたわけだが、この外にも、安倍首相らはいろいろな分野に異質なモノを持ち込んでいる。経済と労働の分野にも、わが国がこれまで大切にしてきたことを蔑ろにしている ─ いや、破壊しようとしている。わが国は、労働者を大切にする労働法体系を、長い間かかって築き上げてきた。しかし、昨今は労働法なんて糞喰らえという風潮だ。
一部には“人手不足”があると言われているが、低賃金など労働条件が劣悪なために、人が来ないだけの話なのだ。非正規労働者が就業者の三分の一を超える超えるなどということは、戦後の混乱期を除いて、わが国ではなかった話である。労働の柔軟性を図るためと言われているが、これを強調する竹中平蔵の弁など、詐欺師のやり口を思い浮かべざるを得ない。
わが国は、中国と韓国との付き合いを特別に大切にしてきた。“一衣帯水”や“3000年余の長い歴史”などは、中国や韓国と付き合う場合の、双方の慣用句であった。「遠くの親戚より近くの他人」と、私たちはよく言う。善隣友好は、わが国の習わしなのだ。安倍首相とその仲間は、わが国の伝統的な外交ができないのである。安倍首相が総理大臣である限り、中国や韓国との友好的な関係は保てないという雰囲気が出てきた。これは、深刻な事態である。
今日は立秋である。この暑さも、もう暫くであろう。しかし、安倍首相という鬱陶しい存在とその政治は、自然と収まらない。最大の原因は … 何が良いのか私には理解できないのだが、多くの国民が安倍首相を支持していることにある。多くの国民が安倍首相を支持している原因には、拝金主義と排外主義があると私は思っている。拝金主義と排外主義は、わが国の伝統的価値観になかった。これについては、後日に譲ろう。
それでは、また。