あゝ無題 ─ 2
14年05月24日
No.1671
5月24日午後7時のNHKニュースを見ていたら、石破茂自民党幹事長がトンデモない発言をしていた。早晩大きな問題になると思うが、「集団的自衛権の行使を認めることは、わが国の抑止力を高め、わが国を侵略から守り、国民の命と暮らしを守ることに通じる」というような趣旨だった。石破氏の軍事オタクは知られているが、安保政策と憲法問題は性質が異なるのだ。いま争われているのは、わが国は集団的自衛権を行使できるか否かなのだ。
わが国の歴代政府は、「憲法9条は、集団的自衛権の行使を禁じている」と解釈してきた。これは、確定した政府の憲法解釈である。憲法9条を変えることなく、集団的自衛権の行使を認めるのは、実質的に憲法9条を変えることである。安倍首相とその仲間は、憲法改正を政府与党だけで行おうとしているのだ。これは、民主主義を侵すことであり、わが国の政治のあり方を根本から変えることである。
なぜ歴代政府が、集団的自衛権の行使は許されないとしていたのか。集団的自衛権を行使すれば、わが国が戦争に巻き込まれる可能性が著しく高くなるからである。それは「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意した」憲法9条の立法趣旨から自然に導き出される憲法解釈であり、正しいし、かつ賢明なものであった。
安倍首相とその仲間は、なぜこれを変えたいのか。なぜ、これまでの政府解釈では満足できないというのか。彼らは、国際情勢や世界の軍事情勢が大きく変わったからだという。しかし、自民党の中で、長い間こういう手合いと論戦してきた私は知っている。彼らは、昔から現在のような主張をしていたのだ。世界の軍事情勢を持ち出すならば、冷戦時代のそれは、現在のそれよりもはるかに厳しいものだった。
わが国の独立を守り、国民の生命と財産を守ることは、政治の厳粛な義務である。最悪の場合、自衛のための戦争をも決断しなければならないのである。その決断をしなければならないのが、総理大臣である。だから、総理大臣たる者、あらゆることに配慮して発言し、行動しなければならない。ぺらぺらと喋れることではないのだ。いや、ぺらぺらと喋っちゃいけないのだ。総理大臣の発言が戦争を招くことだって、あり得るのだから。
これから当分の間、まだまだ集団的自衛権の問題は続く。国民は、この問題から目を逸らしてはならない。さまざまな問題は起こるが、わが国が平和国家として歩んできた道を曲げてはならない。“積極的平和主義”などというマヤカシの言葉に、騙されてはならない。いまや永田町は、詐欺師みたいな政治屋に占拠されている。そのような輩を見抜き、平和で繁栄する日本を作るのは、国民の仕事である。
今日は、このくらいにしておこう。それでは、また。