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日米同盟と日英同盟

14年04月26日

No.1666

新緑イメージ

春爛漫から、新緑の候となった。私の近辺の樹木も、一斉に新緑を競っている。気温も、丁度よくなっている。今日から大型連休が始まったらしいが、私はいつものように、今日も白川勝彦法律事務所に出勤した。事務スタッフも、連休前に済ましておきたい事を処理するために、全員が出ていた。私の事務所では、皆が5月3日から6日までの4日間を休むようだ。

オバマ米大統領の来日で、私の通勤路は、警備でかなり渋滞した。何もこんなに過剰警備しなくても良いと思うのだが、最近の警備当局は、やけに高揚している。私はそういうことが、あまり好きではない。安倍首相とその仲間は、こういうことが好きなのであろう。そんな気持ちで車に乗っていると、普段それとは気付かずにいる分離帯や歩道のツツジが、見事な花を咲かせている。植物は、本当に強く逞しい。

先週の永田町徒然草で書いたが、安倍首相の今回の入れ込みようは、異常だった。共同記者会見だったと思うが、「日米同盟は復活した」と、安倍首相が誇らしげに言っていた。日米同盟のどこが壊れ、誰が壊したのか知らないが、日米関係がそんなに簡単に壊れる筈はない。日米関係は、わが国の外交そのものだからだ。日米関係の歴史を多少知っている者に言わせれば、日米関係をいちばん危うくさせているのは、安倍首相とその仲間の時代錯誤の価値観である。

「尖閣諸島は、日米安保条約の適用地域である」と、オバマ米大統領の口から言ってもらったのは、外交上の大きな成果である ─ と、政府関係者やわが国のマスコミは大々的に喧伝している。まるで、鬼の首を取ったような喜びようだ。しかし、そんなに大騒ぎする程のことなのだろうか。尖閣諸島を長い間わが国が実効支配している点については、関係国の間で争いがない。わが国が実効支配する地域が日米安保条約の適用地域であるのは、当然のことなのだ。

それにしても、“日米同盟”という言葉が、なぜこうも持て(もてはや)されるのか。日米同盟という場合、普通それは「日米軍事同盟」というニュアンスで使われる。他国が日本に対して軍事攻撃を加えた場合、アメリカは、日本を守るために軍事行動をとる。それが、軍事同盟上の意味だ。アメリカの大統領にそう言ってもらうことが、そんなに嬉しいのだろうか。

他国がわが国に対して軍事攻撃を加えてこないように、あらゆる努力をすることが、いちばん重要なのではないか。日米安保条約で日本防衛の義務を負っているアメリカも、それを望んでいるのだ。今回の共同声明でも、アメリカ側からそれを期待されている。ところが、アメリカが付いているんだから、「来るなら来い」と言わんばかりの喜びと勢いだ。これには、オバマ米大統領も「一寸いい加減にしてよ」と言いたくなるだろう。

日米同盟という言葉を聞かされる度に、私は、かつての日英同盟を思い出す。日英同盟は、明治時代わが国が国際社会に進出していく上で大きな役割を果たした、正真正銘の軍事同盟であった。当時のイギリスは、現在のアメリカのような超大国であった。だからといって、その時々の超大国の“虎の威”を借りて、己を大きく見せようとするのはどうだろうか。わが国は、己自身の徳と力を蓄えることにより、世界各国から尊敬と畏敬を得なければならない、と私は思っているのだが…。

今日は、このくらいにしておこう。それでは、また。

  • 14年04月26日 10時10分PM 掲載
  • 分類: 1.徒然

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