世界を動かす意志の力
13年09月10日
No.1607
トルコ中部のカッパドキアで日本人女子学生が男に襲われ、一人が死亡し、一人が重傷を負った。痛ましい事件である。その報道で知ったのだが、カッパドキアの地では、犠牲になった日本人に哀悼の意を表するために、日の丸が店や建物に掲げられているという。トルコは非常に親日な国であり、その表れなのであろう。この日曜日には、イスタンブールと東京は、オリンピックの開催を激しく争い、東京が勝った。それなのに…。
イスタンブールが敗れたのは、不運が重なっていたからだ。トルコ国内の反政府運動は、もう治まっている。いちばん大きく影響したのはシリア情勢であったと、私は思っている。トルコには、現在も多くの難民がシリアから流入しているのだ。だから、わが国でも、あまり大はしゃぎするのは慎んだ方が良いと思う。「おもてなし」も大事なことだが、惻隠の情は武士道の精神であり、日本人の大切な精神だと思う。
そのシリア情勢が、大きく動き出した。今週に入ってから、世界市場で株価が大きく上がっている。市場は、アメリカの軍事介入が回避されると見ているのだ。昨日今日と、日本の株価もかなり上がったが、世界のこの流れのひとつだと思う。オリンピック効果とはしゃぎ過ぎているわが国の様子は、他の国から見たら、前記のことと合わせて、井の中の蛙と思われても仕方ない。私たちは、グローバルな感覚を磨かなければならない。
シリア情勢が良い方向に向かっているは、武力によるのではないと思う。オバマ米大統領の強い意志なのだと、私は思っている。「イラク情勢とアメリカ議会の動きを注視せよ」と、私が訴えてきたのは、そのことなのである。“具体的状況の具体的分析”によってしか、真実は見えないし、私たちの思考も深まっていかない。この間、多くの人々のシリア問題に関する発言を、私は注意深くフォローしてきた。紋切りの発言が多く、失望することが多かった。
今日は、このくらいにしておこう。それでは、また。