1 表紙が変わっただけの自民党 2月4日の私の決起以来、約半年が経ちました。半年足らずでありますが、いろいろなことがありました。沈没寸前の森内閣から、80%を超える小泉内閣という化け物の出現が、何といってもいちばん大きい変化でしょう。 一部の野党などは戸惑っているようところもありますが、私には何の迷いも躊躇(ちゅうちょ)もありません。自民党の本質に何の変化もありませんし、自公保体制に対する私の認識を少しも変える必要はないと思っています。自公保体制は、日本の自由を死滅させます。 自民党は自分たちの命が危ないと思い、苦し紛れに小泉氏を総裁にしただけです。自民党は自らを変えようなどという気持はまったくありませんし、変わってもいません。中曽根・野中氏に代表される自民党守旧派の人たちの高笑いが、私にはハッキリと聞こえます。 そして、今回の参議院の有力候補者の顔ぶれをみれば、相も変わらず各省庁の官僚OBです。これをそれぞれの省庁につながる業界が必死になって応援しています。政官業の癒着構造は、これまでの自民党の参議院選挙とまったく変わりありません。 2 小泉首相は本当に改革者か 「改革者」小泉氏に、そもそも問題があるのだと私は思ってきました。だんだんとそのことがハッキリしてきました。まず最初に指摘しておきたいことがあります。昨年11月の加藤騒動のとき、小泉氏も田中真紀子氏も、中曽根・野中氏たちと一緒に加藤氏を弾圧する側に回った人たちだったということです。たとえ加藤氏がこのことを忘れてたとしても、私は忘れません。加藤騒動こそ、自民党リベラル派が殲滅(せんめつ)された重大な出来事だからです。 小泉氏は派閥政治を打破したといわれますが、小泉氏が会長をつとめていた森派は一体どうなったのでしょうか。首相を辞めた森氏が会長におさまって、文字どおりの森派として現に存在しています。これは大政奉還以外の何物でもありません。 長年の友人として私が小泉氏に期待したことは、「隗より始めよ」で、せめて自からが会長である森派を解散することでした。私は、それならば小泉氏に、改革者という賛辞を与えたいと思っていました。自からの権限と決断でできることをしない人に、他人を変えることなどできる筈がありません。 「聖域なき構造改革」──誰も反対することのできないいいキャッチ・フレーズです。しかし、問題はその方向性と中身です。小泉氏が具体的に言及した改革案から、その方向性や中身をみるとハッキリいって極めて問題があるといわざるを得ません。 3 国家主義的な改革の方向 憲法9条改正と有事法制の制定、靖国神社公式参拝問題、社会防衛的な刑法改正案、個人情報保護法(コンピュータ管理法)案の国会提出、税の理論を無視した道路特定財源の見直し、自公体制の維持、京都議定書問題の対米従属などなど。 これらは、少なくともリベラルなものでないことは明らかです。ありていにいえば、国家主義的な方向性がハッキリと窺(うかが)えます。だからこそ、中曽根大勲位は小泉氏を断固支持するといっているのでしょう。小泉改革で困っている自民党の国会議員はいませんし、苦虫をかんでいる人もごく少数でしょう。小泉氏と自民党が対立しているなど、真っ赤なウソです。自民党の国会議員は、小泉氏の出現により、これで自分たちの命がつながったと「小泉さまさま」なのです。 現在の小泉人気は、マスコミの無批判かつ無内容な小泉あおりにあります。これに気が付いた賢明な人たちが出始めました。経済界がまず小泉改革を突き放し始めました。株価の低迷は、その証拠です。不良債権の処理だけだったら、それは単なる整理屋に過ぎません。 いま必要なものは、官僚のくびきの中で伸びることが押さえられている、民間の活力と叡智(えいち)を引き出すことなのです。本当の自由革命が求められているのです。小泉氏や田中氏の改革に明るさがないのは、この哲学がないからです。 4 自由のため、敢然と戦う! 小泉氏のあまりのパフォーマンスに、心ある人は辟易(へきえき)し始めました。私もその一人です。いま、わが国に必要なものは、選挙目当ての派手なパフォーマンスではなく、小さくてもできることから直ぐ改革を断行することなのです。総理・総裁には、絶大な権限があるのです。総理・総裁たる小泉氏が決断すれば、直ぐにできることは山ほどあるのです。 小泉人気で自民党が伸びれば、経世会=橋本派が殖えるだけです。だから、小泉内閣は自民党延命内閣だ、と私はいうのです。小泉フィーバーと加藤騒動の違いはここにあります。自民党の懲りない面々は、猫をかぶることなど平気でやります。自社さ政権を作ったとき、私はこのことをイヤというほど思い知らされました。賢明なジャーナリストや評論家は、このことに気が付いてもいいし、このことを明らかにする責務があると思います。それがジャーナリズムというものです。 いよいよ戦いのときがきました。私は、いまこそ、本物のリベラリストがこうしたおかしな政治状況に対して、敢然と立ち向かわなければならないと心勇躍するものを感ぜずにはおられません。そうしなければ、わが国の政治は完全におかしくなってしまいます。 私の政治生活はこのときのためにあったのだと思います。勇気をもって決然と立候補してくださった9人の同志の先頭にたって、わが国の良心と良識を信じ、新党・自由と希望の代表として、私は渾身の力をもってこの戦いを見事に戦い抜く決意です。 皆さまの絶大なるお力を、白川、伏してお願い申し上げ、戦いの賦とさせていただきます。 |
白川勝彦OFFICE
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