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白川勝彦の世の中つれづれ談義 2010年9月4日 土曜日 (第10回)
太陽は生命の原点〜夏の暑さ無くして、秋の実り無し
話者名 | 話の内容 |
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太陽は生命の原点〜夏の暑さ無くして、秋の実り無し | |
小泉 | ようやく9月になりました。先月は猛暑で、「暑い暑い」の毎日でした。そして、熱中症のニュースが数多く報道されました。 |
白川 | 熱中症という言葉は、これまであまり聞きませんでしたね。 |
小泉 | 子どものころは、日射病に気をつけなさいとは言われましたが。今年は熱中症で4万人近い方が救急搬送で病院に運ばれ、140人以上が亡くなり、自宅でもお年寄りを中心にかなりの方が命を落としました。 |
白川 | 人が熱中症で亡くなることは、これまであまり聞きませんでした。 この夏の猛暑、そして熱中症ということで、私が改めて思うことは、夏の暑さについてのとらえ方が以前に比べ変わってきたことです。「今日も厳しい暑さになります」、「35度以上の猛暑日です」、あるいは「連続して何日、熱帯夜が続いています」など、毎日のように言われると、私たちはひどい所に住んでいるように錯覚してしまいます。 ただ、私は田舎の農作地帯に生まれ育ちましたので、夏に照りつける熱い日差しがなければ稲は育たないし、秋の実りもないことを実感していました。少なくとも、人間は自身では生きていけない。私たちの生命を維持する食べ物や水は自然の産物です。肉にせよ牛乳にせよ、自然が作った草を食べて牛が育ったことで、初めて人間の食料になるんです。そして、植物が育つ源は太陽の光にあるんです。晴れた日があるおかげで、私たち人間は生きることができることを改めて考えてほしいですね。 暑い日が続くのはもちろんたいへんですが、そこから自然の恵みが生まれることを考えるべきでしょう。植物はいくら暑くても文句は言いません。暑い日に日の光を利用して光合成を行って育ち、人間や動物、昆虫の食べ物になる。それを考えて生活すれば、暑さは忌み嫌うものではなく、それがあって初めて秋の実りがあることを自然に受けとめることができるのでは。 |
小泉 | それにしても都会は暑いですよね。 |
白川 | 私は新潟県の十日町に生まれ育ちましたが、やはり夏は暑いですよ。でも、その暑さの大切さは知っていましたから、暑くていやだとは感じませんでしたね。 |
小泉 | あの有名なお米の本場ですね。 |
白川 | 元は南魚沼郡で、日本一おいしいと言われる、魚沼産コシヒカリの産地です。生家も5反の田んぼと1反の畑で稲や野菜を作り、一番苦しい時に助けになりました。 私も農作業の手伝いをしました。とくに夏の畑仕事はたいへんでしたが、暑い日が続かないと秋の豊かな収穫がないことを実感することができたんです。 |
弁護士は法律の正しい解釈で借金問題を解決する | |
小泉 | 番組の後半はお金に関する法律や生活経済の悩み事について、白川さんからアドバイスをいただきます。 暑さなくして実りなしというお話でしたが、多額の借金を抱える方にとって、せっせと返した見返りとして、何か実りと言えるものはあるんでしょうか。 |
白川 | テレビのCMなどで、過払い金が返ってくるとか、弁護士や司法書士に相談すればすべて解決するかのように宣伝しているところもありますからね。 確かにそういうケースもあります。自己破産すれば、50万くらいの経費で、500万、800万の借金がゼロになりますから。相談してお任せしたら、思っても見なかった過払い金が戻ってきたとか、あるいは債務が大幅に減ったとか、多くはないですがそういうこともあります。 別に弁護士が手品を使ってそうなったわけではない。明治時代にできた利息制限法という法律があります。これまで法曹関係者の努力で改善され、利息も借金10万未満は20%、10万以上100万未満が18%、そして100万以上が15%と決まっています。しかし、多くの貸金業者は、出資法という別の法律が規定した金利29.2%でお金を貸してきました。債務者は、実に10%も高い利息を付けて返していたわけです。それが違法な金利でも通用してきました。 ところが、裁判所の判決で、利息制限法の規定を上回る利息で返済したお金の超過利息分(違法金利)は元金に充当される」という判断が出ました。それだけで元金がゼロになったり、大幅に減ったり、場合によっては過払い金の一部が戻ってくるケースが出てきたわけですね。 借金の元金が大幅に減れば、毎月の返済もずっと少なくてもすむようになりますから。私たちが、依頼を受けた人に「毎月2万円づつ返せば、5年であなたの借金はゼロになります」というと、「ほんとにそれでいいんですか、信用してもいいんですか」と、不思議な顔をされることもあります。 |
小泉 | 思っても見なかったことが起きたわけですから、それはびっくりするでしょうね。 |
白川 | でも、いま紹介したケースは、違法金利を払っていた場合です。 借金ならどんなものでも違法金利があったのかと思うかもしれませんが、それは誤りです。少なくとも@「銀行」と名のつく金融機関は利息制限法の最高金利ぎりぎりで貸し付けしても、違法金利はとっていませんので、銀行から15年、20年もお金を借りていても過払いは発生しません。 また、信販会社のショッピング・ローンも、もともと「割賦販売法」という別の法律で規制され、金利ではなく手数料を加算しているだけなので、銀行と同様です。 ですから、違法金利があるとみなされるのは、すべてではないですが、貸金業者や信販会社のキャッシングからの借金ですね。その意味では、利息制限法は多重債務者にとって大きな救済の拠り所になっています。 いずれにせよ、利息制限法や債務整理に関する法律は難しいですから、専門家である弁護士や司法書士さんに相談して下さい。 |