自らの言葉による答弁
07年01月30日
No.321
昨日は衆議院で代表質問があった。仕事で外に出ていて、3時過ぎに帰宅してNHKでその模様をちょっと見た。民主党の松本剛明政策調査会長の質問に安倍首相が答弁しているところであった。安倍首相の表情にあまり精細がなかったのが、まず第一の印象であった。競馬ではないが政治家の表情・顔色・物言い・態度などは大切なのだ。それらのすべてが有権者の判断材料となるのである。ところで肝心な答弁の方だが……。
安倍首相の答弁が終ると、松本氏は再質問に立った。5点について再質問をした。そのひとつに「安倍首相は圧力や便宜を伴う押し付け的な天下りは良くない、これは改めなければならないと答弁した。しかし、政府や安倍首相がこれまでの天下りを圧力や便宜を伴う押付け的な天下りと言明したことはなかった。ということは現状の天下りを根本的に改めることにはならないのではないか」というような趣旨の再質問があった。正確を期すために今日の新聞をみてみたが、再質問についての記事はなかった。
松本氏の再質問は、安倍首相の天下りに関する現状認識を問うものであり、意味のあることだったと思う。多くの国民も天下りに不快感をもっている。安倍首相も天下りを見直すといっている。だから、これまでの天下りについてどのような現状認識をもっているのかは大事な点である。現状認識が正しくなければ、その見直しもおかしなものとなる。その点を再質問したのだ。
これに対する安倍首相の答弁は、「先ほど答弁したように押付け的な天下りは見直す必要がある」と応えるだけであった。再々質問に立った松本氏はこのことをまた質問したが、安倍首相は紙をみて、「先ほど答弁したとおりである」と繰り返すだけであった。そして最後は「見直す必要があると考えるから、見直すように指示しているのだ」と答弁にもならない答弁をしていた。
これまで連綿と続いてきた天下りに対して、ほとんどの国民が問題性を感じ不満をもっている。小泉首相が改革を本気で考えたのならば、公務員制度や天下りを改革することだったと私は思っている。こういうことにまったく手をつけようとしなかったところに、小泉改革のまやかしさが窺える。安倍首相が公務員制度や天下りを改革しようというのならば、まず現状をどのように認識しているかは、大事なことだ。この大事なことについて、安倍首相は自らの言葉で語れないという馬脚を現したのだ。ということは、現状認識もいい加減ということだ。現在、役人の手による役人のための天下り改革策が用意されていると聞く。要注意だ!
それでは、また。