麻生首相、語るに落ちる
09年03月18日
No.1114
2009年3月16日の参議院予算委員会における麻生首相の発言が問題になっている。永田町徒然草No.1113では「昨日もおかしなことを言ったようだ。これが事実ならば、かつてなら今日はこの一言で国会は止まっていただろうが……。」と書いた。おかしな発言の全文を調べてみた。
問題の麻生首相の発言
○福島みずほ君 <前略>フランスとカナダは企業献金を禁止しています。今、総理おっしゃったとおり、公共事業を受注する企業から選挙においては寄附はもらえません。ですから、野党、2002年に、社民党、民主党、自由党、共産党は公共事業を受注する企業からは政治献金を受けないという法案を出しました。ところが、自民党の反対でこれは成立を見ませんでした。総理、よもや、今度私たち社民党、他党に働きかけて出そうと思っています。公共事業を受注する企業からは企業献金を受けない、この法案に自民党総裁としてよもや反対はされなでしょうね。
○内閣総理大臣(麻生太郎君) いろいろな御意見があるのは御存知のとおりですが、今でも個人にはできないんですからね。今でもできないんですよ。
○福島みずほ君 はい。
○内閣総理大臣(麻生太郎君) だから、聞き方を聞いていると、今はできるように聞かれるかもしれませんが、今でもできませんから。ここだけは間違えないでください。ここだけは間違えないでください。そのところは物すごく大事なところなんで、これは西松の話に限らず、すべてです、これは。基本的にこういったことは、今、個人にはできないというルールになっております。
今、話題になっております話、今回の話と言われたのはどの話かよく分かりませんが、今回の話と言うんであれば、明らかに違法であったがゆえに逮捕ということになったんだというように思っておりますので、法律は…(発言する者あり)逮捕は間違いないでしょう。逮捕は間違いないんじゃないの。逮捕は間違いないんじゃないかね。私は逮捕された、起訴されたとかは言ったことはありませんが、逮捕されたことまでは間違いないと思っております。
法律の解釈の違いで、そちらの方は法律はお詳しい思いますので、逮捕という事実というものは事実ですから、その上に立ちまして、私どもはそれをどうのこうの言うつもりはありませんが、明らかに、今回は逮捕ということになったのは、今の法律でもそれなりにきちんと効果があったから逮捕ということになったというように考えるべきなんではないかと思っております。
○福島みずほ君 無罪の推定がありますから、刑事手続については刑事手続にお任せ、これはもう無罪に推定があるのは当然のことです。<後略>
以上は友人の参議院議員から取り寄せた速記録である。【未定稿】とあるが、基本的にはこのとおりなのである。「今、話題になっております話、今回の話と言われたのはどの話かよく分かりませんが、今回の話と言うんであれば、明らかに違法であったがゆえに逮捕ということになったんだというように思っておりますので、法律は…(発言する者あり)逮捕は間違いないでしょう。」の“(発言する者あり)”は、ヤジで速記者が聴き取れなかったためにそうなっているのである。「法律は…」の部分で、麻生首相はいったい何を喋ったのであろうか。興味あるところである。
紹介した発言で、麻生首相はいったい何を言いたかったのであろうか。今回は“原稿を読んでいない”ためとみえて、漢字の読み違いはないようだ。しかし、短い2フレーズの中で9回も“逮捕”という言葉を使っている。小沢氏の公設第一秘書が逮捕されたことが、よほど嬉しかったのであろうか。「今、話題になっております話、今回の話と言われたのはどの話かよく分かりませんが、今回の話と言うんであれば、明らかに違法であったがゆえに逮捕ということになったんだというように思っておりますので、云々」は、“語るに落ちる”という典型ではないか。
いずれにしても麻生首相の言っていることは、意味不明なところが多い。検察が現に行っている行為の法的・政治的問題点など少しも理解できないのだろう。こんな人物がわが国を支配しているのだから、国民は用心しなければならない。私が指摘した“総理にきく”という番組でも、麻生首相はかなり際どいことを不用意にも言っていた。いま調べているところだ。攻撃は綿密な事実調査からはじめなければならない。
それでは、また。