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かつての友人・太田農水大臣

08年08月27日

No.912

北京オリンピックが終わり、やはり政治の秋(とき)がやってきた。最近の私はかつてのように週刊誌を買わない。中吊り広告をみる程度である。北京オリンピックの後日談や中国非難記事の宣伝が目に付く。それらをいちいち買って読んでみるほどの興味は、私にはない。中国という社会は、いろいろな矛盾に満ちている国である。まさに『矛盾論』の国なのだ

北京オリンピックに関連して取材を深めれば、そこにさまざまな問題があることなど当り前である。そこを正しく分析し、中国社会の問題を理解し、中国という国とどう付き合っていけば好いのか考えることが大切なのである。前にも述べたが、中国という国は“好き”とか“嫌い”で済まされない国なのである。北朝鮮もそういう国である。ロシアもそうであるし、韓国もそうである。理由は単純である。いずれも“隣国”だからである

臨時国会の召集が9月12日に決まったようである。それを前に太田誠一農水大臣の事務所費問題が持ち上がってきた。野党はまずここから攻めたててくるであろう。福田首相が“最後の切り札”として行った党内閣の改造など、国民はとうの昔に忘れてしまっている。“改造”そのものが忘れられていたのでは、その効果を期待することなど無理である。面白くも可笑しくもなかった前若林農水大臣だったが、その更迭が裏目に出た

太田誠一氏は私より8ヶ月後に衆議院に当選した。1980年(昭和55年)のハプニング解散後の初めての衆参ダブル選挙であった。太田氏は宏池会に入ってきた。昭和20年生まれで年齢も私と同じであったので、親しく付き合ってきた。肩書きは大学教授というものであったが、私は彼の“知力”をそんなに評価していなかった。私が評価していたのは、彼の人柄であった。好いところの育ちで、人の裏をかくような人物ではなかった。

細川内閣時代、太田氏は自民党を離れていた。どういう理由で離党していたのか思い出せないが、私は彼を反自民陣営にいって欲しくないと思い、その当時何度も会った。そしていろいろあった後に、結局彼は自民党に帰ってきてくれた。そういう“前科”があったので、加藤紘一幹事長の下で副幹事長を務めるように私は彼に勧めた。大臣になるまでは、不満があっても暫くおとなしくしているように私は彼に忠告した。加藤幹事長にも太田氏の良いところを推薦しておいた。

私の忠告が功を奏したのか、太田氏は問題を起こさずめでたく総務庁長官になった。友人として素直に祝福した。そのころ私は忙しかったので、彼と親しく付き合うことはなかった。近ごろよく耳にする“独立行政法人”は、彼が総務庁長官だった時に決まったと記憶している。“独法”問題について、太田氏に聞いたこともないし、“独法”制度に深い哲学的理由があるとも思っていなかった。私は太田氏の“知力”を評価していなかったからである。

太田農水大臣の発言は就任以来どうも怪しかった。靖国参拝についての質問に対して、確か“靖国問題が焦点になるようだったら、私は参拝します”と言っていた。問題にならなければ好いがと思っていた。どうしたのかそれほど関心がなかったので注意していなかったが、とんでもないところから問題が噴出してきた。ちょっと“どもる”のは彼の癖だが、今回の事務所費問題は“どもり”で済ますことができないであろう。自公“合体”体制にいる人間とは、かつてどんなに親しくても私は一線を劃している。それは仕方がない

それでは、また。

  • 08年08月27日 09時34分AM 掲載
  • 分類: 2.国内政治

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