愚にも付かぬ“修正案”徹底批判!
08年03月21日
No.
昔から“暑さ、寒さも彼岸まで”といわれた。それにしては、昨日の東京は豪(えら)く寒かった。もう仕舞おうかと思っていた厚い裏地を付けたレーンコートを着ないと外出することはできなかった。今日も少し寒いようである。なにも“彼岸の中日(ちゅうにち)”といっている訳ではないから、“暑さ、寒さも彼岸まで”は間違いとはいえない。昔の人がいうことには、何事にも間違いはない・・・・。
昨日は久しぶりにライブで大相撲中継を観た。白鵬が千代大海に負けてしまった。これで今場所は朝青龍の優勝で決まりだなぁーと思ったら、朝青龍が琴奨菊に負けてしまった。白鵬は一昨日3連敗中の安馬に勝ったために、今日の対戦には緊張感がなかったのではないか。朝青龍はこれまで琴奨菊に7戦全勝であった。たぶん今回も大丈夫と思ったのだろう。まだ1敗差である。千秋楽で白鵬と朝青龍が同星になり、初場所のような大一番が観られたら最高である。それにしても初場所の両者の相撲は、稀にみる大相撲であった。
自民党と民主党は、すでに互角である。自民党はいつまでも朝青龍が一人横綱だったころと違うのである。自民党には、この認識がないのではないか。政権担当能力は自分たちしかないと思っているようだ。最近では公明党もそのように考えているようである(笑)。だから至るところに横柄さ・尊大さがみられる。このような尊大さが、日銀総裁の空白を招いてしまった。経済界は「政府も悪いが野党にも責任がある」と非難していた。野党の対応を予測できない自公“合体”政権の不甲斐なさをまず問題にすべきであろう。単純な問題処理能力の問題に過ぎない。
自公“合体”政権が今日提示するという“道路特定財源をめぐる与党修正案”も、日銀総裁案と同じようなものである。永田町徒然草No.743「愚にも付かぬ“修正案”」では、「いちいち論点を挙げることが馬鹿らしい」と私は切って捨て、論及することすらしなかった。しかし、当面このことが国政の中心になるのだから詳しく述べておこう。まず与党修正案なるものを正確にみておこう。
道路財源、一般財源化で与党合意
──21日にも野党に提示自民、公明両党は19日、道路特定財源をめぐる与党修正案の骨子をまとめた。道路特定財源のすべてを早ければ09年度から一般財源化▽10年間で最大59兆円を投じる道路整備中期計画の見直し――が柱。与党は21日にもこの案をもとに野党に修正協議を呼びかける。ただ、08年度予算関連法案は見直さずに年度内成立が前提。民主党がすんなり協議入りに応じることは難しい見通しだ。
福田首相は19日夜、記者団に「税制の抜本改革は前から約束している。その際には(道路特定財源の)全額一般財源化も視野に入れて検討していく」と語り、09年度税制改正時に一般財源化を進める考えに踏み込んだ。
これに先立ち、首相は自民党の谷垣禎一、公明党の斉藤鉄夫両政調会長と会談。「道路特定財源の考え方」として、(1)08年度予算関連法案の年度内成立(2)道路特定財源は税制抜本改革時に一般財源化に向け見直し(3)道路整備中期計画は新たな交通需要予測をもとに見直し(4)公益法人への支出を含め道路予算の透明化、厳格化──などと列挙したメモを示し、野党と協議するよう指示した。
首相の意向も踏まえた修正案は、民主党が求める暫定税率の撤廃には触れていない。中期計画見直しでも期間や事業量の具体的な数値は盛り込まなかった。ただ、首相は「暫定税率は抜本改革の中で考えていい」と記者団に語り、暫定税率の取り扱いも修正協議の議題とすることは拒まない考えを示した。
与党は21日、野党側に修正協議を呼びかける。 一方、民主党の鳩山由紀夫幹事長は19日、「哲学、根本的な考え方の違いがあり、そこで譲歩することはあり得ない」と語り、修正協議入りは困難との考えを示唆した。<asahi.com 2008年03月19日21時24分>
国民が問題にしているのは、道路特定財源の一般財源化などではない。国民が求めているのは、30年以上も倍にされている暫定税率を廃止することなのである。だから野党は道路特定財源の一般財源化などといわないほうが良い、と私はこれまでたびたび指摘してきた。もっとハッキリといえば、道路特定財源を一般財源化することは間違いであると私は主張してきた。すべての政党や評論家と違うことをいうことはそれなりに勇気が要ることなのである(笑)。しかし、私には確信があるから、あえて孤立は恐れない。だが、私の意見を押し付けようともしなかった筈である。
ところが与党修正案の中核は、“道路特定財源の一般財源化”である。紛争のもっとも根幹である暫定税率についてまったく触れないで、当面の争点になっていない道路特定財源を一般財源化するといった「修正案」を出すのだから、福田首相も谷垣自民党政調会長もお目出度すぎる。しかも、その時期は「税制の抜本改革時」だという。税制の抜本改正時とは、自公“合体”政権が消費税率を上げたいと考えているときである。これでは最初から話し合いにもならないのは当然であろう。
「10年間で最大59兆円を投じる道路整備中期計画の見直し」も、どうでもよいことである。暫定税率を廃止すれば、そもそも道路中期計画を実行する予算など吹っ飛んでしまう。「公益法人への支出を含め道路予算の透明化、厳格化」とは、国会やマスコミが問題にしたタクシー券やマッサージ・チェアなどのことであろう。無駄遣いをするなと官僚にいくらいっても無駄というものである。子供と同じで無駄遣いさせないためには、余分なお金を与えないことである。それしかない。
「ただ、首相は『暫定税率は抜本改革の中で考えていい』と記者団に語り、暫定税率の取り扱いも修正協議の議題とすることは拒まない考えを示した」と記事には書いてある。もっとも根幹である暫定税率を“抜本改革の中で考えていい”とは、完全な先送りである。かなり先になると思われる抜本改革で取り扱うという暫定税率を、今回の修正協議でどのように決めようというのだろうか。そもそも福田首相がいつまで総理大臣をやっているのかも分らない。また抜本税制の改革を定める法律案が国会を通ることが果たしてあるのだろうか。福田首相は自分のいっていることの意味が分っていないのだろう。
自公“合体”政権が「愚にも付かぬ“修正案”」を恥ずかしげもなく提示してきた一因に、野党がこれまで不用意に“道路特定財源の一般財源化”といってきたからではないか。“道路特定財源の一般財源化”など昔から大蔵省主計局がいってきたのである。そのことを知っていれば、社民党や共産党は可笑しいことに気が付かなければならない。民主党は最初から正直いって勉強不足だから仕方がない(笑)。しかし、野党第一党なのであるから、勉強不足では済まされない。勉強不足は、政権担当能力以前の問題である。
それでは、また。