地方が5倍支払っている!
08年02月01日
No.695
昨日は平成19年度補正予算案の審議が参議院予算委員会で行われた。この国会中継をほぼ1日NHKでやっていた。これがけっこう面白かった。一番バッターとして質問に立った直嶋民主党政調会長は、ガソリン税の暫定税率を廃止すると地方の家庭では1世帯あたり数万円も負担が少なくなるといっていた。
ガソリン代は地方が5倍
5年に1回行われる「全国消費実態調査」によると、1世帯当たりの月間のガソリン代は、東京都区部が1972円に対して、町村部は9774円と5倍にもなる。病院通いも買い物にも車が不可欠となっている地方では、ガソリン代が家計の大きな負担になっていることが、はっきりとした数字となって表されているわけだ。
逆にいえば、5倍ガソリン代を使っている地方にとって、暫定税率の廃止は減税効果も5倍となる。そして、これは都市から地方への所得移転にもなる。一番苦しんでいる地方の住民や中小企業にとって、大きな景気対策となると同時に、地域格差縮小にも貢献するのである。<nikkei BPnet 経済アナリストの森永卓郎氏のコラムから引用>
ガソリンの消費はそのままガソリン税の負担でもある。森永氏が挙げた数値は家計支出であるが、それにしてもガソリン税の大半は地方在住の国民が納税しているのである。しかし、ガソリン税のうち、地方にそのまま譲与される地方道路税はガソリン税の9.66%でしかない。ガソリン税はガソリン1リットルあたり53.8円であり、その内訳は揮発油税48.6円・地方道路税5.2円だからである。
地方道路税は、陳情などしなくても自動的に地方に譲与されるが、揮発油税は全額が国土交通省が所管する道路特別会計に入る。国土交通省は直轄事業以外は都道府県や市町村に補助金として交付する。道路財源に関しては、地方は自分たち納税した税金を陳情して有難く頂戴しているのだ。地方の首長の多くがガソリン税の暫定税率の維持を主張しているといわれているが、この構図をはたして知っているのだろうか。
それからもうひとつ。ガソリン税の暫定税率を廃止すると道路の維持管理費や除雪代も無くなるなどと、もっともらしく言われている。いい加減にしろ!といいたくなる。維持管理費や除雪費が道路財源の中で一体どのくらい使われているのかといいたくなる。ガソリン税の暫定税率が廃止されても本則税率のガソリン1リットルあたり28.7円はそのまま存続するのである。
民主党などの野党も必要な道路は作らなければならないといっているが、必要な道路とは何かという基準を明確に定めることは極めて難しい。ガソリン税と軽油引取税の暫定税率を廃止するだけで、無駄な道路を作ることに配分する余裕などなくなる。だから私は道路財源の一般財源化に賛成ではないが、現在はそのことを言わないことにしているのだ。
それでは、また。