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税に対する“同意と納得”

07年12月08日

No.637

3連発でガソリン税の“暫定税率”について論じた。私がこの問題にこだわるのは、“税”というものにこだわっているからである。“税”は国政の基本だからである。近代議会制民主主義は、時の政府が課す税に抵抗する中で生まれた。そんなことは社会科で習ったという人が多いだろう。しかし、私が知っている限り、わが国で税の問題が国政選挙で本当に問われたのは、消費税くらいである。私自身は、消費税選挙といわれた平成2年の総選挙で落選した。新しい税を創設することは、実に大変なのである

国民から強制的に徴収する税について、民主主義国家でいちばん大切にされなければならないことは、税に対する“同意と納得”である。消費税が議論されるとき、自公“合体”政権の与党議員や御用学者や御用評論家などが「ヨーロッパなどでは、付加価値税が20数%もあるんですよ」とよくいう。それは確かな事実である。だから、消費税率を10%にするくらいは当たり前でしょうという雰囲気を作りたいのである。しかし、大切なことにまったく触れていない。それらの国では国民がそれだけの税金を払うことに“同意と納得”をしていることである。わが国では政府・与党が消費税率のアップを提案しても、国民の“同意”すなわち賛成が得られないであろう。政府与党に対する“納得”すなわち信頼がないからである。

「どこの国でも、増税法案は悪法である」といわれている。しかし、ヨーロッパの各国では20%を超える付加価値税を導入することに成功したのである。それが可能だったのは、実はいろいろな理由がある。だがいちばん大切なことは、それらの国々では国家に対する信頼、税の使い方に対する信頼があったことである。わが国ではそのような信頼が基本的にない。だから増税法案を政府が提案したとき、“反乱”が起こる。従って、政権与党は増税法案を提案したがらない。官僚には増税法案を議会で可決する権限も力もない。

そうすると、いまある税金を流用しようと悪知恵を働かせる。使途をある程度決めて導入した税を“目的税”という。目的税でなければそういう問題はないが、目的税の場合にはそれはまさに“流用”である。税の専門用語でいうところの“目的税”は、実のところわが国にはきわめて少ない。いま問題となっている道路特定財源も税の専門用語でいうところの“目的税”であるものはほとんどない。だから、僅かではあるが現に他の用途に使っているのである。道路の整備のために緊急に必要であるという理由で導入した税を、他の目的のために使うことはそれが目的税でなければ違法ではない。だが税に対する信頼を著しく損なうことはいうまでもない。わが国の税の歴史を紐解くと、所得税や法人税などといった基本的税目も“戦費調達”を理由として導入されたが、その戦争が終ってもそのまま残ったものが多いのである。

わが国民に税に対する“同意と納得”の観念が欠けている最大の理由はここにあると私は考えている。そしていま私たちの眼前で行われようとしているのが、道路特定財源の暫定税率の10年延長と一般財源化の問題なのである。これを許せば、道路特定財源とされている揮発油税・地方道路税・軽油引取税・自動車重量税なども恒久的な税となるであろう。そしてその使途も限定されなくなってしまうであろう。こんなことをしていて税に対する“同意と納得”(=信頼)など生まれる筈がない。いつまでもわが国をこんな国にしておいてよいのだろうか。私はそこが悲しいのである。減税という大衆迎合政策で国民に媚びようなどという気は毛頭ない。私にはそうする必要もないからである。

ドブに捨てても!?

それはともかく、国や地方の役人たちが一度獲得した予算はドブに捨てても使い切るという悪弊を止めれば、もっとザクザクと埋蔵金が出てくるかも知れません。

この表現にはシビれました。永田町徒然草で“3連発”でガソリン税の暫定税率を取り上げたのは、「国の役人たちは、一度獲得した“税金”はドブに捨てても放そうとしない悪弊がある」からです。“地方”税も、実際にきめるのは国=国会です。各地方公共団体が条例で決める税などほとんどありません。

これはいつも紹介している平成海援隊BBSに昨日私がした書込みの抜粋である。戦費調達ということで導入された税金は、軍人たちが我がもの顔で使った。現在の税金は、官僚たちが我がもの顔で使っている。国民は税金を取られることには“節税”という抵抗を試みるが、官僚たちが我がもの顔で使うことには無関心であり、寛容である。正しき意味における税に対する緊張関係がここにはない。私の記憶に鮮烈にあるのは、反ベトナム戦争の嵐が吹きまくったときフォーク歌手のジョン・バエンズが納税すべき税のうちベトナム戦費として使われた分だけを拒否するという闘争をしたことだった。私がいう緊張関係とはこういうことなのである。

私はこれからいくら行財政改革を行っても、現実には増税する必要が出てくると思っている。しかし、税に対する信頼感・政府に対する信頼感がなければ、増税することなどとてもできない。その信頼感を醸成するためには、必要な税金はいただくが、必要のなくなった税金は廃止するということをまず政府がやらなければ信頼感など生まれる筈がない。いま問題になっているガソリン税の暫定税率をどうするかということは、そのシンボルなのである。この土日は道路特定財源を中心に、「税とは何か、税に対する“同意と納得”」ということを少し考えてもらえれば幸いである。

それでは、また。

  • 07年12月08日 08時41分AM 掲載
  • 分類: 2.国内政治

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