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環境問題・考

07年06月04日

No.446

昨日書いたように安倍首相が急に環境問題をいいだしはじめた。来年行われるサミットの開催地を北海道の洞爺湖に決めてからのような気がする。順序が逆だろうといいたくなる。開催地の決定当時のことを思い出してもらいたい。環境問題がテーマであるということが先にあって、そのために開催地を洞爺湖にしたのではないのである。私は安倍首相が一年生の時から良く知っている。彼が環境問題に興味をもっていたとは思えないし、少なくとも熱心でなかったことだけは確かである。そういえば、京都議定書なんか糞くらえといっていたブッシュ大統領も、急にCO²削減とか温暖化防止などといいはじめた。4月末の首脳会談で話したのではないだろうか。

このふたりの共通項とは何だろうか。“おめでたい”二世政治家ということである。どんな指導者を選ぶのも自由だが、始末の悪いことにこの2ヶ国で世界の半分近くのGDPをもっているのである。アメリカにいたっては、世界最大の軍事大国だ。世界の他の国は、どうでもいいからせめてまともな政治家をトップに選んでほしいと切望しているのではないか。アメリカの同盟国といわれているわが国でも、アメリカ国民にそう望みたいと思っているのは私だけではないだろう。ブッシュとゴアが大統領を争ったとき、私は日本で政治活動をしているよりゴアの選挙の応援に行った方が、世界のためにもわが国のためにもなると真剣に考えた。僅少差だったから、そうしていれば結果が変わったのかも知れない(笑)。

安倍首相が環境問題に本気に取り組むというのならば、アメリカに京都議定書の批准をさせることであろう。批准をしないのならば、わが国が保有しているアメリカ国債を売り払うぞと脅かしてもいいのじゃないかとさえ私は思っている。何につけても“日米同盟”を連発するわが国の右翼反動が、アメリカの京都議定書の非批准を非難したことなど聞いたことがない。憲法改正に環境権を付け加えると主張している政党があるくらいだ。いまや環境問題は、ひとつの政治的価値観ではないのか。安倍首相がわが国とアメリカは価値観を共有する国だなどというのを耳にすると、気分が悪くなる。最近の安倍首相の言動をみていれば、彼には自由とか民主主義を口にする資格がないことが明らかであろう。安倍首相は、岸信介元首相と同じくアメリカ盲従政治家なのである。その岸信介が鬼畜米英政権の指導者であったことも忘れてはならない

環境分野では来年の主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)などで主要テーマとなる気候変動問題への対応について、「京都議定書削減目標の確実な達成」と「2013年以降の国際的枠組み構築に向けたリーダーシップの発揮」の2点を掲げた。具体策として <1> サマータイムの早期導入 <2>地球温暖化対策で、途上国を支援する資金メカニズムの構築 ──

というのが、昨日紹介した「骨太の方針」の素案に明記された安倍内閣の環境政策である。「2013年以降の国際的枠組み構築に向けたリーダーシップの発揮」として、2050年までに世界のCo2排出量を50%削減するという豪儀な目標を立てたのだ。

それに反対という訳ではないが、何の根拠も手立ても示さずにこういうことをいうのだから怖いのである。その具体的な取組みというのが、サマータイムの早期導入と地球温暖化対策について途上国支援の資金メカニズムの構築というのだから聞いて呆れる。優秀な官僚のサポートとはこんな程度なのである。だから、私はわが国の官僚なんてそんなに優秀ではないのだといつもいうのである。おめでたい首相なんだから、「官僚たちよ、しっかりと首相をサポートせよ」といいたくなる。そうしないと他の国からブーイングが起きるのではないかと懼れる。せめてわが国が世界に誇る省エネ技術の移転を付け加えるくらいのことはしなさいといいたくなる。

正直に告白するが、私は環境問題に造詣も深くないし、これまで環境問題に真剣に取り組んできた訳でもない。しかし、政治が環境問題に真剣に取り組むべきだとしたならば、政治家として私が提言したいことはハッキリしている。そして私の認識は、政治が環境問題に本気に取り組むべき時がきたと思っている。わが国が2度の石油危機を乗り越える中で蓄積してきた省エネルギー技術は、世界に誇るべきものであり、これを世界が共有できるように努力することは、わが国の大きな国際貢献であると考えている。特許などの問題があろうが、それは人類史的観点に鑑み断固として行わなければならないと考える。それは憲法9条と同じくらいわが国の国際社会における名誉ある地位を高めることになるだろう。

実は、私の政治家としての思いはもっと先にある。それは日本の文化の省エネ性ということである。日本人の way of life は、その本質において省エネルギーなのである。“わび”とか“さび”を詳しく論じる力は私にはないが、この言葉を聞いているだけでも省エネルギー性を感じるではないか。最近は国際語となりつつある“もったいない”も、アメリカの大量生産・大量消費文化とは明らかに異なるものである。文化の移転は、下手をすると政治的フリクションを産む場合がある。しかし、省エネ技術はどんなに発達しているといっても量的な差違にすぎない。way of life を変えないことには、エネルギーの消費を質的かつ劇的に少なくすることはできない。そのためには、わが国でもう一度わが国の誇るべき way of life を見直さなければならない。本当の保守とはそういうことに取り組む者をいうのである。そんなことも考えているので、“雑事論” という項目を新たに設け、way of life について折をみて述べていくつもりである。

それでは、また明日。

  • 07年06月04日 01時58分AM 掲載
  • 分類: 2.国内政治

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