これはもうファッショじゃないかい。
14年12月04日
No.1714
私は、午前3時から始まるBS日本テレビの、『日テレNEWS24』を見てから眠ることが多い。午前1時30分から始まるNHKBSの『プレミアム アーカイブス』を見ていたので、日テレニュースを眠い眼で見ていた。そこで、「自民党、単独で300議席超えの勢い」という声が聞こえ、びっくりして目が覚めた。これまで、“スットプ the 安倍”ということで、精力的に永田町徒然草を書いてきた。私は、自公“合体”政権は苦戦すると思っていた。
一昨日に続き、昨晩はテレビ朝日の『報道ステーション』で、党首による討論番組があった。それらを見ていると、何とも歯がゆく、「もっとシッカリせよ」と言いたくなる。それにしても、“自民党単独で300超え”はないだろうというのが、率直な私の第一印象だった。いろいろな思いが錯綜したが、さすがに眠くなって、寝てしまった。
午前8時頃には起床した私は、いろいろなことをしながら、あれこれと考えた。そして「これは、もうファッショじゃないのか」と、思うようになった。いや、これは間違いなく、もうファッショである。その理由は、以下のようなものである。まず、マスコミが総選挙のこの段階で、世論調査という形で“自民党300議席超え”と、大々的に報道しまくることである。マスコミの前身である新聞社は、かつて大本営発表の“連戦大勝利”を大々的に宣伝した ─ それが、自然と思い浮かんだ。
選挙期間中は、世論調査を禁止している国さえある。世論調査の結果をマスコミが大々的に報道することによって、選挙に大きな影響があるからだ。私は、世論調査そのものがいけない、と言うつもりはない。問題は、そのやり方と扱い方なのである。なにしろ、総選挙は3日前に公示されたばかりではないか。本格的に選挙運動が始まって、まだ3日だ。今日報道している新聞社等は、一体、その世論調査を何時やったというのか。
私は自民党で総務局長をやったので、選挙についてかなり詳しい方である。昔は、選挙期間がもっと長かった。新聞社等は、投票日1週間前の土日に世論調査を行い、その週の水曜日か木曜日に紙面で記事にした。いまの衆議院議員総選挙は、12日間である。選挙期間中の週末は、2回しかない。それだけに、世論調査を行う場合は、投票日1週間前の週末に行うのが当たり前なのである。
しかも、今回の選挙は、野党から見れば不意打ちの解散である。だから、選挙態勢も準備もできていない。野党同士が選挙区調整や選挙協力をしている最中に世論調査を行うこと自体、極めて意図的である。報道機関が報道のために様々な時点で世論調査を行うのは自由だが、それは、報道のために許されることであり、世論調査の結果を外部に漏らすのには、非常に慎重でなければならない。
今回の世論調査が、報道をするために必要な世論調査であるとしたならば、そのサンプル数は余りにも多い。こんなサンプル数の世論調査など、費用と人員の関係で2回もやれる筈がない。報道を行うために必要な世論調査だというのならば、サンプル数はもっと少なくてもいい筈だ。また、そんな世論調査を記事にしては、絶対にならないのだ。
いま私が知っている限りでは、“世論調査”に基づいて“自民党 300議席超え”の記事を書いているのは、『読売新聞』と『朝日新聞』であるが、早晩各新聞社が同じような記事を書くであろう。そして、各新聞社系列のテレビ局がまた大々的に放送する。「自民党大勝利。安倍政権圧勝」のオンパレード・花吹雪だ。そうやって、自公“合体”政権を圧勝させようとしているのだ。
だから私は、「これはもうファッショじゃないか」と言っているのだ。本稿で私が抱いたのと、似た思いをされた方が多いと思う。これと、どう戦えばよいのか ─ それは、稿を改めて論じていくつもりである。友よ、ひどい世の中になったもんだぜ。しかし、ダメだと分かるまで、闘いを止めてはならないし、国民を見限ってはならない。野党の候補者たちには、力の限り闘ってほしい。まず、14日の投票日まで、全力で戦うことだ。後のことは、それから考えれば良い。
今日は、このくらいにしておこう。それでは、また。