閂は、外れない。
14年06月18日
No.1676
閂は、「かんぬき」と読む。集団的自衛権の行使を禁止した憲法9条の閂は、なかなか外れない。与党協議なるモノの中心にいる高村自民党副総裁と北側公明党副代表は、いずれも弁護士である。公明党代表の山口氏も、弁護士だ。彼らは、「集団的自衛権の行使が認められる」という作文を何とか作ろうとしているが、彼らの知恵では難しいようだ。弁護士である彼らがこういうことをやっていると、弁護士はまた“三百代言”と呼ばれるようになる。
憲法9条を素直に読めば、そもそも、集団的自衛権の行使を認めることなどできないのだ。かつては、個別的自衛権すら認められないとする意見もあった。それに対して、個別的自衛権は否定されていないとしているのが、前号で紹介した“1972年の自衛権に関する政府見解”である。そこでは、「他国に加えられた武力攻撃を阻止することをその内容とするいわゆる集団的自衛権の行使は、憲法上許されないといわざるを得ない」と、明確に否定されている。
ところが、高村氏などは「集団的自衛権の行使は、憲法上許されない」としている政府見解の文言を“テキトウに”コピペして、「集団的自衛権の行使は許される」という憲法解釈を作ろうとしているのだ。“小保方騒動”と同類だ。「他国に加えられた武力攻撃」によって「国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるという急迫、不正の事態」など、荒唐無稽と言わざるを得ない。
いま、イラクが大変なことになっている。オバマ米大統領は「イラクで起きている事態は、アメリカの国益を大きく損なう」と発言した。「国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される“おそれ”のある急迫、不正の事態」などとした場合、安倍首相とその仲間が、「わが国の国益が損なわれる」と判断して、わが国もイラクに進攻する ─ その“おそれ”は、大いにあり得る。だから憲法9条の閂は、絶対に外してはならないのだ。
一昨日も、小保方騒動の関係者が記者会見をしていた。これを多くのマスコミが後追いしていたが、もう多くの国民はうんざりだ。こんなことを報道するくらいなら、与党協議の報道を丁寧にやって欲しい。マスコミも狂っているのだ。こういう狂いの中で、日中戦争に突入し、太平洋戦争が始まったのだ。サッカーのワールドカップで大騒ぎしている場合ではないのだぞ。
今日は、このくらいにしておこう。それでは、また。