佐川1億円は、完全時効。
14年01月18日
No.1634
都知事選の告示が迫っているというのに、マスコミが都知事選の報道を微妙に避けている。ときどき気紛れに放映されるニュース報道は、極めて意図的なものが多い。それは、今度行われる都知事選の結果が、大きな政治的インパクトをもっているからだ。つい最近までは、自民党と公明党が舛添氏を推すことを決めさえすれば、大した苦労もなく、自公“合体”政権は都知事選を制し得ると思われてきた。
細川氏の出馬声明で、この構図がガラっと変わってしまった。自公“合体”政権は、そうとう狼狽している。焦っている。そこでマスコミは、いろんな人に、いろんなことを言わせている。しかし、これまでに述べてきたように、細川氏の出馬にあえて否定的なことを述べる人は、要するに、自公“合体”政権と一緒になって舛添氏を応援しているのだ。マスコミは、意図的にそういう人ばかり出演させているが、それは、マスコミが舛添氏を当選させようとしているからなのだ。だから、そう思って聞いていれば良いのだ。
細川氏への攻撃のひとつに、佐川急便1億円問題がある。ほとんどの人々が、彼らに言われるまで、この問題を忘れていたであろう。中には、そんな問題があったことを知らなかった人も、多いのではないだろうか。細川氏の佐川急便1億円問題を国会で厳しく追及したのは、外ならぬこの私であった。その私が、細川氏の都知事選への出馬表明に当たり、それを全く問題にしなかったのは、この問題の本質を私が誰よりも知っているからであった。
細川氏の佐川急便からの1億円問題は、政治的にも法律的にも、社会的にも完全に決着がついた問題なのである。私は、これをまず、明確に言っておきたい。時効となった問題を執拗に言及するのは、フェアではない。まさに“為にする言動”である。自公“合体”政権の廻し者の見苦しい言動である。菅官房長官は、猪瀬前都知事の倍の金額だと言っていたが、猪瀬前都知事の場合は、収賄罪に該当する惧れのある金品の授受なのだ。
細川氏の1億円には、そういう問題は全くなかった。まさに昭和57年の、細川氏の個人的な金銭貸借問題であった。追及した自民党も、1億円が個人的な金銭貸借問題であることを前提に、細川氏が言っていたように、本当に返済したのかどうかを問題にしていたのだ。細川氏は平成6年4月8日に首相辞任表明をしたが、問題はこの1億円問題だけではなかった。細川氏が首相を辞任をしたのであるから、自民党も、それ以上細川氏の政治責任を追及するつもりはなかった。要するに、政治的には決着のついた問題なのだ。それから20年も経ったいま、この問題の説明責任があるなどというのは、噴飯ものである。
仮に、細川氏の東京佐川急便株式会社からの1億円問題に法的な問題があったとしたら、それは税務上の問題であった。そして、自民党はそこまで問題にするつもりはなかった。それは、税務当局の守備範囲であった。そして、税務当局がそれを問題にすることもなかった。だから、法律上も完全に時効なのである。政治的にも法律的にも既に時効となっているのだから、社会的にも、この問題は過去の問題なのだ。それを殊更に、重大事のように言及するのは、まさに体制側の廻し者の言動である。そんなことをわざわざ言わせるためにテレビ出演させるマスコミは、体制側の廻し者と看做されても仕方がない。
*なお、細川氏の佐川急便からの1億円問題の口火をきったのは、平成5年12月1日の予算委員会における私の質問だった。その議事録は、永田町徒然草No.346、およびNo.347「命取りの細川首相の一言」に掲載されている。興味のある方は、そちらをご覧いただきたい。特に、 永田町徒然草No.347「命取りになった細川首相の一言(その2)」 の方に詳しい。
今日は、このくらいにしておこう。それでは、また。