命取りの細川首相の一言(その2)
07年02月25日
No.347
(永田町徒然草No.346からつづく)○白川委員 昭和五十一年にはロッキード事件が起きました。このときはロッキード問題に関する調査特別委員会が設置されました。続いてダグラス・グラマン事件が起きたとき、航空機輸入に関する調査特別委員会が設置されました。また、昭和六十二年、リクルート事件が起きたときは、リクルート問題に関する調査特別委員会が国会に設置されました。しかし、なぜか佐川急便事件のときは、国会にこれは設置されませんでした。
しかし、これらはみんな大きな疑獄事件でありますが、ゼネコンに対する疑惑というのはこれらとはちょっと比較にできないたぐいの、私は文字どおり大きな疑惑なんだろうと思うわけでございます。
国民の血税三十七兆円を、これは国が直接発注する、地方自治体に分けて発注する。しかし、結局は全部税金なわけでございますが、この税金の使われ方が本当に正しく行われているのだろうか、ここに疑惑がないのだろうか、透明性があるのだろうかということを、これは一部の例外を除きますと、大勢の人が、何かあるのではないかなと、こう思ってきたと思うわけでございます。それに関して、しかし証拠はありませんでした。あっても小さな、いわゆる代表的な事件ではありませんでしたが、こういう疑いを国民は持っておりました。
しかし、その疑いをまさに確信させる事件が、今回まさに文字どおり証拠上明らかにされつつある仙台市の汚職事件であり、茨城、宮城め汚職ではないのでしょうか。私は、こういうふうに一口にゼネコン汚職なんて言っておりますけれども、そんな甘いものじゃないと思っているわけでございますが、総理が、いや、これは建設省も頑張っている。あしたはゆっくり五十嵐建設大臣に聞きますので、努力しているのはわかります。しかし、建設省もかなりこれには責任が重いぞと。泥棒とは言いませんが、泥棒に縄をなわせるのは、これでは完全には期待できないというのが私は国民の感じだと思いますよ。
また、別途特別委員会をつくったと。しかし、こういう文字どおり三十七兆円の国税をどう使うかという問題を議論しない政治家は、一体何のための国会議員ですか、政治家ですか。そして、これは政治家が命がけで方向性を出さない限り、きちんとした問題なんか絶対出ないと思います。
しつこいようですが、総理、このゼネコン問題について、きちんとした議論をぜひ、政府としても全力を出して努力をするから、国会でも議論してもらいたい、そういう認識になれないのでしょうか、どうなんでしょうか。
○細川内閣総理大臣 国会としてこの問題について突っ込んだ御論議をいただくということに、もとより私は異論はございません。政府としての立場を先ほども申し上げたわけでありまして、政府としては、これは司法当局が取り上げられるべきものについては厳正に対処しているというふうに私は思っておりますし、先ほどどなたかの御質問にお答えいたしましたように、そういうふうな形で取り上げられるものがあればびしびしやってもらいたい、こう申しているわけでございますから、政府としてはやるだけのことはやっている、こういうふうに御認識をいただきたいと思います。
○白川委員 じゃ、本当はきょうやる予定だったのですが、いろいろな都合で、あすまた二時間、時間をいただいておりますので、ゼネコンそのものについての本格的な問題提起は、あす二時間かけて基本的な問題を私から提起をさせていただきます。ぜひ総理も御出席いただきたいと思うのです。
こういうゼネコン汚職でも、国民はなぜこれを国会が取り上げないのだろうかと言っている折も折、言いましょうか、本年十一月中旬ごろ、差出人が新生党本部とあった案内状が建設関係の各団体に配られておるのですよね。そして、追い打ちで、必ず会長か社長が出席してください、代理は御遠慮ください、こういうふうに、また催促かたがたそういうようなものが入ったんだそうでございます。
案内されたのは、日本建設業団体連合会、全国中小建設業協会、日本土木工業協会、土工協ですね、日本道路建設業協会等十二団体、日本の建設業の関係者をほとんど網羅している団体でございます。実際にこの会合が持たれたのは十一月十七日午前八時、赤坂プリンスホテルで、新生党からは渡部恒三同党代表幹事代行並びに船田元同党組織担当常任幹事が出席しております。
どうなんでしょうか。細川内閣のいろんなものがある中の、政官財と言ったのですが、最近政官業と言うようでございます。政官業の癒着を断ち切るというのは細川内閣の非常に大きな目玉の一つだと私は承知をしているわけでございますが、そういうことを内閣全体で、連立与党全体でやろうじゃないか、こういうことを合意までしている中で、余り適切な会だとは思わないわけでございます。
もちろん党が違うわけだから、知らぬといえば知らないのですが、やはり連立与党を束ねているのは総理なんです。細川さんなんです。細川さんがいなかったら、この連立与党はもたないのですよ。だからあなたがチャンピオンなんですよ。あなたからこういうことは慎んでくださいよということを言えば、これを聞かない党はないだろうと私は思うのですが、いかがなものでしょうか。
○細川内閣総理大臣 政官業の癒着の構造というものを断ち切っていく、極力断ち切っていく、そのことが国民の政治に対する信頼を取り戻すために極めて重要な点であるということで、そのことは連立与党の中におきましても当然各党それぞれに、また内閣の中でもお互いにそのことについては十分意を用いているつもりでございます。
私は、先ほどおっしゃった会合がどういう趣旨で持たれたのか知りません。予算の陳情だったのか、何の会合がわかりません。その趣旨を存じませんから私も何ともコメントのしようがございませんが、いずれにしても、政官業の今まで長い間培われてきたそのような土壌というものがここで改善をされていくようにできる限りの手だてを講じていかなければなるまい。これはもう全く恐らく委員も御同感であろうと思います。
○白川委員 これだけでないんですが、実は、十一月三十日というと、きのうなんでしょうかね、今度は運輸関係業者との懇談会をおやりしたいというので同種の案内状が届いたそうであります。そして十二月三日には、これはなかなかきめ細かいんですね、港湾建設業団体と新生党との懇談会、これにまたぜひ同じようにおいでくださいという。陳情を受けるんなら別なんですよ、いろいろ聞いてもらいたいとか。そうじゃなくて、お集まりいただきたいというんですから、これは陳情じゃないんですよ。ヒアリングといえばヒアリングなんですが、必ず首脳が出席せよ、こういう裏打ちが電話で後でかかってくるそうでございます。
さてそこで、今は外務大臣として専念されているわけでございますが、ミスター政治改革といえばこの羽田孜しかいないというぐらいでございます。新生党の名誉のためにもこういうことは余りやらぬ方がいい、やるならばヒアリングとして連立与党政策幹事会なんかでみんなで呼ぶべきだ、私はこう思うわけでございますが、羽田副総理、どのように考えますか。特に十二月三日のことは今後あることだ。もう過去は問いません。十二月三日のことはこれからあることでございますので、党首としてのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
○羽田国務大臣 今お話のありました建設業、そして今、港湾とあれはこれからだということでありますけれども、これはどんなあれなのか私も直ちに本部の方に問い合わせしてみたいと思いますし、今お話のあったことはそのときに申し伝えたいと思います。
ただ……(「案内状、既に出ています」と呼ぶ者あり)いえいえ、私はそれは見せられていませんから、見ていませんけれども、しかし、いずれにしましても、それはすぐ調べまして、どういう状況なのかきちんとあれしたいと思うんです。
それからただ一つ、政治改革は、これは時間があれでしょうからもうくどくど申し上げませんけれども、これは単なる隠れみのとかなんとかということじゃない、まさにもう五年間これやってきたことであって、私たちみたいにこれ、まさにいろんなことでど真ん中にいた人間は、いろいろとこうやって言われてもいたし方ないと思いますけれども、新生党がというのは、これはちょっと、ひとつお許しをいただきたいと思うんです。
○白川委員 羽田副総理は五年間やってきたと言いますが、私は十八年間、我が新潟県で、正直申しまして、自民党にとっていろんな意味での問題があったグループと戦ってやってきたわけでございまして、五年間だとかなんとかで余り大きなことを言わないでいていただきたい、これだけ私は申し述べておきます。
さて、本論に入ります。本論というか、細川さんの問題に入ります。というのは、先ほど触れたように、ゼネコン問題をあしたばんばんやらしてもらいます、佐川は終わってないんです。ゼネコン問題は佐川の延長の中から出てきたんでございまして、細川さんは佐川清さんともいろんな関係がある、こう言われておりますので、このことだけ、あと残りの時間の間でお聞きをさしていただきます。
政治改革特別委員会で、我が党の伊吹文明代議士が、総理に、ずっととは言わないが、保存義務のある平成二年、三年、四年のあなたの関係する政治団体の寄附者を明らかにした方がいいんではないか、その帳簿その他を出されてはどうですか、こう言われたことは御記憶ございますね。そして、あなたは出されましたね。ちょっと……。
○細川内閣総理大臣 理事会の方に出させていただきました。
○白川委員 私もあのときに同席していたのでわかるんですが、伊吹代議士が言ったのは、佐川グループから幾らもらったとか、どこの会社なのかということを明らかにせよと言ったわけではないんです、率直に申しまして。できれば全部の、少なくとも平成二、三、四の収支報告の帳簿は出された方がいいですよ、とりわけ佐川については、もしあったら具体的に、小口で分散しているようだから、どこの会社から幾らということを具体名を挙げてお答えを願いたいということで、細川総理の方からは、どこの会社とは言えないけれども、確かにここにあるとおり、一覧表をいただいております。
この問題は、伊吹代議士にも直接確かめたんですが、要するにこういうことなんですよ。知事というのは非常に広い権限があるわけですね。下手をするとそこに並んでおられる各省の大臣よりも委任事務が多いものですから、物すごい権限があるのです。ですから、あらゆることに認許可権があるわけでございまして、この認許可権に絡むことに関してお金をいただきますと、これは政治資金の届け出をしても、贈収賄の実はおそれも事案によっては出てくるわけでございます。
これは政治資金の報告をしたからといって贈収賄の免除がされるということはございませんから、もちろん表に出さなければこれは逆に非常にわいろ性が高いというふうにされるのですが、七十牛ぶりの選挙制度を中心とした改革をやる、その政府提案の最高責任者である、細川さんは。その細川さんが、二度あることは三度あると申しますが、茨城だ、宮城だ、そして、法案が通って立派な制度はできたけれども、最高責任者の細川さんに関して知事時代のそんなようなスキャンダルが出てきたら、これは世紀のブラックユーモアになりますよ。
だから、逆に、こういうことがないということをあらかじめ明らかにする意味でも、私は、知事時代、職務権限があったわけでございますが、そういうものはもらっておりません、もし疑いがあるならどうぞ調べてくださいという意味で、支出まではあえて言う必要がないけれども、収入の部は全部明らかにされた方がいいのではないですかと。そして、これは細川さん自身が決断する以外にできないのだということを伊吹代議士は随分言っていたと思うわけでございます。
この趣旨はそういうふうに受け取ったのでしょうか、それとも、佐川関係だけ出せばいい、こういうふうに理解されていたのでしょうか。
○細川内閣総理大臣 あのときの伊吹さんのお話では、佐川関係だけというふうに私は受けとめました。
○白川委員 私は、もう高潔な細川さんのことでございますから、万が一にも贈収賄だとか贈収賄のうわさがあるなんていうところからお金をもらっていないと思うので、この世紀の大改革の最高責任者でございます、将来のことを含めてこの最高責任者である、私は全閣僚とは申しません、最高責任者である細川総理大臣は、もうなくしてしまったものまで出せとは言いませんが、保存義務のある平成二、三、四の寄附者の全名簿を明らかにすることが最も適切だと思うわけでございますが、私からも重ねてお願い申し上げますが、いかがでしょうか。
○細川内閣総理大臣 それは検討をさせていただきますが、申すまでもなく相手側のあることでございますから、その辺のことも含めまして検討をさせていただきます。
○白川委員 付加しますが、期せずしてなんでしょうね、総理になられた。その総理としての一世一代の仕事である。もともと御迷惑をかける筋のものではないと思いますが、しかし、困った人も中にいるかもしれないのですが、あなたのやはり支持者が寄附していると思うのでございます。そういうことだからひとつ、多少迷惑がかかるかもわからぬが、まさに世紀の大事業をなし遂げる上で御協力いただきたい、こう言えば、その人たちが困りますなどとは言わないと思うわけでございますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。
さて、もう一つ私はお聞きいたします。
あなたは、昭和五十七年九月、佐川さんもしくは佐川さんグループから一億円を借り受けていますよね。
○細川内閣総理大臣 ちょっと時日は覚えておりません、日にちは覚えておりません。そのような事実はございます。
○白川委員 さっき言ったとおり、佐川問題どこのゼネコン問題は切れておりません。ですから、難しいことではございませんので、ちょっとひとつお答えをいただきたいと思います。もちろん、忘れてしまったことは忘れてしまったことで結構でございます。
債務者は細川護煕個人で借りたと思うのですが、貸した方、債権者はどなたなのでしょうか。
○細川内閣総理大臣 ちょっと私もそこまでは覚えておりません。それは後ほど資料でもし出させていただいてよいということであれば、そうさせていただきます。
○白川委員 淡々と聞かせていただきます。
金利とか返済方法とか、そんなようなことについては定めがあったのでしょうか。
○細川内閣総理大臣 当時の金利、幾らだったか覚えておりませんが、その金利で拝借をいたしました。
○白川委員 額が大きい貸借でございますので契約書とかそういうものは作成したと思うのですが、この点はどうなのでしょうか。
○細川内閣総理大臣 さてどうだったか、ちょっと私も覚えておりません。それも確認をいたします。
○白川委員 報道されるところによると、この資金を借り入れたものの使途は、熊本の住宅の補修とそれから港区元麻布にマンションを購入するための費用である、このように報道で報じられておりますが、大体こんなところで間違いないのでしょうか。
○細川内閣総理大臣 それは何の報道がわかりませんが、それがすべてであったかどうかはちょっと定かではございませんが、多分そんなところだったろうと思います。
○白川委員 当時はもう知事、参議院議員であり、知事選に転身をされようとし、そしてすぐ知事になった前後のことでございますので、あなたは政治家であるという側面と個人としての両面を持っているわけでございますが、基本的にはこの借入金は個人として行った行為であって、政治資金が足らないから借りたとかそういうことじゃない、こういうふうに御理解してよろしいのでしょうか。
○細川内閣総理大臣 そういうことでございます。
○白川委員 総理は非常に政治倫理を大切にする方でございますから、いやしくも当時政治家として政治資金は別途あったと思うわけでございますが、その政治資金をこちらの方の返済に流用する、こんなことはない、このように承っていてよろしゅうございますか。
○細川内閣総理大臣 おっしゃるとおりでございます。
○白川委員 ここから実は私、質問を二つに分けてありまして、契約書があった場合はこういう質問をしようない場合はどういう質問をしようとしたのですが、さすがお殿様というのは大したものだなと思いました。一億を借りるという行為がそう大ごとでないので、そのとき借用書を入れたかどうかも覚えてないというようなことで、これはしかし、記憶がそうだということであればいたし方ございません。
ただ、いずれにいたしましても、そんなに難しいことじゃないので、契約書をつくったのかつくらなかったのか、これはひとつ記憶をたどるなり、だれか一緒に代理人がいたりしたとしたならば、そういう人たちと当時のことを思い出していただいて、そう遠くないうちにお答えをいただきたい、こう思うわけでございます。
さて、じゃ借り入れについてはこれでいいことにしましょう。いいことというかわからないということですから、ちょっと調べていただきまして……。
あなたは基本的にはこれを平成三年の一月ごろまでには全額返済した、このようにおっしゃっております。昭和五十七年にお借りをして、あなたが知事になったのが昭和五十八年の二月でございますので、ほとんどこの借入の間は現職の知事でございました。ですから、現職の知事がどなたから借りたのかわかりませんが、借りた人のところにわざわざ現金を、どのくらいずつになるのでしょうかね、どういう返し方をしたのかわかりませんが、まさか現金を持って返済に訪れるということは余り想像もしたくないですし、あなたの華麗なるパフォーマンスから見てちょっと信じられないことなのでございますが、大体返済というのはどういう方法でやったのでしょうか。
これは一回じゃないので、これはたびたびあるので、これは忘れたとは言えないと思うのですね。例えば、銀行振り込みをしたとか、いや、私はキャッシュで持っていったんだとか、いろいろあろうかと思うのですが、この一億円並びに、銀行金利とあなたはおっしゃっていますが、これをどんな雰囲気で返済したのか、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
○細川内閣総理大臣 契約書は、もちろんそれだけの額のものでございますから、さっきそのことの中身については、だれが保証人であったかとかそういうことはちょっと覚えておりませんと申し上げましたが、契約書は、それは当然契約書を交わして貸借をした、これはもう間違いないことであろうと思います。
それで、今の中身ですが、どういう方法で返したか、こういうお話でございましたが、そういうお尋ねがあるならば前もって用意をしてくるのでしたが、私も、恐らくそれは銀行振り込みではなくて、現金でそのままお返しを何回かに分けてしていると思います。
○白川委員 契約書がさっきないというふうにお聞きしたものですから、失礼しました。あるんなら、質問で、ある方からお聞きできるのであります。ですから、契約書があればありがたいのですが、その契約書は今でもお持ちでしょうか。それとももう破棄しちゃったのでしょうか。
○細川内閣総理大臣 ちょっとそれは確認してみないと何ともわかりません。
○白川委員 ありましたらぜひ当委員会に御提出をいただきたいな、こう思います。
さて、振り込みとかというんじゃなくて、現金の場合が多かったというのが、現金だということでよろしゅうございますか。振り込みじゃなくて、むしろ現金を持っていったと。(細川内閣総理大臣「多分そうだと思います」と呼ぶ)はい、そうすると証拠はないわけですな。例えば、証拠というか、振り込んだ場合なら振り込みの用紙がひょっとしたら残っているかもわからぬけれども、現金で運んだ場合は余り残ってないですわね。
さてそこで、きょうは私あんまり詰問するつもりはないのです。私は弁護士でございますので、素直にまず言ってもらうことが大切なんです。素直に言ってもらうことが大事であります。
そしてこの次に言いたいのは、あえて私は、難しいことじゃないから、記憶に基づいてお答えいただきたいと言ったのは、あと、述べたことは、きょうはもうテレビも映っていますので、きょうは大勢の人が見ていると思うのですよ。そこが意味があるのです。だからこんなことを質問させてもらったんです。
まあ何人ぐらい見ているか知りませんが、はあ、やっぱりお殿様というのはああいう感覚なのかなということを、いや、大体政治家というのはいつも何か問題が起きるとああいう答弁をしてきた、しかし、細川さんはああいう答弁はしないだろう、こう期待していた人も多々あると思うわけでございますが、私も、常識的に見てちょっと不自然な感じもしたな、こう思うわけでございますが、それが事実ならば結構なんです。もう事実が一番大事なんでございまして、事実にまさる王様はないのであります。
さて、これに基づいてまたいずれ、これが大事なことになっていくと思うのですが、一億円の借入というのは一般庶民にはまあ考えられないことでございますが、政治家にとってもそんな小さいお金のことじゃないと思うのですよね。僕なんか、もうとても一億なんて借りたこともございませんし、借りようという気すら起きません。そんなことも含めて、委員長、どうしてもこれはお願いがあるのですが、ただいま総理が述べられたこと、お人柄からして多分九九%は真実を語っておられると私も信用しますよ。また、そうでなかったら日本の政治は真っ暗やみですよ。
しかし、総理のお言葉をただ信用するというだけで我慢しろと言われても、私もちょっと我慢できないところがあるんです。また、今実際やりとりを聞いておられた国民の中にも、もうちょっとここははっきりしてもらいたいなという点があると思うのです。しかも、極めて簡単な方法でこれが証明できるのでございます。やはり物証なんですよ。借りたことは問題じゃないのです。返したか返さないかが大事なんです。返してなければ、借りたといってももらったと同じことなんです。そうでしょう。返したという事実、借りたもあるでしょう、多分。
商法によりますと、会社は十年間帳簿を保存する義務がある、こうなっております。ですから、今が昭和に直しますと六十八年でございますが、五十七年ころのです、ひょっとしたら、はい、これだけ出金しましたと。ところが、どなたから借りたかもわからないのですからね、その帳簿を取り寄せてみようがない。まあしかし、一億円を佐川清さん個人からお借りしたのか、あるいは佐川急便の、東京佐川急便なのか、その辺は私は答えられないというのはちょっと不自然だと思うのですよ。
それで、思い出すのに一つ資料を差し上げましょう。
あなたは、この借金に関して担保に入れたと、こう言っております。湯河原の別荘でございます。これはちゃんと根抵当権が設定してあります。昭和五十八年一月十一日受け付けで、ちょっとおくれています、四カ月ぐらいおくれていますが、極度額一億円で入れてあります。借り主は細川護煕。根抵当権者というのは、すなわち大体債権者なんです、あなたに金を貸した人なんですね、普通は。それが東京佐川急便株式会社となっております。あなたがだれから借りたかわからない、非常におおような言い方でございますが、きっとあなたに貸した人は東京佐川急便だと私は思いますよ。ですから、この東京佐川急便株式会社の帳簿が手に入れば、あなたがおっしゃった一億円が出金した、これはもう十年たっているからないかもわかりませんが、その都度入金がありましたという証拠は大多数は残っているはずなんです。
そこで、委員長、お願いがございます。
国会法百四条によりまして、この債権者と思われる、もしそれが違っていたら変えればいいのですが、債権者と思われる東京佐川急便に対して、この関係する帳簿をどうかひとつ取り寄せていただいて、九九%は正しいのですが、一%の確証を与えていただくために、どうかひとつ委員長から特別のお聞き取りというか御配慮をいただきたいと思いますが、このことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
○山口委員長 理事会において相談をさせていただきます。
○白川委員 ありがとうございました。
○山口委員長 これにて中山君、越智君、江藤君、白川君の質疑は終了いたしました。次に、佐々木陸海君。
白川注:たいへん長い間、ご苦労様でした。この質問はNHKでテレビ中継されていたので、ごく昔からの支持者はご記憶の中にあるかもしれない。ビデオにはとっておいたので探せばあると思うが、Webサイトにわざわざ掲載するつもりもないのでそのままにしてある。この質問を機に佐川グループからの一億円借り入れ問題は、1億円疑惑となった。私は質問をしながら細川首相の態度が一変したのをこの目でみた。この質問を機に細川首相は1億円疑惑を追及されることになり、4ヵ月後の平成6年4月8日辞任した。総理大臣の一言は重い。
それでは、また明日。