基準なき概算要求
09年10月16日
No.1318
昨日、平成22年度一般会計予算の概算要求が締め切られた。そのことでニュース報道番組はもち切りだった。過去最大だったとか、何が幾ら削減されたとか、何が幾ら盛り込まれたとかに議論が集中している。そして頑張ったとか、良くやったとかと言っている。しかし、少しおかしいのではないか。そもそも藤井財務大臣とか国家戦略室から、“そもそも平成22年度予算は、何兆円を上限とする”という基準が示されたのだろうか。その大前提が示されていない中での作業・攻防だから、少しおかしいというのである。
入るを計って、出ずるを制する。これが予算を組む場合の大原則である。国であろうが、地方であろうが、企業であろうが、家計であろうが、この原則は同じである。国の場合、いちばん基本となる税収の範囲で予算を組むことは、現状では事実上不可能である。そうすると国債をどのくらい発行するかは、予め決めなければそもそも基準などできない。国の場合の“入る”は、「税収+国債(借金)+税外収入」である。
民主党はこれまで特別会計を含めて200兆円予算の無駄を見直せば、20兆円くらいの財源はあると主張してきた。本当にそうなのだろうかと私は疑問を呈してきたが、それならばぜひその削減額を明示すべきであろう。しかし、特別会計の中で生じる無駄を一般会計に付け代えることは、そもそも可能なのだろうか。もし特別会計に幾らの無駄があるというのならば、一般会計から繰り入れる予算があるのならばそれを削減すれば良い話であって、予算として使える原資にはならない筈である。
埋蔵金も税外収入として原資に見積もっても良い。政権を取ったのだから、各省庁の埋蔵金が埋まっている蔵を見られる筈である。各省庁の蔵の隅々をよぉーく探して、ぜひ国と国民を助けてほしい。この作業は派手ではないが、こういうことを地道に行うことが大切なのである。また埋蔵金ではないが、各省庁で慣行として行われてきた独特の予算の使い方がある。これらを見直すだけでもかなりの無駄な予算が削減できる筈である。民主党の大好きな“国民目線”でぜひ見直してもらいたいものだ。
道路予算が今回の概算要求でどう処理されているのか、よく見たいものである。道路特定財源の暫定税率を廃止するのだから、これまで当然のこととしていた3兆円余の道路予算の税収は、そもそも無くなるのである。これは削減云々の話ではない。道路予算は、道路特定財源の本則税率で入っている税収と一般予算から組み入れられる予算を上限として組まなければならない。この担当は前原国土交通大臣の担当分野だ。羽田ハブ空港化も結構だが、生煮えの構想をぶち上げることより、道路予算をハッキリさせてもらいたい。こちらは3兆円規模の大きな話なのであるから。
今日はこのくらいにしておこう。それでは、また。