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日頃の言動がモノをいう。

09年03月08日

No.1104

いつも言っているように、政治は具体的問題を具体的に分析し、その解決策を探ることである。私たちの目の前で進行している小沢問題は、“検察や警察を使って政敵を政治的に追い落す”ことの是非である。こう質問されれば、ほとんどの国民はNOというであろう。ところが、質問次第ではこうなる。

小沢代表 「辞めるべきだ」57%
──民主、支持率も下落

毎日新聞は6、7両日、電話による全国世論調査を実施した。民主党の小沢一郎代表の資金管理団体を巡る政治資金規正法違反事件を受け、小沢氏が代表を辞めるべきかどうかを聞いたところ、「辞めるべきだ」が57%で、「辞める必要はない」の33%を上回った。事件に関する小沢氏の説明に対しては、「納得できる」12%、「納得できない」79%。このほか、政党支持率で民主党が2月の前回調査比7ポイント減の22%で、2ポイント増の自民党と同率になるなど、民主党に厳しい数字が並ぶ結果となった。

「麻生太郎首相と小沢氏のどちらが首相にふさわしいか」との質問への回答は、小沢氏が12ポイント減の13%で、ほぼ半減。麻生首相は2ポイント増の10%、「どちらもふさわしくない」は12ポイント増の73%だった。

この質問は昨年9月の麻生内閣発足以来続けており、当初は麻生首相が42%、小沢氏が19%だったが、首相の発言のぶれなどを受けて昨年12月に小沢氏が逆転。前回は小沢氏がリードを17ポイントに広げていたが、今回は3ポイントまで縮まった。

「次の衆院選で自民党と民主党のどちらに勝ってほしいか」との質問への回答は、自民が7ポイント増の29%、民主が11ポイント減の40%だった。「今、衆院選が実施されるとしたら、比例代表でどの政党に投票するか」は、自民が2ポイント減の20%、民主が8ポイント減の28%。

いずれも依然、民主党が上回ったものの、広がる傾向にあった両党の差が縮まった。「今回の事件を次期衆院選の投票の判断材料にするかどうか」への回答は、「する」が43%、「しない」が51%。判断材料とする層の「民主離れ」が進んだとみられる。

四者択一で質問した「衆院解散・総選挙をいつ行うべきか」への回答は(1)「09年度予算成立後の4月ごろ」33%(2)「直ちに行うべきだ」30%(3)「任期いっぱいまで必要ない」18%(4)「今年夏ごろ」11%--の順だった。

一方、麻生内閣の支持率は前回比5ポイント増の16%、不支持率は7ポイント減の66%。支持率は発足以来初めて上昇したが、低い水準にとどまった。【田中成之】 <毎日新聞 3月7日20時40分配信>

世論調査についてはいつものように『朝日新聞』の記事に基づいて分析するつもりだが、今回は現在進行中の小沢問題がどのような結果を現に招来しているかを指摘するために引用させていただいた。自公“合体”政権は、小沢氏の公設第一秘書逮捕を普通の事件として淡々と処理されたものだと言っている。政治的意図など全くないと言っている。しかし、この数字をみれば小沢氏の公設第一秘書逮捕が政治的に劇的な変化をもたらしたことは歴然としている。

およそ人間の営みには、動機と目的がある。検察や警察が犯罪を摘発し、処罰を求めることはその任務である。この世には“良からぬこと”など無数にある。検察や警察の任務は、“良からぬことを成敗する”ことではない。犯罪を摘発し、処罰を求めることなのである。犯罪も無数にある。その全てを摘発し、処罰を求めることも不可能である。社会的に放置できない犯罪を摘発し、処罰を求めることにならざるを得ない。不公平なのではなく、已を得ないのである。これを象徴的に言えば、“巨悪は眠らせない”ということになろう。ロッキード事件の時の伊藤検事総長の言である。

政治とカネの問題についていえば、巨悪は贈収賄である。贈収賄事件は、金額に関係なく成立する。しかし、巨悪と呼ぶ場合、金額も関係あるだろう。小沢問題について、“関係者”から小沢氏の巨悪さを証明するためにいろいろな情報が流されている。それらを流す以上、関係者は小沢氏を贈収賄事件として立件する必要がある。検察や警察の役目は、“良からぬことを成敗する”ことではない。犯罪として摘発し、処罰を求めることなのである。検察や警察の“関係者”は、時々“良からぬ奴を成敗”しようとする。往々にして彼らにとって“良からぬ奴”である場合も多いのである。ところが、検察や警察の中にも“良からぬ奴”もいる。

“彼ら”とは、検察や警察であることは勿論だが、その上の者を含む。検察と警察の上とは、もちろん時の内閣である。いうまでもなく検察や警察は政治権力の一部である。その人事は内閣が握っている。検察官僚も警察官僚も官僚である。かつては政治家で構成される内閣に迎合せず、独立不羈を貫く剛直な検察官僚や警察官僚もいた。しかし、近年は他の官庁と同じで、良き意味での“官僚の独立性・自律性”を大切にする“骨のある官僚”は少なくなってきた。政治家に迎合する役人が出世する風潮を、“骨のある官僚”は嘆いているのが実情である。

小沢事件について言えば、検察が政治とカネの問題をクリーンにするために積極的な役割を果たしてきたかということである。贈収賄事件を立件するのは検察と警察の本来的な業務だが、それ以上でも以下でもない。検察や警察が政治とカネの問題をクリーンにする先頭の立ってきた、と多くの国民は思っていないのではないか。だから今回の検察の行動に胡散臭さを感じるのである。小沢氏や民主党の検察批判に対して多くの国民が素直に理解・同意を示さないのも、民主党のこれまでの行動に信用がないからである。

検察や警察の横暴に泣いてきた者は多い。検察や警察の不当な権力行使に民主党が護民官として関心をもち、それを是正するために尽力してきた実績がないから、国民は民主党をあまり信用できないのである。しかし、国民を検察や警察の不当な権力行使から守るということは重要である。野党第一党である民主党はこういう問題に関心をもち、政権を獲得したら必ず改める決意をもたなければならない。小沢問題が起きたからといって、急に“不公正な権力行使”・“国策捜査”と叫んでも誰も信用しない。“検察や警察を使って国民を追い落す”ことを民主党は許さないという決意と信念に基づいて行動したとき、流れは変わる。そういう意味で“本当の正念場”なのである。

それでは、また。

  • 09年03月08日 07時45分AM 掲載
  • 分類: 2.国内政治

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