第6回連続世論調査
09年01月15日
No.1052
正月が終わった2009年1月10・11日の土日、報道各社は一斉に世論調査を行った。どこの世論調査でも“麻生内閣の支持率が落ちた”と報じているが、そんなことは世論調査を見るまでもなく当り前のことではないだろうか。問題はその中身である。いつもの通り1月13日付の『朝日新聞』朝刊に掲載された第6回連続世論調査(1月10・11日実施。前回調査は12月6・79日)に基づき、現在の政治の流れと選挙情勢について“冷静”な分析したいと思う。私にいわせれば、それほど劇的な変化は出ていないのではないかということである。
まず内閣支持率の変化である。前者が福田内閣、後者は第1回~第3回の世論調査の麻生内閣の支持率である。
データ内容 | データ数値(以下同じ) |
---|---|
福田・麻生内閣の支持率 | 25→19→23→24%‥‥‥41→42→41→37→22→19% |
福田・麻生内閣の不支持率 | 60→65→59→58%‥‥‥42→38→38→41→64→64% |
確かに麻生内閣の支持率は落ちているが、福田内閣の時とそんなに大きな違いはまだない。来月の調査結果でさらに大幅に下落したとき、完全に泥沼に陥ったと見るべきであろう。だから自民党はそんなに浮き足立つ必要がないと思うのだが、自民党の動きは自暴自棄になっているのではないかと私に見える。こんなことを繰り返していたのでは、来月の世論調査で多分さらに下落するであろう。自民党はまだ回復の余地があるのである。逆にいえば、野党陣営は安心できないのだ。緻密な分析と戦略に基づく日々の戦いで、麻生内閣・自公“合体”政権を追い込んでいくことに専念しなければならない。勝負は下駄を履くまで判らないことを肝に銘じるべきである。
次に政党支持率の変化だ。
データ内容 | データ数値 |
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自民党支持率 | 26→22→22→26%‥‥‥33→30→32→30→27→24% |
民主党支持率 | 22→26→22→24%‥‥‥23→22→19→24→23→24% |
支持政党なし | 41→38→41→40%‥‥‥31→34→35→33→38→40% |
公明党支持率 | 4→3→4→2%‥‥‥4→4→4→4→2→2% |
共産党支持率 | 2→2→2→2%‥‥‥2→2→2→2→2→2% |
社民党支持率 | 1→1→1→1%‥‥‥1→1→1→1→1→1% |
他の政党支持率 | 0→0→0→0%‥‥‥0→0→0→0→0% |
自民党支持率は3ポイント落ちているが、民主党支持率はわずか1ポイントしか伸びていない。自民党の支持率は、まだ福田内閣の最悪の時と同じくらいあることに注意する必要がある。現在の自民党と民主党の支持率がともに24%であることは忘れないほうが良い。長く自民党に籍を置き、何度も自民党の危機に直面してきた私に言わせれば、現在の自民党などは史上最悪・最低である。こんなに無様な自民党を私は知らない。民主党は、そんな自民党と同じ支持率しかまだもっていないのである。なぜそうなのか。怪訝に思う人も多いであろう。しかし、私に言わせしめれば、“国民は愚にして賢、現実をしっかりと見ている”ということである。それが何なのかを見極め、民主党を中心とする野党は反省する必要がある。
次に「仮に、いま、総選挙の投票をするとしたら、比例区ではどの政党に投票したいと思いますか」の数値である。
データ内容 | データ数値 |
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自民党 | 32→30→32→30→28→25% |
民主党 | 34→32→30→33→36→38% |
答えない等 | 24→26→29→26→27→28% |
公明党 | 4→5→4→5→3→3% |
共産党 | 3→4→2→4→3→4% |
社民党 | 1→1→1→1→2→1% |
他の政党 | 0→0→0→1→1% |
ここでも自民党は3ポイント落ち、民主党は2ポイント伸ばしている。公明党は3%で前回と同じだ。1ポイントは約100万票である。そうすると自公“合体”政権側は300万票減らし、民主党は200万票増やしている。イッテコイで500万票だ。私が自民党の選挙責任者なら真っ青にならざるを得ない。しかし、自公“合体”政権側の選挙責任者は、相変わらず能天気だ。
共産党は1ポイント増やしているが、社民党は1ポイント減らしている。それにしても共産党と社民党を合わせれば、5%の投票が見込まれる。その他の政党の1%を含めれば、6%=600万票の投票が見込まれるのである。自民党は3%の投票見込みしかない公明党のご機嫌を伺ってきわめて評判の悪い定額給付金を強行しようとしている。民主党は共産党・社民党・国民新党などとの連携をもっと重視する必要がある。
第6回連続世論調査で言及すべき点は以上の通りである。マスコミがいうほど楽観的な数値ではないと思う。一言でいえば、福田首相という選択はそもそも最悪だったのである。それに比べ麻生首相という選択は、自公“合体”政権にとって残された最強のカードだったのである。以上の細かい数値の分析によってそのことは理解できると思う。その辺の微妙な感覚は、長い間自民党の中で戦ってきた者でなければ分からないであろう。
ようやく麻生首相の化けの皮が剥がれてきたのである。それは野党の攻勢というより、漢字の読み間違いなどによる麻生首相のズッコケが主たる原因であった。相変わらず野党にとっては“敵失”なのである。本当の勝利は敵失で得られるものではない。攻めて攻めて攻め抜いてこそ、はじめて大将首はあげられるのだ。私が見る限り、攻めて攻めて攻め抜いているとは思われないのだ。これは杞憂であろうか。
それでは、また。