一害を取り除くことに徹せよ。
08年05月26日
No.819
私にはちょっと分からないのだが、どうしても土日は永田町徒然草のアクセスが落ちる。他の政治サイトにも同じような傾向がある。かつては自宅にパソコンがなかったので会社や事務所のパソコンでみる人が多かった。だからそのような傾向があったことは分かるのだが、パソコンがこれだけ普及したのに何故なのだろうか。
このことをある友人に尋ねたとき、「多くの人々にとって政治はやはりオフィシャルなのではないか」との答えが返ってきた。オフィシャルというのは、“堅苦しい、小難しい”という意味だとその友人は言っていた。政治人間である私には、この辺が理解できないのである。政治論議は、面白いし何よりも楽しい知的な行いなのである。そう思うのはやはり私が政治人間だからなのであろうか。
そんなことはどうでもよいのだが、私は月曜日の永田町徒然草をその週の最初のものとして書いている。今週の政治はどのようなテーマを中心にして動くのだろうか。きっと後期高齢者医療制度の廃止法案の動きなのであろう。野党は参議院に後期高齢者医療制度の廃止法案を提出した。この法案の審議が行われ、参議院では可決されるであろう。しかし、衆議院では否決されるであろう。自公“合体”政権がこの廃止法案に同調する気配はない。
この法案の行方とは別に自公“合体”政権は後期高齢者医療制度を見直すといっている。たぶん相当の見直しを行うのであろう。何らかの見直しをしないと国民特に高齢者の怒りは収まりそうもないからである。制度が出発して3ヶ月も経たないというのに、これに大幅な修正を加えなければならないとはなんとも杜撰(ずさん)な制度を作ったものである。政権党としての能力を疑われても止むを得ない。このように至るところで自公“合体”政権は綻(ほころ)びかけている。
ところが野党の攻めの不味(まずさ)さがこれを助けている。後期高齢者医療制度も与党の見直しでお茶を濁されてしまう可能性が大きい。道路特定財源の暫定税率の廃止は、“道路特定財源の一般財源化”で完全にお茶を濁されてしまった。野党は“一般財源化”された道路財源の税収の使い方について与党と協議するといっている。国民新党だけはこの協議会に参加しないといっているが、その理由は道路特定財源の一般財源化に賛成できないからというものであろう。国民新党は暫定税率の存続には賛成といっていた。
私は後期高齢者医療制度をどのようにしたら良いのか、まだ確たる意見をもっていない。しかし、道路特定財源の暫定税率については、これを廃止するしかないと思っている。それは国民の願いであり、それが税制としても現下の経済政策としても正しいと信じている。しかもこれは暫定税率を廃止すればよいだけの話であり、あえて余分なことを考える必要はない。後期高齢者医療制度問題はそれほど単純ではないと思っている。
政権担当能力とは、小賢しいことや小難しいことをいうことではない。国民が嫌だと思っていること、国民が苦しんでいることを取り除くことである。自公“合体”政権はいろいろなことをいっているが、彼らが行おうとしていることは基本的に邪悪である。彼らのペースに嵌(はま)ってはならない。“一害を除くは、一利を興すに優る”のである。このことについては永田町徒然草No.270「興一利不若除一害」を参照されたい。一害とは、きわめて単純なことである。しかし、愚直に一害を除くことに徹するのが必要である。それに徹したとき、国民の信頼が集まり政権担当能力も生まれるのである。野党はこのことを肝に銘じてもらいたい。
それでは、また。