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いったい何が問題なのか?

08年02月13日

No.707

今日は全国的に寒いという。完全に西高東低である。東京の現在の気温は0.4℃。例によって関東地方は晴天だそうだが、今日の最高気温は5℃で“北風びゅーびゅー”だという。私は昨夜からラクダのシャツをさらに一枚着込んだ。いま、日本テレビの『おはよん』、続いてNHKニュース、TBSの『朝ズバッ!』をみながら、これを打っている。私は今日一日自宅で弁護士としての仕事の書類書きであるが、外で仕事をする人々には辛い日になるでだろう。

道路特定財源の暫定税率の問題がいろんなところで報じられている。それは一向に構わないのだが、国会の議論の焦点がボケては困る。今回問題になっているのは、道路特定財源の暫定税率を10年間延長することを最大の内容とする租税特別措置法改正案の是非が問われているのである。いつもいっているように政治とは具体的状況における具体的分析である。具体的問題について、その問題点を指摘することがいちばん重要である。

道路特定財源の暫定税率がいま問題なのである。国民は本則税率まで廃止せよといっているのではない。本則税率だけでも約3兆円の税収があるのである。開かずの踏切対策や除雪費などがなくなる訳ではない。“必要な道路”を作る予算がなくなる訳でもない。そもそも“必要な道路”とは誰が決めるのだ。“無駄な道路”が作られることを止めさせるためには、役人に不必要な予算を与えないことである。子供の無駄遣いを止めさせるには、余分なお金を与えないことが一番である。

今回は道路特定財源を一般財源化するかどうかが直接問題になっている訳ではない。衆議院で圧倒的多数をもっている自公“合体”政権を相手に、野党が道路特定財源を一般財源化することが果たしてできるのか。できもしないことをあえてターゲットにすることは、その必要もないし間違っている。道路特定財源を一般財源にするためには、実はもっといろいろな側面から議論しなければならない。そもそも消費税導入のとき、本来ならば間接税は廃止されるべきだったのである

道路特定財源であるガソリン税(正式には揮発油税と地方道路税)・軽油引取税・石油ガス税・自動車重量税・自動車取得税は、いうまでもなくいずれも間接税である。消費税導入の際に、宝石やブランド品などの高級な物品や高額な電気製品などに課せられていた物品税は、原則としてすべて廃止された。物品税は俗に贅沢品といわれているものに課せられていた。自動車はかつては間違いなく贅沢品であった。しかし、現在では自動車すべてを贅沢品という範疇で捉えることができるだろうか。公共交通手段が満足にない地方で、人々は必要に迫られて自動車を購入するのである。地方の人々には、贅沢品という意識はまったくない

従って、道路特定財源を一般財源とした場合、その税は地方の人々に対して過大に負担させることになる。一般財源であるから、どのような用途に使おうが基本的には自由である。本当にそれで良いのか。道路特定財源を一般財源として、環境税(仮称)として環境対策に充てるという構想も同じ難点がある。この点については永田町徒然草No.704で述べておいたのでそれを参照されたい。だから私は道路財源の一般財源化に賛成できないといっているのである。しかし、そのことをあえて強くいわないのは、現在の当面の問題でないからなのである。いま議論すべきことは、道路特定財源の暫定税率を10年間延長することが“是なのか、非なのか”である。

問題はあまり拡散させない方がいい。だから私は“道路特定財源の暫定税率”といわずに“ガソリン税の暫定税率”といって問題を提起してきたのである。現在はこの暫定税率の延長に反対する者が大同団結することなのである。道路特定財源の一般財源化を主張することにあえて異を唱えないのはそのためである。道路特定財源の一般財源化は、まず暫定税率を廃止した後で、あと2~3年間かけてじっくりと議論すればよいのである。

消費税導入の際に、道路特定財源とともに残された大きな間接税には、酒税たばこ税がある。自動車に関して課せられている道路特定財源と呼ばれる間接税や酒税やたばこ税をそのまま残したことには、税制としての整合性や理論的根拠はない。3%の消費税の導入の代わりにこれらを廃止することは、その税収があまりにも大きかったからである。たばこ税は最近では別の必要性がいわれているが、当時そのような問題意識はなかった。消費税が導入された平成元年における酒税は約2兆円、たばこ税(地方たばこ税を含む)は約3兆円くらいであったと思う(古い数字であるので手元にある資料で確認できない)。

私はタバコを好むが、酒はあまり飲まない。だからといって、たばこ税にも酒税にも反対しようとは思わない。どちらも嗜好品(しこうひん)といわれても仕方ないと思うからである。しかし、厳密にいえば何が嗜好品を国が決めることには、問題がない訳ではないのである。私はなんでも美味しく食べられるので、あまりグルメ嗜好はない。非常に高い牛肉や河豚などにこだわる人もいる。それは食品というより嗜好品ともいえる。贅沢品に高い消費税をかけるというのは、国民の消費に国が介入することに通じる。消費の価値観に国が介入しないというのは、自由主義のひとつの見識なのである。税はこのようにいろいろな側面から論じる必要があるのである。

それでは、また。

  • 08年02月13日 07時04分AM 掲載
  • 分類: 2.国内政治

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