政府の嘘を見抜き、本質を見よ。
16年07月05日
No.1843
相変わらず“参議院選挙から関心を逸らす”という作戦に従って、マスコミは、参議院選挙と関係ない話題でニュース報道を埋め尽くそうとしている。この世は、いつも生生流転。だから、話題に事欠かない。ジャーナリズムの最初の任務は、「まず何を取り上げるか、何を捨てるか」から始まる。その次に必要なことは、「取り上げたニュースをどう報道するか」である。政治に関係するニュースでは、選挙の判断材料の参考になるように報ずることが、質の高いジャーナリズムの条件である。
この数日間の政治に関係するニュースは、イギリスのEU離脱・バングラデシュにおける人質事件と7人の犠牲・バクダットにおける200人超の犠牲者が出た自爆テロ事件等・東京都知事選などである。マスコミは、そこまで詳しく報ずる必要があるのか?、と思われる程のスペースを割いているが、国民あるいは有権者として考えなければならない視点や問題点には、全く触れない。ひとつには、触れるつもりが全くないからである。もうひとつには、その能力がないからなのであろう。
ダッカ人質事件における日本人7人を含む20人の犠牲者に、心からのお悔やみを申し上げる。しかし、日本人の人質が数名もいたのだから、政府の対応が十分であったかを問題にするのは、当たり前である。政府の発表によれば、「治安部隊が突入した時点において、既に7人は殺害されていた」とされているが、その真偽のほどは分からない。マスコミには、その真偽を明らかにする義務がある。
これは単純なことだが、問題はそれよりも根本的なことである。政府と反政府勢力との間に武装闘争があるような国においては、「政府の側に立つ者は、反政府勢力から見れば敵だ」ということなのだ。これは、戦争を論じる場合の常識である。たとえ民間企業であったとしても、そう見られても仕方がないのである。今回の日本人犠牲者は、ジャイカ(JICA)の業務の関係者であった。JICAは準政府機関であり、外国政府に多額の資金援助等をしている機関である。
そのJICAの理事長は、あの北岡伸一なのである。あの北岡と私が言うのは、彼が、集団自衛権の政府見解見直しのお先棒を担いだ人物だからである。集団自衛権を論じるということは、戦争を論じることなのだ。戦争のイロハも知らない人物が、東京大学教授の肩書を利用して、集団的自衛権の行使容認を画策したのだ。JICA理事長は、予算も大きく、外交関係者が是非なりたいと思っている大きなポストなのである。
もうひとつ言いたいことは、バングラデシュの情報に対する認識の甘さである。外務省やJICAは、外交のプロである。政治と外交には、結果責任が求められる。結果がダメならば、どんなに努力したとしてもダメなのである。安倍首相も外交づいているが、おカネを使って提灯持ちすることを外交と心得ている外務省のシナリオに乗っているだけなのだ。安倍外交とは、そんなものである。危機に対処する能力など、最初からないのだ。
バクダットの自爆テロ事件の死亡者は、213人超で過去最悪規模である。このようにテロ事件は、ますます酷くなるだけである。サミットでどのような宣言を出そうが、何かが間違っているから、悪循環は止まらないであろう。アラブ中東は、もともとテロの本場などではなかった。憲法9条・専守防衛の基本精神に立ち戻って、この問題を考え直さなければ、先の見通しは全く見えない。
参議院選挙に関する世論調査の結果が報道されているが、その結果は、明らかに自公“合体”政権が追い詰められていることを示している。その理由は幾らでも述べられるが、あまり意味がなかろう … あと1週間で結論が出るのだから。いま大切なことは、野党共闘路線に自信をもって、各選挙区で全力を尽くすことである。必ず勝てる! 自信をもって、戦いを進めよう。
今日は、このくらいにしておこう。それでは、また。