気持ちの悪い国会の“攻防”
12年05月20日
No.1500
旭天鵬が優勝した。今場所の大相撲は、面白かった。いろいろな事があったが、優勝決定戦の末、旭天鵬の勝利で終わった。それなりに意味のあるこの結果を、大きな感動をもって受けとめた。久しぶりに涙腺が刺激された。旭天鵬関、本当におめでとう。旭天鵬の優勝パレードで、白鵬が旗手を務めるという。白鵬の、素直な気持ちなのだろう。素晴らしいと思う。
最近、週末になると野田首相は毎週、どこかに出かけている。決められた日程でしょうがないかもしれないが、それにしても、いかなる成果があるのか分からない。政治生命を賭して消費税10%法案を通すといっているのだが、政治の焦点は、そちらに本当に向っているのか。野田首相にとっては政治生命を賭すことかもしれないが、国民にとっても、生活と国の姿を賭した問題。ガチンコ勝負をしなければならないのだ。
国会の中では、一向にガチンコ勝負をしていない。見ていて何だか、気持ちが悪くなる。消費税を10%にすることには賛成だが、その通し方だけが争われているようだ。しかし、本当にそんなことでいいのだろうか。10%の消費税を取られる国民は、賛成しているのか。これに反対する政治の極・軸が、未だ見えてこない。だから、10%の消費税は仕方ないのかという雰囲気が多くなってきている。財務省は、大いにニンマリしていうであろう。
ギリシャ危機が、財政緊縮・財政再建を煽りたてている。財政再建・財政均衡の議論を、わが国では、本当にしたことがあるのだろうか。民主党政権になって行った行政改革などは、ほんのパフォーマンスに過ぎない。あのショウを演出していたのは、実は財務省だったことを、国民はもう忘れてしまったのか。年間3兆円余になる道路特定財源の暫定税率など、議題にもならなかった。民主党のマニュフスト破りの始まりは、そもそもここにあった。
「この国を運営していくのに、国民は一人当たり年間約90万円を、税として本当に払わなければならないのか」という根本問題を、本気で考えることが必要なのだ。国・地方の行政がやることには実に無駄が多いと、国民はいろんな分野で感じている筈だ。そもそも、行政が行うことは効率が悪いものなのだ。それを絶えず見直すのが、政治なのだ。行政が行わなければならないことに定まった絶対的必要経費など、そもそもないのだ。
こうした議論がないまま、気持ちが悪くなるような流れと手順で、消費税が10%になろうとしている。その法律を決めた後で、国民に信を問うという。冗談じゃない。消費税を10%にすると堂々と掲げて総選挙を戦い、勝利した上で、国家の運営を正々と行うという気概がないのか。それが、これまでとは違った政治のやり方ではないのか。私は、長いこと政治に携わってきたが、現在のこの政治状況を、非常に憂いている。
今日は、このくらいにしておこう。それでは、また。