嫌ぁ~な予感
12年04月15日
No.1544
東京の桜は、もう終わった。日本人は、桜の花が本当に好きである。春、東京の街を動いていると、こんなにも桜の木が多いのかと驚かされる。桜が多いのは、そこに多くの人々が住んでおり、「春には桜の花を見たい」と、思っているからのであろう。東京は、江戸時代から日本で最大の居住地だった。私が育った新潟の十日町市には、こんなに多くの桜の木はなかった。最近はどうか定かでないが、かつてよりは、多く見られるのであろう。
日本人がこんなに桜が好きな割には、桜の歌(唄)は意外に少ない。私などは、桜の歌といえば、滝廉太郎の“春のうららの”しか知らない。東京では、先週の土日が花盛りだった。私は、近くの桜を愛でただけで十分だった。しかし、“春のうららの”の桜を一度も見たことがないので、先週の木曜日「運転手さん、春のうららの桜を見たいので行ってくれませんか」と、タクシーに乗り、墨田川の桜を見に行った。もう葉桜だったが、雰囲気は分かった。
春のうららの 隅田川
のぼりくだりの 船人が
櫂のしづくも 花と散る
ながめを何に たとふべき
桜の歌なのに、桜の“さ”の字もない。船人が漕ぐ櫂(かい)の滴を花と見るところが、私は好きである。躍動感がある。ちなみに、二番、三番には桜が目一杯あるが、とても一番にはかなわない。ちなみに、この歌詞は武島羽衣のものだという。作曲の滝廉太郎ほど有名ではないので、Wikipediaを貼り付けた。
見ずやあけぼの 露浴びて
われにもの言ふ 桜木を
ること見ずや夕ぐれ 手をのべて
われさしまねく 青柳(あおやぎ)を
錦おりなす 長堤(ちょうてい)に
くるればのぼる おぼろ月
げに一刻も 千金の
ながめを何に たとふべき
話はガラッと変わるが、昨年は3・11大震災で、“春爛漫”という気持ちにはとてもなれなかった。今年も同じだ。最大の理由は、血眼になって消費税10%と絶叫する首相がいるからである。この首相は、見え透いた関係閣僚会議を数回開いて、福井県にある関西電力の大飯原子力発電所の再稼働も“政治判断”した。この首相は、果たして原子力発電の根本的問題を知っているのだろうか。ドイツがなぜ、原子力発電から撤退することを決めたのか、考えてみたことがあるのだろうか。
この首相のいう消費税10%など、普通なら政治的に通る筈がない。しかし、自民党の態度が不可解だ。ゴチャゴチャいっているが、この首相が押し通そうという消費税10%に本気で反対なのか、いま一つ分からない。自民党も、よくよく考えなければならない。前回の衆議院選挙で、自民党は大敗した。自民党が公約として掲げた消費税10%は、国民からNOといわれたのだ。NOといわれた自民党の公約を、野田首相に丸呑みされたのだ。
“春爛漫”などと浮かれていると、民主党と自民党が“大連立”して、消費税を10%とする法律は、大いに通り得る。そのような大連立が成立すると、公明党がそこに入ってくる可能性も又、大いにあり、だ。そうすると、自公“合体”政権よりも大きくなる。民主党・自民党・公明党“合体”政権に対する戦いは、そんなに簡単ではないぞ。私が最近カラッとした気分になれないのは、このような悪夢がチラつくからである。
今日は、このくらいにしておこう。それでは、また。