欧州債務問題とTPP
11年11月14日
No.1521
私の休日は、土曜日の仕事が終わった夕刻から始まる。そして、日曜日に永田町徒然草を書いて終わる。休日のいちばん好きなところは、自由に、好きなことができる点である。スケジュールから解放されることである。だから、私は休日の予定はほとんど立てることがない。スケジュールを入れた途端に、休日が休日でなくなるからだ。さりとて、死んでいる訳ではないないので、何かやる。しかし、それはすべて“デタドコ勝負”である。
昨夜、友人と連れだって、新宿と大久保の間にある噂の“韓国街”に出かけた。多くの韓国料理店や、韓流グッズ店などがあった。そして、街は若い人々で溢れていた。主に、若い女性のグループであった。家族連れの男性はいたが、私たちのように男だけというグループは、極めて少なかった。とにかく、この“韓国街”には多くの人々が来るという。韓国から旅行にきた韓国人も訪れるという。日韓議員連盟の役員をしていた関係で、韓国に特別な想いのある私にとって、昨夜見聞した東京の“韓国街”には、強い感慨を覚える場所であった。
先週は、国際的にはギリシャとイタリアの債務問題、国内的にはTPP問題でもち切りだった。確かに、どちらも大きな問題だ。そしてこのふたつは強くリンクしている。ギリシャとイタリアの国債問題は、わが国が抱えている国債問題の、そう遠くない先の姿である。ギリシャもイタリアも、長期間にわたり経済成長がなく、そのなかで財政規律がない政治が行われたために、今日の事態を招いた。現在なぜ“歴史的な円高”のかが、私には分からない。国際資本の何か大きな意図がある、と思えてしょうがないのだが…。
TPP問題をめぐる、野田首相をはじめとする政治家たちの、決意と思惑の不可解さが目立った。野田首相は“一日間の熟慮”の結果、TPPに参加するかどうかの事前協議の意思を表明すると、記者会見で言った。そして、民主党のTPP参加反対派の議員たちは、安堵したといった。何とも見苦しい茶番であった。どう強弁しようが、政治的には「TPPに日本は参加すると表明した」と受け取られても仕方がない。そして、そうなるだろう。こんな曖昧なことで、TPP参加に伴う諸問題を果たして乗り切れるのか、と私は思う。
いま、わが国にとっての最重要な問題は、経済の成長を実現することである。20年間も経済成長が止まっていたのでは、わが国の国際的存在は弱くなるし、国民生活も破綻してしまう。現に、そうなっている。多くの国民は、漠然と将来に大きな不安を抱いている。TPPの大きなメリットとデメリットとして指摘されているものは、ともに関税である。
しかし、わが国の経済にとって、いまや関税など大きな問題ではないのだ。それ以外の障碍で、わが国の経済成長が阻害されているのだ。いま私たちが問わなければならないのは、国全体の姿なのだ。わが国の政治全体が取り組まなければ、わが国の経済成長は実現できない。国民も、自分の生活を立ち直せたいと本気で願うなら、何をすべきか考えなければならない時が来た。そして、何をしようと本気で訴える政党や政治家たちを選ばなければならない時が来たのだ。
今日はこのくらいにしておこう。それでは、また。