賽(さい)は投げられた!
07年02月21日
No.343
昨日民主党の小沢一郎代表が、かねてから疑問を呈されていた「事務所費問題」について記者会見で支出の明細を公表した。後に述べるように3億数千万円の不動産を政治団体が取得することについてはいろいろな議論・反論が今後起こってくるだろう。しかし、小沢氏はそこを公表したのだ。いうならばひとつの勝負に出たのだ。亀井静香国民新党代表代行も永田町徒然草No.336で述べたように安倍首相が池田大作名誉会長にあったのは事実かどうかと質した。専門的にみれば、これはひとつの大きな勝負なのだ。野党の二人の責任者が勝負に出たのである。いうならば賽を投げたのである。さて、今後どう展開するか。
一般の方は、「事務所費問題」といってもいったい何が問題なのか正直なところ分らない人が多いと思う。まずこの点から説明しよう。政治資金規正法によって、政治団体の支出は大きく経常経費と政治活動費に分類される。政治活動費は、一件当たりの金額が5万円以上の支出について、その支出を受けた者の氏名および住所ならびに支出の目的および支出年月日等の明細を政治団体収支報告書に記載し、かつ領収書の写しを収支報告書に添付なければならない。
政治活動費は、1組織活動費 2選挙関係費 3機関紙誌の発行その他の事業費 4調査研究費 5寄付・交付金 6その他の経費 などの項目別に分け、その上さらに小項目に分類して記載し、かつ領収書を添付しなければならない。私が国会議員だったころそれらの事務を秘書がすべてやっていたが、その作業は大変だったようである。特に領収書を添付しなければならないので適当に書くわけにもいかないし、正直に書けばその趣旨の支出として本当に妥当なのかということになる。しかし、ここにこの法律の根本がある。政治資金規正法は、政治資金を規制することではなく「規正」することを目的としている。ちなみに広辞苑によれば、規正とは悪いところを正しく直すこととある。
経常経費は、1人件費 2光熱水費 3備品・消耗品費 4事務所費に分類されるが、その総額のみを記載すればよく、内訳・領収書は不要とされている。そこで事務所費とはどういうものをいうのかというと、東京都選挙管理委員会の説明書(これは総務省の指導によるものである)によれば、「事務所の借料損料(地代・家賃等)、公租公課、火災保険料等の各種保険金、電話使用料、切手購入費、修繕費そのたこれらに類する経費で、事務所の維持に通常必要とされるもの」だという。光熱水費は、領収書を添付しなくよいといってもその性格から自ずと限度がある。しかし、他の3つの項目は総額だけを書けばいいのだから、膨らませようとすれば最初からどうにでもなる項目なのである。
このように最初からどうにでも報告できる項目の支出が、今回どうしてこんなに問題となったのか。実はそのことがそもそも大きな問題なのである。このことを書くとかなり長くなるので、今日のところはここまでにしておく。今日は新聞等もかなり書くであろうからそれらを読んで勉強していてほしい。
それでは、また明日。