仕分け人と仕掛け人
09年11月19日
No.1347
西高東低の季節となってきた。私が育った新潟県は、冬になると雨や霙(みぞれ)や雪がよく降った。関東のようにカラッと晴れる日は滅多にない。カラッと晴れても根雪があれば、関東のようにはいかない。いちばん顕著なのが自動車の使い勝手である。積雪が50~70㎝ともなれば、かつて自動車はもう使えなかった。戦後自動車が普及する中で、雪のため自動車が使えなくなることは大きなハンディキャップであった。積雪・豪雪地帯で、道路の無雪化は大きな悲願であった。
「国道は今年から自動車が通れるようになるぞ」といわれたのは、私が高校3年生の時だった。38豪雪(さんぱち豪雪―昭和38年の豪雪のこと)の翌年だった。確かに国道の無雪化は始まったが、自動車が簡単に通れるようになる訳じゃない。現在のような除雪車がある訳じゃなし、道路も未舗装であったし、道幅も狭かった。私は昭和39年3月に高校を卒業し、東京に出た。昭和50年10月に郷里に帰り政治活動を始めた。この10年ちょっとの間に道路の無雪化は見違えるように進んだ。雪国でも自動車交通はそんなに支障がなくなった。
これを可能にしたのは、高度経済成長と道路特定財源であったと思う。だから私は道路特定財源の暫定税率がその役割を果たしたことは認める。しかし、ある時期に有用だった施策でも、状況と環境が変わってくれば有用でなくなる。私が道路特定財源の暫定税率に強く反対したのもそういう考えからであった。当時の野党→現在の与党(民主党や社民党や国民新党)も、確かに道路特定財源の暫定税率の延長に反対したが、私ほど徹底したものではなかった。
福田首相が“道路特定財源の一般財源化”と言い出したら、正直いって腰砕けになった。政権交代したらまず道路特定財源の暫定税率を廃止すべき、と私は思っていた。本来ならばこの臨時国会で実施すべきことであった。まぁ、来年から廃止するというのだから勘弁するとしても、こんどは2兆円~3兆円規模の二酸化炭素税(あるいは環境税)を取るという。道路特定財源の対象品目の大部分は、たぶん“何とか税”の対象となるのであろう。いったい誰の考え・入れ知恵なのか。私にはだいたい分かっているが、今後の推移を見ることにしよう。同じようなことが山ほどある。いま話題の“仕分け人”は、こういうことが全然分かっていないようである。
それでは、また。