民衆革命と民衆
09年11月12日
No.1341
私は今回の政権交代を“民衆革命”と位置付けてきた。ネットの世界で人気のある植草一秀氏は確か“平成の無血革命”と呼んでいる。この外にも、いろいろな命名があるのだろう。政権交代など、ほとんどの国ではごく普通に行われていることである。しかし、総選挙で政権交代そのものが中心的なテーマとなり、わが国では今回が初めて成就したのだ。初めてのことを目指すのであるから、私はあえて民衆革命と呼んだのだ。
私は、政権交代を目指して闘っている人々を励ます意味で、あえて“革命”と呼んだのだ。「君は革命を行っているのだ」と言われて、気持ちが高揚しない人はいないであろう。「国民の生活が第一」と言われても、あまり気分は高揚などしない。今回当選した民主党代議士は、その先頭に立つ言うならば“革命の戦士”である。いや、そうでなければならないのだ。多くの女性代議士が誕生したが、彼女らはドラクロアが描いた『民衆を導く自由の女神』のようでなければならない。
いま、政権を手にした政治家たちが毎日のようにニュース報道に登場している。確かに、彼らは張り切って活動しているようだ。それを見て、国民はどう思っているのだろうか。第一と言われた“自分たちの生活”が変わるのだという実感がもてるのだろうか。たぶん否であろう。鳩山政権が手掛けなければならないことは、国民の生活が変わるという実感と予感なのである。いま辛うじて合格点が与えられるのは、“友愛精神”を訥々(とつとつ)と訴える鳩山首相だけである。他の閣僚の言動を見ていて“友愛精神”など微塵も感じられない。
民衆は、自らが成し遂げた民衆革命から“疎外”されているのではないか。私が昨日の永田町徒然草No.1340「疎外…。」で言いたかったのは、そのことなのだ。『翔べ! 鳩山由紀夫』という著書を発行した私自身の心が、少しも躍(おど)らないのだ。私は政治家だから、そんなことなど少しも気にしないし、それなりの対応策もある。しかし、民主党に投票した多くの国民にはその術(すべ)がないと思う。仰山(ぎょうさん)当選した民主党の代議士たちよ。浮かれている場合じゃないのだ。大衆の中に入って、国民の声を聴け!
今日はこのくらいにしておこう。それでは、また。