選挙は執念だ!
07年02月19日
No.341
昨日浅野史郎前宮城県知事の都知事選への立候補はなくなったのではないかと私は書いた。そのように書いたのは喫茶店で読んだスポーツ紙に不出馬と大きく報道されていたのがその理由であった。asahi.comによれば “浅野氏「立候補せず」と改めて明言 東京都知事選” 2007年02月18日20時39分とある。それにしてもスポーツ紙の方が一般新聞より早いというのは、どうしてだ。朝日新聞としては自分で早打ちをしたものだから、出馬してもらわないと困るのだろうか。同記事は次のように書いている。
今春の東京都知事選について、前宮城県知事の浅野史郎氏(59)は18日、都内で講演後に記者団に対し、「どなたから要請されても受ける状況にない。これから先も同じだ」と語り、市民団体からの立候補要請にも応じる考えがないと明言した。浅野氏はすでに民主党の要請を断っている。16日には、浅野氏の立候補を求める市民が集会を開いている。浅野氏は、「(市民からの要請は)思いがけないことで戸惑っているが、民主党からの打診を断ったのは民主党だからではなく、どなたからでも受ける気持ちはない」と語った。これに先立ち浅野氏は、市民から「出馬要請文」と、約200人の賛同者名簿を受け取り、「熱い思いだけは分かりました」と答えた。
“民主党の擁立、調整は難航も 東京都知事選”2007年02月18日21時36分 浅野氏に立候補を求める市民集会の代表呼びかけ人を務めた五十嵐敬喜・法政大教授は、18日の浅野氏の発言について、「要請がすぐに受け入れられるとは思っていない。市民の声が盛り上がれば、出馬を決断させることができると思う」と語り、今後も要請活動を続ける考えを示した。立候補の打診を断られている民主党内には、「浅野氏の出方を見極めるべきだ」との声がまだ残る。しかし、党都連が候補者擁立の期限にしているのは、政治資金パーティーがある28日だ。浅野氏がこのまま立候補しないことを想定し、党所属の国会議員や前議員からの候補者選びを本格化させる可能性もある。
市民団体の代表がこれから熱心に出馬を要請するといっているのに、スポーツ紙だけの報道でもう浅野氏は出ないだろうといったのはちょっと軽率だったかもしれない。市民団体の皆さんの熱い熱意を殺いだとしたらお詫びする。しかし、「(浅野氏が都知事選に)仮に出ても勝てないと思う。だから浅野氏の不出馬は結論からいってこれで良かったのだ」との私の考えは変わらない。“前宮城県知事の浅野史郎氏(59)は18日、都内で講演後に記者団に対し、「どなたから要請されても受ける状況にない。これから先も同じだ」”との発言が事実だとしたら、これは私の予想を一層確信付けることになる。県知事を3期も務めれば、政治家と看做されても仕方ない。こういう場面における政治家の言葉とビヘイビァーは重いのだ。
私が自民党の総務局長や団体総局長をやっていたとき、不戦敗は許されなかった。国政選挙や知事選には必ず候補者を立てなければならなかった。だからいつもそのような立場で選挙を考え、候補者として誰を擁立するか調査していた。総務局長には素案を提出する責任が直接あった。だから予想される選挙の関係者といつも会っていた。誰もいませんなんてことをいったことは1度もなかった。お陰さまで総務局長在任中に行われた国政選挙と知事選では全戦全勝だった。それが平成8年10月の総選挙への弾みとなっていった。
自治大臣等を務めた後に就任した団体総局長は、選対本部が決めた候補者を当選させるために自民党の支持団体に支援を要請する役職だ。しかし、選挙は候補者の決定で半分以上勝負は決まる。1年前まで総務局長をやっていた関係で、候補者の選定にもかなり容喙した。都知事選に明石国連事務次長の擁立(これは野中幹事長代理が構想したようだ)で明らかのように候補者の選定を間違っては各種団体にいくら支援を要請してもダメなのである。自民党の支持団体は、どこかの党の支持団体のように誰であっても支援してはくれないのである。当時の加藤幹事長の選挙のセンスは抜群に良かった。だからおおむね勝った。調子にのって平成10年夏の参議院選挙で一挙に自民党だけで過半数を獲るぞという驕りが出てきた。そして見事に大敗北をした。橋本首相・加藤幹事長は辞任した。
政権交代を常日頃訴える民主党の責任は重い。だから私がやっていたような役割を誰かがいつもしていなければならないのだ。そういう人が誰かいれば、今回のような事態は避けられたであろう。今後の参考にして欲しい。しかし、都知事選はまだ終ったわけじゃない。市民団体だって浅野氏にきっぱりと断られたって、引き続き要請するんだといっているのだから、民主党も野党第一党として“さすが民主党だ”といわれるような結論を出さなければならない。最後の最後までの努力を期待する。選挙は執念でもある。
それでは、また明日。