"然るべき理由"…!?
09年07月09日
No.1221
解散総選挙の時期を巡る報道がない日はない。しかし、X月Y日解散とはっきり断言する報道はない。麻生首相が果たして解散できるかどうかなどということも取沙汰されている。解散できない内閣総理大臣というレッテルを張りたがっている向きもある。何か肝心なことを忘れているのではないか。
内閣総理大臣が決断すれば、確かに解散そのものはできる。たとえ全大臣が反対したとしても…。総理大臣の大臣に対する罷免権に理由は要らない。全閣僚を罷免し総理大臣が全閣僚を兼務した上で解散すれば、それは可能である。解散した総理大臣はすこぶる気分が良いかもしれない。しかし、ただそれだけのことである。
解散総選挙の後には、必ず特別国会を開かなければならない。その特別国会が招集されたとき、内閣は総辞職をしなければならないのだ。解散を決断した総理大臣は嫌でもその職を辞さなければならないのだ。そして特別国会で内閣総理大臣に指名されてこそ、はじめて解散総選挙をやった意図が達成されるのだ。
麻生首相が内閣総理大臣に就任した時から、この保証は果たしてあったのだろうか。私は一度としてなかったと思う。だとしたら、麻生首相が解散する筈はないじゃないかと思ってきた。解散をしなければ衆議院の任期満了そして総選挙後の特別国会が召集される日(最長2009年11月1日)までは、麻生首相は確実に内閣総理大臣でいられるのだ。これには自民党総裁の任期も関係ない。
改めて言う。解散をしたからといって“偉い”内閣総理大臣になるという訳じゃない。内閣総理大臣に再び指名されてこそ、はじめて“大した”総理大臣と言われるのだ。だから麻生首相が解散をなかなか行わないのも、それなりに“然るべき理由”があるのだ。確実に野党が解散に追い込む手段は憲法上ない。どうすべきか。総選挙が行われる日その日まで、苦しくとも戦い抜くしかないのだ。血反吐が出るまで戦うしかないのだ。それだけのことである。
それでは、また。