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白川勝彦の世の中つれづれ談義 2010年8月7日 土曜日 (第6回)
休日は増えたが、その過ごし方は豊かですか
話者名 | 話の内容 |
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休日は増えたが、その過ごし方は豊かですか | |
小泉 | 子どもたちは夏休みの真っ最中ですし、大人も今日から早めのお盆休みという方もいらっしゃるでしょうね。白川さんの夏休みの予定はいかがですか。 |
白川 | 今年は例年のようにはいかないですね。6月に貸金業法が改正されて、年収の三分の一以上は借りられなくなりました。7月はボーナスが出て、それを返済に充てた方も、もう貸してもらえませんから8月以降は返済に回すお金が無いということで、相談にみえる人が増えましたね。そうなると、債務整理にあたる私も休むわけにはいかないですよ。 |
小泉 | 白川さんは新潟県のご出身ですから、お盆は8月ですね。 |
白川 | そうです。日本人は盆と正月は仕事を休むという週間がありますね。お盆は、普通のサラリーマンでしたら、一週間程度は休むのではないですか。 |
小泉 | 日本だけでなく、最近はビザ発給の所得基準が緩和されましたので、この夏休みは中国からの観光客の姿が目立ちます。お盆もありますが、夏休みというのは、欧米の長期休暇の習慣であるバカンスが元になっているようですが。 |
白川 | 長期休暇の歴史は、日本と欧米ではかなり違います。6月のワールドカップでも、百年以上サッカーの歴史があるヨーロッパなどと、その歴史が浅い国とでは、かなりの実力差がありました。それと同じように、バカンスはヨーロッパで二百年以上の歴史がありますから。 そして、バカンスの考え方に違いもあります。ヨーロッパはわれわれの理解以上に緯度が高い。とにかく寒いですから、少しでも陽光にあたりたいというこだわりが強い。 |
小泉 | 日本人は強い日差しを避けたいという気持ちがあります。逆なんですね。 |
白川 | だから、ヨーロッパの人は、夏になると、日差しのあるところにいって楽しむ、それがバカンスという週間になったんです。 |
小泉 | 白川さんは国会議員の時に、リゾート開発推進議員連盟の幹事長をされ、リゾートのあり方を考える国家プロジェクトを進められたとか。 |
白川 | 昭和の終わりから平成のはじめにかけて、日本は経済成長を遂げ、世界一豊かな国になるのではと言われた。ところが、休みの実態、その過ごし方、行く場所などを欧米と比べるとはるかに遅れていたんです。 まずは、当時の年間休日数が、ヨーロッパの120〜130日にくらべ、日本は70〜80日と少なかった。また、休日の過ごし方についても、楽しい人生の一部としてゆったりと過ごすものではなかった。リゾートの整備や充実も不十分でした。 私は、世界のリゾートをくまなく歩いて、どのようなリゾートが望ましいか、そして欧米の人はどのようにバカンスを楽しんでいるかを調べたんです。休暇の過ごし方が豊かになってこそ、日本が始めて一流国と言えるのではないかという信念がありましたから、それはもう一生懸命努力しましたよ。 |
休日も、金利はしっかり働いている | |
小泉 | 番組の後半は、お金に関する法律や生活経済についての悩みごとについて、白川さんからアドバイスをいただきます。以前は休日は少なかったんですが、週休二日制の普及や有給休暇の増加などで、日本人の休日も大幅に増えましたよね。 |
白川 | それはもう劇的に増えましたね。私がリゾート推進の活動をしていた頃に比べ、年間の休日も120日くらいになりましたし、欧米に比べても遜色はなくなりましたね。 ただし、実態は違います。ヨーロッパの人は、夏に一か月とか40日とかバカンスを取りますが、有給を使えるんです。だから、長く休んでも給料はちゃんともらえる。 バカンスで使うお金もあまり自分の懐が痛まないようにします。日本人だと「さあ旅行だ」という気持ちで、結構大盤振る舞いしてお金を使ってしまう。ヨーロッパは違うんですよ。自分のクルマにテントや食料を積んで、リゾート地にあるキャンプ場を何箇所も回るという、お金を使わないバカンスの楽しみ方なんです。まず、休みを取ることが第一ですから。 |
小泉 | サラリーマンなら有給休暇を取れば給料は出ますが、パートとか契約者とかは次官級や日給で働いている方が多いですから、休日だと収入が無くなりますよね。 |
白川 | 相談にみえる人もそのことを嘆いていますね。相談の前に「明日から連休でしょう」と何気なく話すと、「先生、休みがあるのはいいけど、私たちは正社員ではないので、休みになると給料がもらえないんです」とこぼすんです。 日本ではいま、全従業者の三分の一がパートや契約者など非正規の雇用者なんです。ですから、休日が多いというのは、そうした人たちにとっては深刻な問題です。 |
小泉 | 債務者にとってみると、休日でも借金の金利は無くならないですものね。 |
白川 | 銀行は週休二日制でしょう。土日も祝日も銀行は閉まっていて行員は一人もいない。でも銀行自体は休みであろうと金利は稼いでいるわけです。貸金業者もね。 |
小泉 | 金利の負担は大きいですものね。 |
白川 | 借金問題の鍵は金利の問題なんです。貸金業法の改正前は28%もの金利がかかっていましたが、現在は利息制限法の枠内になりました。 それでも18%という利息はすごく高いですね。そういう高い金利のお金を借りていると生活はどんどん苦しくなる。返すために借りるという状況になりますから。ですから、金利が高いお金を借りるときは慎重になってほしいですね。 |