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白川・上柳 放送対談中の表情写真

ごごばん! デイリースペシャル 〜法律クリニック〜 2011年11月8日 火曜日 (第39回)

テーマ
「パート先からの解雇通告。受け入れなくてはならないのでしょうか?」

話者名話の内容
上柳毎週火曜日は、ラジオの前のあなたの「法律の問題」についてお話をうかがう、「ごごばん! 法律クリニック」です。スタジオには、白川勝彦法律事務所所長・弁護士歴39年の、おなじみ白川勝彦弁護士です。今日も宜しくお願いします。
白川宜しくお願い致します。
増山
・堀
宜しくお願い致します。
話者名話の内容
上柳では早速、今日の相談内容です。今日は匿名の方、女性48歳の方のメールです。
増山
5年間勤めているパート先のお店から、一ヶ月後の解雇を伝えられました。理由は、営業不振です。私と、もう一人に解雇が伝えられたのですが、他の人には伝えられていません。私は、仕事に関しては真面目に取り組んできましたし、解雇される理由がわかりません。雇い主に聞いても、営業不振を繰り返すばかりです。こういう場合、解雇を受け入れなくてはいけないのでしょうか? パートという立場上、仕方が無いことなのでしょうか?
上柳メール、FAXを頂くとパートと書いていらっしゃる方がとっても多いので、切実な問題で人ごとではないという方も多いと思いますが…。さっそく、白川弁護士にお話を伺います。宜しくお願い致します。
白川私も債務整理の仕事をしていますが、返済をすることをよく確かめなくてはいけないですからから、『どういう家計状況ですか? あるいは、生活状況ですか?』と聞くのですが、その場合、専業主婦という方が本当に少なくなりました。子供さんが手のかかる時は、専業主婦の方は結構多いんですが、保育園に預けられるようになったとか、ちょっと大きくなると、今はほとんどの方が、何らかの働きをしていますね。
昔は、内職というものがあったんですが、今は、内職はなくなりまして、パートに出てますということがほとんどですね。だから、本当にこのようなパートに関する悩みというのは、多いと思います。
それでですね、最近「非正規労働者」「非正規社員」という言葉、聞きますよね。これは、実は、働いている人の3分の1を占めるんですよね … 非正規雇用と言われる人達が。
大きく分けますと、俗にはパート・アルバイト・契約社員・派遣社員。法律的な言葉でいきますと「有期契約社員」が一つ、種類があります。「派遣労働者社員」というのもありますね。それから「パートタイム労働者」。これを法律上、非正規雇用の労働者と言われるんですね。
それに対して、普通の雇用状態を「正規労働」と言います。だから、非正規というだけであって、不正規ではないですからね。別に、不法でもなんでもないのであって、こういうことはありうるわけです。
有期契約労働者の場合は、三年間に限ってとか、あらかじめ期間が定められているわけですね。そこが大きな違いで、普通の労働は、期間の定めなき労働というのが圧倒的に多いんですけども、有期労働者の場合は、三ヵ年とか一年以内とか、この春だけの何ヶ月間ですとか、そういう期間が定められている人の場合は、ある面では法律上、有期ですから。
だから、パートタイム労働者の場合はどうかというと、期間の事はあまり触れられていないんですね。正規の社員に比べて働く時間が少ない人の事を、パートタイマーと言うのであって。だから、当然パートタイマーというのは、期間が定められていることにはならないわけです。
ですから、一番大事なことは、パートタイマーは正規労働ではない、いわゆる非正規労働者とは言われるのですが、当然のことながら、労働基準法は全部適用されます。
だから、産前・産後の休暇とか、育児休養とか、そういうものも全部、労働基準法の規定に定められているものは、原則として適用されます。
ただやっぱり、元々は、なんでパートタイマーというのが出てきたかというと、日本の労働法というのは、ある意味では労働者保護という点が強かったんですね。
ですから、私も若い時には、ずいぶん労働法を勉強しまして、割に、労働法は得意な分野だったんですよ。
私がちょうど勉強していた昭和40年代というのは、非常に労働組合も活発でしたから。要するに、労働基準法だとかに照らして、例えば、解雇されても、殆ど使用者側が負けていた時代ですね。あの当時の基本は … その時は、不正規労働なんてこと自身が無かった。ほとんど、雇えるなら原則、正規労働でしたから。ですから、労働者をクビにするということは、よほどの事情がなかったらできなかったわけですね。
そして、それを免れるために、当時もパート労働とかアルバイトとか期間労働というのもありましたよ。ありましたけどもそれは結局、労働基準法等の規制を免れるためにやっているんじゃないかとみなされて、結果としては、労働者側が勝ったんですよね。それが、私が司法試験を勉強している時とか、学生時代にやった労働法に関する基本でした。
だから、圧倒的に労働者が有利だったのですが、その後、経済状況等が変わってきまして…。また、派遣労働者法なんかも変わりまして、確かに、大きな変化が出ていることは、事実です。
しかし、さっき言った通り、形はパート労働と呼ぼうが派遣労働と呼ぼうが、その本質が労働基準法を免れたいという目的があって、形だけとっているというのは、今でも原則、労働者側には有利になるのではないでしょうか。
ただ、どうしてもパート労働ということですから、雇う側にしたら、できれば正規労働者でないという風な気持ちで雇い入れるわけですから。場合によったら、それよりも解雇が自由になるだろうという思惑があるのですから、期間についても、簡単に解雇できるようにしたがるんですよ。
そういうことが多々あるので、平成20年にパート労働法というのが改正されまして、労働条件に関する大事なことは、文書であらかじめ結んでいなさいということになりました。
その中には、まず期間がどうなのか? というところをきちんと書かなくてはいけないことになっております。形の上は『パート労働だから、一年単位で更新ですよ』というようなことを書いてることも多いと思います。しかし、書いてあるけども結局、毎年毎年 ─ ご質問の方は5年間ですか? 1年間とか定めてても、毎年毎年、自然のように繰り返されたわけですから。そうなった場合、ある面では、期間の定めのないという風にみなされるんですよね。
ただ、私も労働問題から離れて時間が経ちますので、私が債務整理の専門の弁護士であると同じように、労働問題に関しては、専門の弁護士がいっぱいおりますから。専門家によく相談しながら ── 現実にクビになったりしたら、給料が入らなくなりますから、深刻ですよね。
それから「私はやっぱり辞められない」といって形だけ出勤しても、クビになったんだからというようなことで、現場でもかなりシリアスな場面に接することがありますから。労働問題に詳しい弁護士さんとよく相談しながら、場合によったら、そういう方々に出ていただいて、そういう風にトラブルにならないよう、円満に解決する方法はいくらでもあると思います。
ぜひ、そういう方法をおススメしますね。やっぱり、餅屋は餅屋と相談しながらやった方がいいと思います。
上柳突然の、1ヶ月前に解雇というのもね。
白川それは、労働法で元々決められている事なんです。だけども、1ヶ月前に解雇を通告したら大丈夫かというと、そうはいかないという事なんですね。
上柳お時間でございます。ありがとうございました。白川勝彦弁護士でした。
増山
・堀
ありがとうございました。

上柳昌彦氏・ 増山さやか氏 = ニッポン放送アナウンサー / 堀ちえみ氏 = タレント曜日パートナー (文中敬称略) | 第38回 | TOP[t] | 第40回

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