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ごごばん! デイリースペシャル 〜法律クリニック〜 2011年4月26日 火曜日 (第13回)
テーマ 「血縁関係と相続財産について」
話者名 | 話の内容 |
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上柳 | ラジオの前の、あなたの法律問題についてお話を伺います「ごごばん!法律クリニック」。スタジオにはお馴染み、白川勝彦法律事務所の白川勝彦弁護士です。今日も宜しくお願い致します。 |
白川 | 宜しくお願い致します。 |
堀・ 増山 | 宜しくお願い致します。 |
話者名 | 話の内容 |
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上柳 | さっそく、今日の相談内容をご紹介いたしましょう。今日は、練馬区の70歳の女性から頂いたメールです。 |
増山 | 私は現在、一人暮らしをしています。子供はいません。15年前に離婚をして、既に元主人は亡くなっています。そこで心配をしているのは、自分が死んだ後の財産の行方です。両親も他界していますし、一人っ子なので兄弟もいません。こういう場合は、誰が相続をすることになるのでしょうか?よくしてくれる友人やご近所の方など、血縁関係のない人に相続してもらうことはできるのでしょうか? |
上柳 | ご高齢の方で一人暮らしをしていらっしゃって、そしてそのあとの事。これは白川さん、かなりこういうこと考えている方、いらっしゃいますよね? |
白川 | そうですね。私まだ離婚はしてませんし、生きてますけども、実はうちの家内もこういうケースなんですね。私ども夫婦には、子供はいませんから。もちろん、家内の父も母も亡くなってますし。そもそも、これ、配偶者がいなければ同じケースですからね。ですから、こういう方、結構いらっしゃるのではないでしょうか? |
上柳 | いらっしゃると思いますよ! |
白川 | しかもね、練馬区ということで、23区のなかですから。たぶん、一軒家くらいに住んでいたら、土地の価格下がったといっても、それなりの相続財産ですよね。さて、どうなるでしょうか? |
上柳 | どうなるのですか、これは… |
白川 | 基本的には、A子さんの財産ですから、相続人が“法律上は”いません。『いないのだから国が取るよ』ということは、簡単にはしません。そうはなりません。 |
堀 | そうですよね。 |
白川 | いずれにしろ個人の財産ですから、相続人がいないから勝手に取るってわけにはいきませんので。色んな手続きがありますが、その前に整理しておきたいのは、相続というのは「血縁関係」血の繋がり。それから、「身分関係」によって財産が動くことをいうんですね。「身分関係」というのは、なんでしょうか? |
上柳 | 身分関係? |
白川 | 配偶者とか…夫とか妻っていうのは身分関係でしょ? そういうのによって、配偶者には財産が相続されるっていうのが「身分関係」。養子なんかも、血は繋がってないですけども「身分関係」ですね。養子という身分関係があるから。だから、財産の上で血縁っていうのは、大事な要素なんですね。 それから、もう一つ。最近、どうでもいいやというけども、身分関係っていうのはやっぱり意味があるんですね。日本ではまだ話題になっていませんけど、外国なんかでは、同性の結婚とかってあるじゃないですか? あれは、たぶん身分関係で、相続とかそういうところに関係するから、『同性の結婚を認めて欲しい』とかってことになるのじゃないかなと思うんです。 |
上柳 | なるほど、そういう事実があるんですね。 |
白川 | ただしですね、血だとか身分関係だけでやるのは、どうしても難しいところがありますよね。当然のことながら、自分の財産ですから、どういう風に配分してもらうのかは、相続以外にも当然できるわけですね。生前に、もし、こういう風に分けておきたいっていうのでやるのは、なんていいますか? 堀さん。 |
堀 | 生前分与? …生前贈与か。 |
白川 | 生前贈与ですね。これ、税金が高いですよね。生前贈与の場合は、一年間に110万までといいますから。 ただ、基本的には、その人の財産をできるだけその意思に応じて、当然のことながら処分するのが大原則ですから。ですから、基本的には国が取るってことにはなりませんね。じゃあ、ちょっと分解しましょうかね。 「血縁関係のない人に相続してもらうことはできるんでしょうか?」─ これは、相続とはいいませんね。相続はやっぱり、あくまでも身分ならびに血がある人の場合は相続ですけども、血縁関係のない人に相続はさせられません。もしあれだったら、養子縁組を組めばできるわけですよね…と、いうことで、まず「血縁関係のない人に相続をしてもらうことはできるのでしょうか?」という質問に対しては、『相続できません』。 ただし、養子だとか、場合によってはこれから話す「遺贈」─ 自分が死んだ時、死んだ後こう分けてくれと言うのは「遺贈」というんですね。遺言ですね。遺言に基づいて贈与することを、「遺贈」といいます。 |
堀 | 例えば、お仏壇とかお墓に関してはどうなるんでしょう? |
白川 | それも財産ですから。それはこの前やりましたね。だけど、相続人がいなければ結局同じ問題ですから。 ただ、これもやりましたけども、遺言は意思を尊重しますけど、何しろ死んだ後のその人の財産の分配の大事なことですから、当然もめますね。そういうことがないように、様式を踏んでやって下さい。4つの様式がありますけども、後でもめないように、本当にその意思がその通りだったのか確認する意味で ─ 公正証書による遺言だとかね。あるいは、自筆もできるんだけども… |
堀 | 拒否とかもできるんですか? 税金面とか、固定資産税の問題でちょっと…とか。 |
白川 | それは、相続の場合は当然ね、放棄っていいますよね。今回の問題についていいますと、あと色んな質問があると思うのですが、生前贈与の場合は、税金が1年間に無税なのは110万くらいだったかな? その範囲内ですから、そんなに額が大きくないんですね。 ですから、不動産みたいにドンとやりたい場合だったら、額が大きくなりますから。そういう場合は、遺言によって「遺贈」しておけば、相続と同じようなかたちの税金ですから、かなり安くなります。それからですね、この人の場合「私の財産はどうなるんでしょうか?」と言ってますよね。もちろん、さっき言ったように勝手にできませんから、当然のことながら、監視をもってやるわけですよね。例えば、この方の債権者なんかは、払ってもらわなくちゃ困るじゃないですか。 |
上柳 | そうでしょうね、そういう方は。 |
白川 | ですから、相続人がいない財産っていうのは、とりあえずまず民法には法人とすると。要するに一つの人格として、それをどうやって分配するかっていうことを、細かい手続きが書いてあります。 基本的には家庭裁判所が中心になって、色んな手続きでその方の本当の気持ちはどうなのだろうかと。だから、相続人がいなくても遺言があればその人の意思ですよね。 その遺言でもはっきりしない場合、残っちゃう場合があります。そういう場合はですね、最後は一緒に生活していた人 ─ 内縁の妻なんかである方とか、あるいは…被相続人と生計を共にしていた人なんかは、特別縁故者というかたちで、家庭裁判所に『あげなさい』と言ってるんですね。 それから、療養・看護に努めた人にも、できれば分けてあげなさい、と。 その他、『被相続人と特別な関係にあった人に分けてあげなさい』と、家庭裁判所は。『そうしなさい』と書いてあるわけです。その上で、分けてもなおかつ残ったという場合は、基本的には相続人がいないですから、国庫・国の物にさせてもらいますよと。 |
上柳 | あー、そうですか。やっぱり、遺言というのはかなり大切ですよね。 |
堀 | 大事ですよね。 |
白川 | ですから、自分の財産ですから、どういう風に分けるかというのは基本的に出来るんで。 |
上柳 | 分かりました。本日はお時間になりました。白川勝彦弁護士でした。どうもありがとうございました。 |
堀・増山 | どうもありがとうございました。 |
上柳昌彦氏・ 増山さやか氏 = ニッポン放送アナウンサー / 堀ちえみ氏 = タレント曜日パートナー (文中敬称略) | 第12回 | TOP[t] | 第14回