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ごごばん! デイリースペシャル 〜法律クリニック〜 2011年3月8日 火曜日 (第8回)
テーマ 「別居時の生活費・養育費などに関して」
話者名 | 話の内容 |
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上柳 | ラジオの前の「あなたの生活」を応援する「ごごばん!法律クリニック」。今日もご近所、親戚とのトラブルや仕事先でのもめごとなどみなさんに身近なトラブルの「法律上の問題」についてお話を伺います。 スタジオには白川勝彦法律事務所、白川勝彦弁護士です。今週も宜しくお願い致します。 |
白川 | 宜しくどうぞ、お願い致します。 |
堀・ 増山 | 宜しくお願いします。 |
話者名 | 話の内容 |
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上柳 | さっそく今日の相談内容をご紹介いたしますが、今日は埼玉県のミホさん、33歳の奥様からの相談メールなんですね。 |
増山 | 2年前から夫と別居し、今子供は私が預かっています。夫は年収500万円のサラリーマン。別居するときに生活費・養育費として月5万円を支払う約束でしたが、3ヶ月前から支払いが滞っています。何度か連絡をしましたがそれでも支払いがありません。こういう場合どうすればいいでしょうか? |
堀 | こういうの多いですよね。 |
上柳 | 白川先生、これ離婚じゃなくて別居ということですけども、色々ありそうですね、これまた今週も。 |
白川 | なんで別居してるのか分かりませんけどね。私は、夫婦でいるんなら別居なんかしない方がいいと思うし、逆に離婚すれば離婚したで、また別の法律関係が出てきますから。しかし、色んな大きな問題が二つありますね。別居するときに生活費と養育費で月5万円を支払う ─ ここがポイントですね。それから、『支払いがありません、どうしたらいいでしょうか』ということですが…。 |
堀 | 生活費っていうのは、奥さんの生活費ってことですよね? 養育費は子供を育てていく…。 |
白川 | そういう風に、通常は言われてますよね。だから、ここで離婚したり別居したりした場合、法律的にはどうなのか、と。それは、やっぱり違うんです。やっぱり、結婚している場合は結婚している場合の夫婦間のいわゆる義務がありまして、例えば同じ子供さんだって、生活費は生活費ですけども、要するに結婚してたら夫婦が生活に必要なものは、お互いに共同して支出する、と。それは、両方で使うってことですから。法律的には「婚姻費用」というんですが ─ 夫婦が生活するために、家賃だとか一切合財を含めて婚姻費用と言うのですがね。ですから、結婚している間は、もし一方が少なければ多いほうが出すというのは当たり前で、今までだったら奥様は収入が少なくてご主人さんだから、ご主人さんの給料は奥さんも事実上使っていいということになってるわけですよね。ところが、それはあくまでも結婚している間の二人の関係です。 |
堀 | そうですね。 |
白川 | ただ、離婚すれば奥様の生活費は婚姻費用じゃありませんから、別れたら、元夫からは、基本的に責任はないわけです、それ自体は… |
上柳 | 奥様の生活費は…!? |
白川 | そうですね。だから、慰謝料を払うとか払わんとか、そういうのは婚姻費用じゃないですから。離婚をする原因についての慰謝料ですから。それに対して、養育費というのは、結婚してようが離婚しようが、親として自分の子供に対しての生活費は面倒見なくちゃいけないわけですよね。 |
堀 | 義務ですよね。 |
上柳 | 親子の関係はあるわけですからね。 |
白川 | それは消えないわけですからね。ですから、大きく言うと、その二つが混在している話なのかなと。 |
上柳 | なるほど、なるほど。生活費と養育費を分けて考えるべきなんですか。 |
白川 | ええ、そうですね。ですから、今後どうされるのか分かりませんけど、離婚してないのならば、この奥様にどのくらいの収入があるのか分かりませんが、当節で年収500万というのは、決して悪い方じゃないんじゃないでしょうか。 |
上柳 | まぁ、今ちょっと、昨今ね。。 |
白川 | それに対して、5万円っていうと年間でどのくらいでしょうかね。60万ですか。これまた、ちょっと奥様がよっぽど収入があれば別だけども、両方合わせて5万円というのは、いくらなんでも少なすぎるという感じですね。 |
堀 | そうですよね。あと、別居して元に戻りたい…カタチを戻そうと思うんだったら、滞るっていうのは良くないですよね。修復できないですもんね。 |
白川 | ですから、この5万円というのは、場合によったら子供さんが何人いらっしゃるのか分かりませんが、2人いたら、養育費だけで、通常5万円は支払いなさいということになるんじゃないでしょうか。 |
上柳 | 養育費だけで。 |
白川 | それにね、奥様の分の生活費までふまえたら、5万円はちょっと安いんじゃないかなという感じはしますが、ただ、それはあくまでも奥様の収入がどのくらいあるのかということによって、最終的に話し合って決めればいいんですが、決まらなかった場合は、金の争いですけど、こういう夫婦間の売買とか、そういうのは地方裁判所の ─ 普通の裁判所でやりますが、こういう養育費だとか婚姻費用いくら出したらいいかっていうようなのは、家庭裁判所。 同じ金銭でも、家庭裁判所が主として決めることになりますので、何らかの意味で、請求したりするときには裁判所に行かなきゃいけないわけですが、同じ裁判所でも、これは家庭裁判所に行って調停とかそういうのをするなかで決まっていく、と。 いったん調停調書とか出来たら、それに執行力がありますので ─ 例えばサラリーマンだと思うんですが、給料差し押さえも出来ますし。 |
上柳 | あー、そこまでね!! |
白川 | なかには、こういう話について公正証書というもので作っておけば、すぐ強制執行できる場合がありますがね。 |
堀 | それは、弁護士さんに相談したらいいんですか? |
白川 | それは、公証人役場というところに行って…まぁ〜二人で行かなくてはダメなんですけどね。 |
上柳 | 二人で相談して、話し合って文章を一筆書いておくわけですか!? そんな事で話し合えるんだったらね、仲良いんじゃないかって逆に思っちゃいますもんね!! |
白川 | ここでとくに言いたいのは、婚姻費用っていうのはあくまでも結婚している限りにおいて負担しなきゃいけないものですから、離婚すればそれはないと。ただ、あといくら払えとか、慰謝料とか離婚の原因を作ったどっちが最終的にいくら払う ─ それを分割で払うとかって、それは生活費の分担じゃないですか。 慰謝料を、たとえば300万と決めないで、それを分割して払う。それは、またトータル慰謝料ですから。ただ、養育費については約束がどうだろうが、結局それは親である限り、払わなくちゃいけないと。 |
堀 | けどこれ、離婚してなくて別居してる状態で養育費も払わないってのは、なんかひどいですね。 |
上柳 | 滞っちゃって、3ヶ月ですもんね。まだ自分の籍も入ってる子供なのにねって思いますが… |
白川 | それは、よくないですね。 |
上柳 | 養育費っていうのは、離婚した後もこういうなかなか厳しい経済状況の中でも払わないってケースが、よく新聞に載ってますもんね。 |
白川 | だから、何でも難しいのは、「権利としてはあるけれども、実際払ってもらえるのは、ちょっと別問題」というところなんですね。そこが、我々弁護士としていつも悩むところなんです。 |
上柳 | なるほどねー。 |
白川 | 今日はこんなところで、よろしいでしょうか! |
上柳 | はい、分かりました。最終的には家庭裁判所というところの門をたたくことになる、と ─ そうなると、またお金も… |
白川 | いや、家庭裁判所の場合は、本人がいってもほとんど裁判所の方でやってくださいますから。そんなに費用はかかりません。 |
上柳 | そうですか。どうしようもなくなったら、そういう所に相談するという事のようであります。 ぜひ参考にしてください。 民事に関する問題、本当に色々なケースがありますので、まずはお近くの弁護士事務所へご連絡、ご相談下さい。 毎日の生活の身近なトラブルや法律に関する疑問などがありましたら「ごごばん!法律クリニック」にお便りをお寄せ下さい。 |
増山 | |
上柳 | と、いうことで、白川勝彦弁護士でした、来週も宜しくお願い致します。 |
白川 | どうもありがとうございました。宜しくお願い致します。 |
増山 ・堀 | ありがとうございました。 |
上柳昌彦氏・ 増山さやか氏 = ニッポン放送アナウンサー / 堀ちえみ氏 = タレント曜日パートナー (文中敬称略) | 第6回 | TOP[t] | 第9回